《怪奇探偵社》(5)

結局俺はハンバーガーを3個食べてしまった。

あまりに夢中で食べるものだから、皆に笑われてしまった。

食べ終わってから、涙が出てきた。

皆がびっくりした様子で俺を見てきた。

「どうしたんだい〜?食べ過ぎてお腹痛くでもなった?」

彩嶺が軽い調子で聞いてくる。

「ち、違いますッ…!も、もう一生、食べられないかも、しれないって、そう、思って、たので…!それに、皆さん、あったかくて…。ごめ、なさい」

嗚咽で上手く聲が出せない。

霊が見えるせいで周囲からも、両親からも拒絶され、孤立してきた俺に、同じ見える仲間が居ることは何よりも嬉しく、この溫かい雰囲気に十數年ぶりに心から落ち著けた。

23年分の涙が一気に溢れてきた気がする。

生粋の日本人である自分が、久しぶりに味しい食べを沢山食べられた喜びもあるかもしれない。

今まで溜まりに溜まったんなもドッと溢れて、なんだかもう、自分でも訳が分からなかった。

それからはずっと泣きじゃくっていたと思う。

涙や鼻水と一緒に、が言葉として沢山出てきて、何言ったのか、自分でも分からない。

でもその間、怪奇探偵社の人達は、ずっと居てくれた。

ナイさんと彩嶺さんは時々頭や背中をでたり、さすってくれた。

乃良さん達の顔は涙で視界がぼやけてあまり見えなかったが、優しげな目で、表で俺を見ていたと思う。

やっと涙がおさまってきた時には、食事が終わって30分も経った頃だった。

後ろの扉がギィーと開き、足音もなく誰か近づいて來たと思うと、目の前にドンッと何か置かれる。

驚いて、涙にぼやけた目をりながら見ると、元(?)悪霊のミオさんが橫に居た。

ガラスコップに水を注ぎ、差しれてくれたようだ。

近くに水のった2Lペットボトルも置いてある。

「…飲んでください。あまりに泣くと、生きている人は、…水癥狀になりますから。」

「あ、ありがと、う、ござ、います…」

しヒック、ヒックとしゃくり上げながら禮を言う。

「良いのよ。誰だって泣きたくなる時はあるわ。あなたはそれが今だっただけ。気にする事はないわ…いや、ないですよ。」

ミオさんが言う。

それは俺を肯定してくれる言葉で。

今までは怒られたり、怒鳴られたり、毆られる事すらあった。

だから、し優しげに響いたその聲は本當に、本當に、嬉しかった。

それにしても、23歳人男が人前でガチ泣きするなんて…

……とても、すごく、恥ずかしい。

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