《オワリノオワリ》メザメルフタリメ

すぅぅぅぅっ。

そこに現れたのはどんな異形の姿でもなく、魑魅魍魎どころか人の形をしていた。

髪は黒、瞳は右が黒に近い青、左が狼のようなものを連想させる様な金

それは_____。

それは、まるで___。

まるで、そう____。

まるで、僕のようだった。

というか僕そのものと言っても差し支えない姿だった。

しかし違いはあった。

僕は重量に逆らうことなく流している髪をそいつはオールバックとまでは行かないものの、かなりツンツンと逆立っていた。

まるで彼の格を表しているような気さえした。

『カハハッ、俺の格ねぇ。そのとおりなんじゃねぇ?』

と彼は本當に楽しそうにいう。

そこでやっと合點がいった。

なるほど、どこか聞きなれた聲だと思ったそれは、自分の聲だったのだ。

そして彼が僕の心を読めたのは同一人だったからだ。

『ん?なんか間違ってんぞ?』

二タニタとした笑いを顔にり付けながら彼が言う。

『俺は俺。僕は僕だよ』

僕は……僕?

俺は……俺?

俺は彼のことで、僕は僕のことなのか?

___じゃあ彼は誰なんだ?

『カハハッ、まだ言えねーなそれは』

まだ__言えない。

彼は『まだ』と言った。

それはつまり今後、聞くことになるということ。

それはつまり再び出會うことになるということ。

それはつまり再びこの空間に來ることになるということ。

それはいつになるかわからない。

けど、そう遠くないような気もする。

しかし、すぐにそんなことになるという訳でもないような気がする。

不思議な覚だ。

『__い?___を借りてくぞ?』

『あぁ、構わない___』

考え事をしていたせいで、上の空で返事をする。

こんなことをしなければ、聞き返してさえいればこんなことにならずに済んだかもしれない。

しかし、後悔先に立たず、ということわざがあるように、今の僕に未來を見るような力はなかった。

___今後もないだろうが。

しばらく考えて、彼の聲が聞こえなくなったのを不思議に思って顔を上げると、彼が消えているのに気づいた。

『お、おい!どこいった!』

んでも(心の中で)返事はない。

そのかわりに頭の中に映像ヴィジョンのようなものが流れてきた。

そこに映っていたのは真っ白な天井。

そこで聞こえたのはピッピッピッピッと、変わらぬテンポでなり続ける電子音。

____そう。見えた景は病室だった。

そのまま映像はまるで、立ち上がるように、目線が上がった。

しかしそこまで高くは上がらず何故かきが止まっている。

すると、目線は下を向き自分の元を見る。

このにはのふくらみはない。

男である。

そして左肩から右脇腹にかけてひどい傷跡が殘っている。

これは、これは、これはこれはこれはこれは。

___僕のである。

小さい頃の通事故によってついた傷だそうだ。

『ふぅ。よっこらせと』

また聲が聞こえた。

しかしこれは今までの僕、あるいは彼の聲ではあるのだが、壁一枚隔てているかのようにじられた。

『キヒッ、どうだ?不思議な覚だろ?自分のを映像を通して見るのはよォ』

楽しそうな聲が聞こえる。

そう。

その時こそ。

彼が。

あいつが。

俺が。

二人目が。

フタリメが。

____目覚めた瞬間だった。

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