《骸街SS》9話 再牢
「………ろ!」
誰かの聲が聞こえる。
「……きろ!」
また誰かの聲が聞こえる。
「…起きろ!」
「……ん……?」
俺は謎の聲と、自のにじる揺れによって目を覚ます。
目を覚ました直後、俺の目にって來た景は、見慣れないだった。
骸街SS
◆◆◆
〜これまでの骸街SS〜
戸籍と「生きる意味」を國軍によって奪われた年隅川孤白すみかわこはくは"反政府組織S"に加し、政府と戦う事を決意する。今やトラウマと復讐の炎をけれ、數々の利用価値のある仲間を手にれた孤白。しかし、支部の仲間達の救援へと向かい、國軍兵士1人を倒した孤白は突然意識が暗転し……?
「新章で俺の出番が無いんだが。」(by 予定表を見た拓男)
◆◆◆
「……ここは……どこだ?」
俺が呟くと、近くに居た見知らぬ人間は、暴に俺を叩き起こす。
「……全く勘弁してくれよ、頭の悪い起こし方だな……。」
俺はそう言うが、その人は意外にも怒らずに、ただ俺を別室へと連れ出す。
「運び終わりました、"救援者"です。」
俺を連れ出すやいなや、その人は上司と思わしき人間に向けてそう言う。
「……分かった。それと、こいつらは奴隷とかじゃ無いから暴には扱うな。」
「了解しました。」
上司が返事をすると、俺を連れ出した人は颯爽とこの部屋から出て行った。
「……んで、ここはどこでお前は誰なんだ?」
俺は目の前のリーダー格と思わしき男に向かってそう聞く。
俺が今居るこの部屋は會議室の様な間取りだが、広さは俺等のそれと比べてかなり狹い。この狹さから考えるに、ここは元々會議室では無く、わざわざ改修したという事は周りにまともなビルが無かったのだろう。
つまりは、なくともここは下層街だろう。俺が1番馴染む雰囲気の街層だ。まあ、本當かどうかは目の前の男の答えで分かるのだが。
すると、俺の質問に対し、男はこう答える。
「……そうだな、ここは地獄の果てという所か。」
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全然分からん。
すると、直後に俺が先程まで居た部屋から數人の人間が「運ばれて」來た。
しかも、その「運ばれて」來た人間4人の2人は俺の部下、松江と獨歌だった。
「お、他のも來たみたいだな。」
それを見て男はそう言う。
「……どういう事か説明して貰おうか……。」
「そうだな、言われなくともそうしよう。」
俺が男を睨んで狀況説明を求めるが、男は平然としてそう返した。
直後に男はこう言う。
「まず自己紹介から始めようか。俺の名前は伊龍翔兎いりゅうしょうと、反政府組織"孤街兎団"の主導者だ。」
ほう、反政府組織のリーダーか。
伊龍と名乗る男は隨分と若い、20代前半程度の青年だ。それにも関わらず反政府組織のリーダーをやっているとは、有り得ない事では無いが珍しいだろう。
「俺は隅川孤白。"反政府組織S"の下級構員だ。」
俺が自己紹介をすると、伊龍は突然まじまじと俺の顔を見つめる。そして、直後に俺の同僚達の顔をそれぞれ「確認」するかの様に見る。
「……はぁ……そうか。」
すると、俺等5人の顔を全て確認し終えた伊龍は徐に溜息を吐き、それから俺らを拉致した目的を話し始める。
「……まず、お前等がここに連れてこられた理由だが、結果だけ言えば一時的な戦力増加・・・・・・・・だ。」
「つまりはどう言う事なんだ?」
伊龍の説明に対し、松江達と一緒に拉致されたと思われる蟲島がそう聞き返す。
すると、伊龍は々答え難そうにこう返す。
「……俺等"孤街兎団"は、下層街の反政府組織という事もあって余り大量の構員を管理できる狀態じゃ無い。だから俺等は定期的に他の反政府組織の構員を「招待」し、足りない戦力を賄っているんだ。」
伊龍は説明を終えると再び溜息を吐いた。
「……お前は馬鹿なのか?他の反政府組織の構員の拐など、自殺行為にも等しい。」
先ほどの説明を聞き、俺はそう反論する。しかし、伊龍は何てこと無い様にこう返す。
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「あのな……馬鹿はお前だ。"S"は知らないが、普通の反政府組織は末端の構員に重大な報を持たせないし、そんな末端の為に俺等に喧嘩を売る必要も無い。そうだろう?」
……まぁ、確かにそうだ。だが、そこまでする程にこの反政府組織は不人気なのか?あり得ない話では無いが……。
「何で構員を増やせないんだ?」
「……まぁ、街柄だな。」
俺が不自然な箇所について質問をするが、返って來たのはそんな回答だった。
「とにかくだ、お前等を含む40人の「ゲスト」は數日間、俺等の組織に従って貰う。その後は解放してやる。途中で逃げ出しても良いがその場合は殺されるかもしれないぞ。」
伊龍はそう言って俺等を別の部屋に導する。
「……結構もてなしてくれるじゃ無いか。」
俺は思わずそう呟く。導された先は、寮の部屋を思わせる裝のそこそこ広い部屋だったが、俺が思っていたよりも綺麗な狀態だった。……まぁ、しっかりと外鍵だし監視カメラ付きだが。
「じゃあ、適當に暮らせよ。」
そう言うと伊龍は扉を閉めて去って行った。
(……連絡は?)
俺が獨歌の方を向き、目でそう語りかける。しかし通信機は圏外表示なのか、獨歌はふるふると首を橫に振る。
「……これからどうするか……。」
俺は思わずそう呟く。
すると、それに対して返答する者がいる。
「従うしかない。……途中までは。」
俺はその返答主の方を見る。どうやら言葉を返したのは、俺の部下達でも蟲島バカでも無く、知らないだった。
「奴等、どう見ても私達を使い捨てる気だ、最初から反抗してもすぐ消されるのがオチでしょうね。」
はそう続ける。肩までばした黒髪、すらっとしたつき、目つきは悪いが整った顔立ち、初めて見るだ。だが、服裝を見る限り、どうやらは俺等と同じSの構員の様だ。
「お前は誰だ?」
俺が聞くと、はこう答える。
「大原おおはらしおり、ただの四級構員。」
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そう答えた直後に、もといしおりはこう言う。
「安心して、私が分かる限りではこの部屋に盜聴は無い。全に金が回らなかったのかしら?まあ、ここでは思い切り「雑談」して良いという事ね。」
「ふぅん、そうなのか。」
とりあえず俺は頷いて置く。
それはさておき、これからどうするか。本部とは連絡が取れない、ここに居るのは俺自含め四級構員ほぼ役立たずのみ、この狀況を楽観視はできない。
「……んで、実際どうなんだ?盜聴の話。」
辺りを憚る小聲で、かつをなるべくかさずに俺がしおりにそう聞く。すると、しおりも俺の意図を理解したのか、同じく小聲でこう返す。
「……間違いなく盜聴は無い。しかし、読を使える人間が居る可能は低くない。いずれにせよ、こいつらが無警戒に喋って相手がこちらSを見縊ってくれれば嬉しいな。」
なる程、そういう思があったのか。
「まあ、今考えても仕方がない事だ。とりあえず寢よう。」
俺はそう言った後、さっきまで寄っかかっていた三段ベッドの二段目に潛り込む。
気がつくと俺は目を覚ましていた。寢転がったまま腕時計を見ると時刻は午前3時半、もう朝・・・か。
すると、俺のすぐ上方からこんな聲が聞こえて來る。
「起きろ。」
起きとるわ。
すると、聲の主は、簡素なパイプ造りの上で剝き出されているベッド1枚の薄い布団に、指で文字を「書いた」。
『通信可能 しかし察知される可能高』
布団にはそんな文章が逆に寫っていた。それにしても、布団をいい合に凹ませて文章を寫し上げるとは、何とも地味に素晴らしい技ではあるな。
とにかく、今は本部への連絡は控えた方が良いとの事だ、下手な通信は止めておこう。
被さる布団を捲り俺がベッドから降りようとした瞬間だった。
「會合だ、急げ。」
施錠済みの扉の奧からそんな聲が聞こえる。
どうやら「あちら」が俺等を必要としているみたいだ。急ぐに越した事は無い。
「分かった、今行く。」
俺、しおりの2人は扉の前で待機する。しかし、あと3人は未だに目を覚まさない。
「聞こえていないのか?急げ。」
扉の奧からはし苛立った様子で再び聲が聞こえた。全く、起こしてやるしかないみたいだ。
「おい、起きろ。」
俺は扉から離れ、床で寢ている獨歌と松江を蹴り転がす。ベッドの1段目で寢ている蟲島はこの際どうでも良い。
「ん……ここどこ……?」
やっと目を覚ました松江が寢ぼけた様子でそう呟くが、俺はそれの頭を叩いて目を覚ます。
因みに獨歌は俺が蹴った瞬間狀況を理解し、今はしおりの橫で待機している。超能力でも持っているのだろうか。
「……うぅ……なんで起こすの……死ねば良いのに……。」
直後に松江もまた狀況を理解したのか、ゆっくりとした足取りで扉の方へと向かいつつそう呟く。普段は部屋が違うので気付かなかったが、かなり寢起きが悪いみたいだ。
「後は蟲島だけか……。」
「一応起こすか?」
俺としおりがそんなやりとりを始めた瞬間だった。
ガチャっという音と共に部屋の扉が開いた。
「いつまで寢ているんだ!?早く出てこい!」
1人の男がそうんでへやにはいってきた瞬間、蟲島が飛び起きた。
「何ができる?」
俺達はやけに広い部屋に、數10人居る他の"救援者"と共に集められたや否や、孤街兎団の上級構員と思わしき人間にそう問われる。
「何が、とは何だ?」
一瞬の間を置いて蟲島がそう質問する。
「何でも良い、自の特をここでアピールしろ。お前等新人の大は何をしても結果は同じだからな、それだったら選ばせてやる。」
構員は馬鹿な問いに対してそう返した。
それにしてもこの組織孤街兎団、反政府組織にしてはかなり優しい・・・・・・な、近々に滅びる気がする。まあ、俺等も大きく変わりはし無いが。
「じゃあ、希の役割で分ける。部屋の四隅に集まれ。そうだな……「歩兵」は後右角、「警備員」は後左角、「特別攻撃可能な兵士」は手前右角、「救援兵士」は手前左角にしよう。」
構員が言い終わると、大半の者はすぐにいた。
部屋の四隅に集まった人數のそれぞれの割合を見ると、後右角約2割、後左角・手前左角はそれぞれ4割弱、手前右角は約1割と予想の結果に収まった。
はぁ、全く馬鹿ばっかりだな。俺は思わず溜息を吐きそうになるのを堪え、中のみで済ます。
大方ここに集まった連中は、拠點の警護や後方支援ならば生存も葉いやすい、そう考えているのだろう。
しかし実際の所、それは難しい。相手は國軍だ、數だけでもこちらの10倍近い戦力を誇る。しかも、向こうの平兵士単の戦闘能力はこちらの鋭の3倍を誇り、優れた軍師も揃っている。
対してこちらの警備隊や救援隊は大した裝備も與えられず指揮者の意識の外側に近い所に置かれている。その為、國軍に真っ先に狙われて一掃されるだろう。
つまり、目の前の戦爭で一杯のテロ組織相手に、戦力も裝備も心の準備も足らない警備隊や救援隊に余った戦力を回して圧倒しついでに拠點すら落とすだけの余力など、奴等は十分に殘していて當然なのだ。
更に警備員や救援兵士は指揮者の意識から外れかかりやすい存在とはいえ多くの組織上層部の目に留まりやすい存在だ。この中では逃亡を考える人間が殆どだろう、しかしそんな役割では見張られるばかりでそんな事は葉わない。
しかし、俺は逃亡する予定こそ無いものの見張られるのは々都合が悪い。何もできずに犬死など免だ。
なので、俺はここにいた。後右角、「歩兵」だ。
見張られるのが嫌なら「特別攻撃可能な兵士」、略して特攻兵でも良いのでは無いかと思うかもしれない。
確かに、特攻兵は斬り込みや暗殺などを人數で行う役職だ。その特から逃亡や謀反も容易くじる。しかし、容易い故に組織からの監視の目が気になる。まさかこの組織孤街兎団も特攻兵に眼をつけない程馬鹿では無いだろう。
という訳で俺は今部屋の後右角に居る。そろそろ全員が四隅のどこかに集まる頃だろう。まあ、結果は知れているが。
しかし、直後に部屋の手前両端辺りから複數の人影が飛び出し、構員の元へと突撃する。
直後、銃聲が鳴り響き、飛び出した人影は全て床に崩れ落ちた。
「謀反は自由だが、こうなるぞ。」
凍りつく"救援者"達に向けて、構員は冷めた表でそう言う。
どうやら部屋付近に狙撃手が隠れているらしい。まぁ、俺にとってはどうでも良いが。
俺が澄ました顔で立っていると、突然構員が視線を俺の方へと向ける。
「…………」
構員は何かを言いたい顔をしていたが、何も言わず、すぐに視線を俺から外した。
因みに、顔見知りが選択した役職は、獨歌は俺の指示で特攻兵、しおりは俺と同じ事を考えたのか歩兵、松江も俺の指示で同じく歩兵、蟲島は何を考えているのか特攻兵……といったラインナップとなった。
「……よし、決まったな。それが今日からお前等の役職だ、覚えておけ。」
"救援者"の役職の割り振りが終わったところを見て構員はそう言うと、席を立ってカメラを構え、部屋全を寫す形で寫真を撮る。
それからすぐ後に俺達はそれぞれの部屋に戻された。
「……なんでこの部屋、トイレも無いんだろう。」
部屋に戻された數十分後、松江がそう溢す。確かに、言われてみればこの部屋には排泄ツールが存在し無い。まあ、今はそんな事はどうでも良いが。
扉の近くで話す構員の會話を盜み聞き、今回俺等が巻き込まれた事件についていくつか報が集まった。
それらを整理すると、まず最初に「孤街兎団はこの地區の制圧を目論んでいる」、一度地區を制圧すれば住民等を引き込んで更に組織が拡大され、ある程度は外側から地區を防衛できるかも知れない。確かに筋は通っているようないないような……。
次に「しかしながらそれを達するには國軍支部基地を落とす必要があり、その時點で多數の構員が必要である」、最初の報から考えるに、"戦爭が終わったら俺等を組織に返す"と言う発言は噓なのだろう。
次に「國軍には既に孤街兎団の捕虜が居る」、これに関しては別にどうでも良い。
最後に「敵のリーダーは中々殘酷な軍師である」、國軍の軍師のほぼ全員が合理的な思考回路を持つだろう、殘酷なのは當たり前だと思うが。まあ、要するに捕虜からは既に報が引き出されている可能が高いという事だろう。
要約すると、この組織は既に最悪の狀態である可能が高い。だから他の組織の構員を拐ってまで一か八かの地區制圧を計畫しているのか。全く、死にかけの蛙に飲まれた羽蟲の気分が痛い程に理解できる。
そして、俺等には直接知らされてはいないが、構員の會話から察するに、どうやら明日が実戦日ほんばんらしい。"救援者"に日程が知らされていないのは、"救援者"達が張や恐怖でパニックを起こし、暴や自決を引き起こす可能の高い期間をしでも短くする為だろう。
しかし、それにしても暇だ。當然だがこの部屋に娯楽など無い上に監視されている都合上余計な真似はできない。
イメージトレーニングにはもう飽きた……となると次は実踐的トレーニングか。
「おい松江、白兵戦訓練でもしないか?」
俺は部屋の床に寢転がって手遊びをしていた松江にそう呼びかける。
「良いけど。こっちも暇だし。」
松江は俺のいを承諾すると、を起こして簡単な準備運を始める。
とある事により俺の方が立場は上だが、松江とは組織に居る時期はそう変わらない。対等な力量の相手と訓練するのは初めてだな。
「……やり過ぎ無いように、本番・・に支障が出る。」
ストレッチを終え、相手の攻撃の間合いのやや外から互いを睨み合う俺等に向けて、ベッドの2段目俺の寢床にうつ伏せている獨歌が忠告する。
「言われなくとも分かっている。さあ、始めようか。」
「いつでも。」
俺が獨歌に言葉を返した後、再び松江へと向き直る。
直後、俺の網に松江のがこちらへと向かってくという景が映り、その報はすぐに視神経を駆け巡り脳へと伝わる。
しかし、脳が攻撃を理解するより前に俺のは松江の攻撃をけ止めていた。訓練でについた反神経が仕事をした様だ。
俺は攻撃してきた松江の拳を摑んだまま彼の腹に蹴りをれようとする。しかし、松江はを捻って蹴りを避け、ついでに拳の拘束を解く。
そして、松江はその低勢のまま床と水平に左足をばし、俺の足を払おうとを一回転させる。しかし、俺は小さく跳び攻撃を避ける。
すると、松江はそのきを予測していたのか、すぐにを起こしを斜めに捻り、立的な回転の蹴りを俺へ喰らわそうとする。対して俺はをめ、すれすれで蹴りを回避する。
部屋の床へと著地した瞬間俺は、し遅れて著地した直後の松江が態勢を立て直す間に突撃し、顔面へ毆りをれようとするが、松江は全ごとを右に回転させ、側宙の要領で攻撃を躱す。
俺はすかさず蹴りをれるが避けられ、松江はカウンターとして斜めったバク転様な形で俺に蹴りをれようとする。俺が後ろに跳び、それを避けると、松江は瞬時に制を立て直し、こちらに向けて飛び蹴りを繰り出す。
更に俺がそれを避けると、松江は俺へと急接近し、顔面に毆りをれようとする。俺が避けて逆に毆ろうとするが、當たらない。更に俺が攻撃を外した瞬間松江もカウンターを繰り出すが俺は避ける。
そして數分間、それをしばらく繰り返し、俺も力を大分消費してしまった。
「ここらでそろそろ止めにしないか?」
同じく息を切らしている松江に向けて俺はそう提案する。
「そうだね、これ以上やっても結果は出ないだろうし。」
松江はそれに承諾し、四肢にれていた力を急速に抜く。
「ああ、そうだな。止めた方が良さそうだ。」
俺もそう言い、構えを解く。すると、寢に戻ろうと松江が俺に背を向ける。
「はいどーん!」
「っ!?!?!?」
直後、俺は容赦無く松江の背に向けて蹴りをれた。
松江は床に倒れ込み、呆然とした様子で俺の方を向いた。
「俺は一言も『訓練を止める』とは言っていない、よってお前の負けだ。」
俺が松江にそう言い放つと、松江は苦い顔をして立ち上がる。
直後、俺は顔の半分近くに走る鈍い衝撃をじる。
「ぐは……。」
俺はその衝撃に押され、どさりと床に倒れる。
「これで僕の勝ち。」
倒れた狀態で周囲に目を向けると、すぐそこに拳を振り切った姿勢の松江が見えた。
「まあ、巫山戯るのはこれくらいにして……、作戦會議でも始めようか。」
俺はそう言いながら起き上がり、床に座る。すると、同室の仲間Sの下級構員達が俺の周りへと集まる。
1日後
「やはり愚かだな、孤……孤が……なんだったか……。」
「奴等に特定の名前など必要ありません。呼び方は『テロ組織』で統一してよろしいかと。」
とある建のとある部屋にて、上司と部下と思しき2人がそんなやりとりをしている。
「そうだな……。俺の頭も奴等の名乗った名を一々覚える程に余裕がある訳でも無い。村、お前には期待しているぞ。」
上司と思われる人がそう言い、部下と思われるもう一方に向けて、手で払い除ける様に部屋から出る事をジェスチャーで命じる。
「……有り難きお言葉。」
部下と思われる人はそう一言言い殘すと部屋から出て行った。
【10話へ続く】
崩壊世界で目覚めたら馴染みのあるロボを見つけたので、強気に生き抜こうと思います
仮想現実を用いたゲームを楽しむ一般人だった私。 巨大ロボを操縦し、世界を駆け抜ける日々は私を夢中にさせた。 けれどある日、私の意識は途切れ…目覚めたのは見知らぬ場所。 SF染みたカプセルから出た私を待っていたのは、ゲームのような巨大な兵器。 訳も分からぬまま、外へと躍り出た結果、この世界が元の場所でないことを確信する。 どこまでも広がる荒野、自然に溢れすぎる森、そして荒廃した都市群。 リアルすぎるけれど、プレイしていたゲームに似た設定を感じる世界。 混亂が収まらぬまま、偶然発見したのは一人の少女。 機械の體である彼女を相棒に、私は世界を旅することになる。 自分の記憶もあいまいで、この世界が現実かどうかもわからない。 だとしても、日々を楽しむ権利は自分にもあるはずだから!
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