さっきまでカイと火花を散らしていた空き地まで戻ってきた。

年を地面に降ろして辺りを見回す。

背を向けるような形でし距離をとる。

｢ここなら誰も來ないぞ。そろそろ起きろよ｣

振り返ると、そこにはナイフを持って俺を睨みつける年の姿があった。

｢いつから？演技にはちょっと自信あったんだけど｣

暗殺者のような鋭く、冷たい目で俺を見上げている。

まだ子供なのに恐ろしい目するじゃん...。

｢最初からだバーカ。瀕死狀態の奴があんだけの殺気放てるわけねーだろ阿呆か｣

その一言で、年の顔に青筋が立った。

相當お怒りのようだ。

まぁ自信のある演技を見抜かれた上に罵聲浴びせられちゃそうなるか...。

そんな俺をよそに、年はだらりと力を抜いた勢になる。

そして小さく呟いた。

｢もういい。お前･･････死ね｣

瞬きをした直後、年は俺のすぐ目の前まで迫ってきていた。

容赦なく振られたナイフで、髪が數本宙を舞う。

かと思えば、視界から年の姿が消えた。

｢なっ！？｣

そして次の瞬間、俺の首を狙うナイフが宙を舞う。

｢あめぇなぁ！！｣

背後にまわっていた年の、更に背後をとる。

｢なっ！？｣

さっき俺が言った全く同じ言葉を、心底驚いたような顔で年が言う。

｢ほっ！｣

うなじに軽く一撃喰らわすと、年は力なく倒れ込んだ。

誰もいない路地裏で、年が倒れる音と落ちたナイフの金屬音だけが靜かに鳴り響く。

今の俺は、きっと凄く悪い顔をしているのだろう。狀況も相まってそれこそ魔王的なじになってそうだ。

できれば誰にも見られたくないな...。

｢たっだいまー！｣

呑気なカイの聲が、靜寂をぶち壊す。

｢あ、うん、だよね。知ってた｣

｢ん？なにが？｣

首を傾げるカイに悪意はじられない。

まぁ確かにコイツこういう所あるから許してやるか...。

｢そーいやさっきのレイスの顔すっごい悪役みたいな顔してたな！｣

前言撤回。やっぱり許さない。いつか絶対絞めてやる。

｢いつもの事だほっとけ。とりあえずコイツが起きるまで待っとこうぜ。このまま野放しにしたらなんか面倒そうだし｣

｢そうだなー｣

俺達はカイが買ってきた食べを広げながら、橫たわっている年の目覚めを待った。