《No title》10.答え合わせ

「ついて行く?」

「おう」

「俺が?」

「その通り」

「お前らに?」

「他に誰がいるんだよ」

さっきから頭を抱え続けているニビが質問攻めしてくるのは分からなくもない。

寧ろこれが正常なリアクションだろう。

何しろ襲った相手に売りも殺しもしない代わりに、旅について來いと言われているのだから。

殺人未遂と旅の同行では不釣り合いすぎる。

「お前、賢そうだけどやっぱりし抜けてる所あるからな。俺達と一緒に來いよ」

ルビーのように紅い瞳がカイを見據える。すると「抜けてるってどの辺が抜けてるんだよ」と、明らかに警戒心を薄めて聞いていた。

おいおいおい。

俺には警戒も威嚇もMAXなのになんでカイにはこんな丸いんだよ...。

確かに俺より怖くないだろうし話しやすいだろうけども。

「だってお前、レイスが’’食料と水持ってこい’’って言った時は何もじなかったんだろ?」

「それがなんだよ?」

ニビの視線が俺とカイの間を忙しそうに行ったり來たりする。

「普通、倒れてぐったりしてる奴に食料と水なんて必要か?優先すべきは薬とか醫者じゃないか?」

「あ......」

解説に納得したニビは呆けた聲をだしていた。

「あ、因みにお前に拒否権ないからな。勝負に俺が勝った以上、お前をどうするかは俺の自由だ」

「そんな事知ってる」

俺の言葉にトゲトゲしさ満點で返答してきた。

ほんっとに可くねーなコイツ...。

さっきまであんなに混してたってのに。

まぁこれで張も警戒もしは薄まっただろうし良しとするか。

「はいじゃあ決まり!行くぞ!」

そうして俺は、承諾もしてないニビの手を半ば強引に引いて歩きだした。

この時の俺達はまだ何も知らなかった。

ニビの手が微かに震えていたことも。

人気のない路地裏にニビがいた本當の理由も。

そして何より、デイディスという國を俺達はまだ何一つ理解していなかった。

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