《No title》13.才能

「はぁっ、はぁっ」

「ニビくーん?大丈夫ですかー?」

俺達がニビで遊び、追いかけてきたニビが一人で過呼吸みたいになっている。

俺達は顔一つ変えずに彼を見下ろしている。

「なんだよお前ら...バケモンかよ...」

「いやいや、単なる追いかけっこで過呼吸にはならねーだろ普通」

「お前らの普通は…普通じゃねーんだぞクソ野郎共......」

殺すような視線で睨みつけてくる。

しかしそれは、いつか俺に向けた視線よりも隨分と健康的だった。

......健康的な睨みってのも変な気がするが。

するとニビは、思い出したかのように恒例のあの質問をしてきた。

「そういやお前ら、才能は?」

才能は優劣の差はあれど誰しもが生まれながらにもつ能力。基本的にはそれを使った職業を生業とする人間が殆どだ。

故に自己紹介の項目にも當然のようにる事が多い。

「凄い戦闘力高いし能力もヤバいからやっぱ戦闘とかか?」

「俺は用貧乏」

「俺は庭番」

それを聞いたニビは、これまた面白い顔で疑問符をいくつも浮かべていた。

「は?何だよその才能。聞いたことねーよ」

眉間に皺を寄せ、立派な舌打ちの後で二ビはガンを飛ばしてきた。

分かんないからって逆ギレしなくてもいいだろうに...。

「なんだよお前ら!俺見て笑うな!」

「ふはっ、悪かったって。ちゃんと説明するから」

「おいレイス。そんなに笑ってやるなって...くくっ」

「カイも笑ってんじゃねーか!!!」

ツッコミれられる程には元気になったな。うん、いいことだ。

「俺の才能は言葉のまんまだよ。何でもできて何にもできない」

「俺のは主のむ能力を得られる。主はレイスな」

「ふーん」

あ、こいつ絶対理解してない。

なんかそんな顔してる。普段よりアホ面になってるし......というのは本人が聞いたらまた煩くなるだろうから黙っておこう。

「つまりこういう事だ」

そう言って俺は、近くにあった5mはあるであろう大きな木を指さした。

「カイ、この木のてっぺんまでジャンプしてみてくれ」

「はいよっ!」

俺の言葉を聞いたカイは、言葉の通り木のてっぺんまでジャンプした。

音もなく華麗に著地し、ニビに渾のドヤ顔を見せている。

「まぁこんなじだな」

ニビはもう驚いていなかった。

俺達が異常なことに慣れたようだ。

考えるだけ無駄というような顔をしている。

「うん...まぁお前らが普通じゃないのは知ってたしもう驚かねーよ。でもさ」

今までと打って変わった、真剣な顔と聲音でニビは言った。

「才能ってのは5才までに一番強くんだ事が才能になるもんだろ?言いたくなきゃ聞かねーが、お前ら一どんな環境で育ったんだ?」

予想もしなかった所からの不意打ちに、今度は俺が驚いた。

しかしそれも一瞬の事で、いつもの巫山戯た表と雰囲気で言う。

「さぁな。忘れたわ、そんな昔のこと。余程ひねくれたガキだったんだろーぜ俺達は」

「俺はレイス程ひねくれてない自信あるけどな!」

いつも通りの會話に、ニビも素直に頷いていた。

吐き気すら覚えているのは、きっと夏の生暖かい風が原因ではないだろう。

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