《No title》17.騎士ルミス~ニビ目線~

「ご馳走様。味かったよニビ」

そう言ったのはレイスだった。

禮を言われるとは思ってなかったからし反応が遅れたが、一応「そりゃどうも」と言っておく。

(味かった、か...)

初めて言われた。

意外と嬉しいもんだ。

早起きして食料調達と調理した甲斐があったな。

これならまた作ってもいいかもしれない。

そんな呑気に嬉しがっている時だった。

カイがレイスに話しかけたのは。

「レイス、昨日のあれ聞かないと」

「あぁそうだったな」

昨日のあれ?何のことだ?

不意にレイスと目が合った。

その瞬間、何故か俺の脳で警鐘が鳴り響く。

何かとんでもない危険をじた。

一刻も早くここから離れたい。

バサバサバサッ!

慌てふためき飛び去る鳥たちの姿が橫目に映る。

原因は明確だ。

レイスから放たれている、禍々しい殺気。

理由は分からないが、その矛先は俺に向いている。

しでも気を緩めれば俺の首は持っていかれると直した。

「な、なんだよ...」

驚くほどが乾燥した。

聲が震える。上手く息ができない。

「そんなに警戒すんなって。俺はただ話がしたいだけなんだ」

巫山戯たような、摑み所のないような顔でレイスは言った。

ほんの數分前まで同じ顔を見ていたのに、眼前にいるそれは全く別人のようだ。

「お前、どこで才能の現れ方を知った? ・・・いや、誰から聞いた?」

質問の意図がわからない。

何故そんな事を聞く?

何故人から聞いたと思う?

聞きたい事が次々と浮かび上がる。

しかし、それらを掻き消す程の殺気が雑念を吹き飛ばした。

・・・・・・真実以外を言えば殺される。そう思わせるには十分すぎる恐怖だった。

「ルミス...っていう騎士。戦士の國のウルクラグナから來たって言ってた。騎士団長してるらしい」

言葉を選んで全ての報を答える。

今の報で満足しただろうか?

俺の言葉を聞いたレイスは、し考え込む素振りを見せ、何か思い當たる事でもあったのか、ハッとなってカイに何か話しかけていた。

斷片的にしか聞こえないが、ルミスが何者か知っているような口ぶりだ。

「なに...?お前らルミスと知り合いか何かか?」

俺がそう尋ねると、2人は聲を揃えて

「「お前ルミスを知らないのか!?」」

と驚いていた。

知らねーよ何者なんだルミス...。

すると2人はルミスが何たるかを話し始めた。

正直どうでもよかったが、カイより強いってのは驚いたな...。

というかその報は本當か?

レイスは言うまでもないが、カイだって十分バケモノじみた能力してるんだ。実際にやってみたら意外と圧勝したりして...。

それに、俺が見た限りあまり強そうには見えなかった。

なくともこいつらよりは。

「.........まぁとりあえず分かった。殺気なんか向けて悪かったな」

よほど警戒していたのか、冷や汗の存在に今更気付いた。

自分は今生きてここにいるのだと実する。

殺されずに済んだことに安堵する。

そして次の目的地が決まった。

ウルクラグナに行くらしい。

面倒だ面倒だと言いながら、先を歩くレイスのあとを置いていかれないように追いかけた。

拍子抜けするような場の雰囲気に、つい気を緩めてしまう。

というか・・・・・・面倒なら行かなければいいのに何故行くんだろう?

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