《No title》18.異臭
ウザったらしい炎がゆらゆらと達揺らめく今日この頃。
空は快晴、高溫多。おまけに風は吹かないときた。
さすが真夏日。最悪だ。
「暑い......やっぱ夏嫌いだわ俺...」
「俺も夏は苦手だなぁ...冬の方がいい。ニビは?」
「俺は夏の方が好きだな。寒くないし」
「そうか...それはよかったな...」
家にいた時は畑いじりしかしなかったからなぁ...。夏日に外出なんてするわけないし。
今度から定期的に外に出よう。
この暑さに慣れなければ俺は死んでしまう。
「そーいえば」
口を開いたのはニビだった。
先程見つけた川で涼んだニビの頭はびしょびしょに濡れている。
そのおかげで、ボサボサだった髪がまとまり最早誰か分からない狀態だ。
いや、これ白髪と紅い目がなかったら本當に見分けられる自信ないな...。
「なんで俺は殺気向けられたんだ?俺何かしたか?」
生まれて初めて唾噴というのをやった。
一時的とはいえ誰か分からない容姿で「俺何かしたか?」だと...?
どうしたんだ本當に別人みたいじゃないか...。
「あ、あぁあれな。あれはより正確な報を聞き出す為のひと手間」
「’’真実以外を言えば殺される’’とか思わなかったか?」
カイの問いかけに反応したニビは見るからに図星だった。
分かりやすいなコイツ...。
その後もくだらない會話をしながら俺達は歩みを進めた。
途中から風も吹き始め、暑いことに変わりはないが幾分か気分が楽になった。
そして同時に、今までしなかった匂いが訪れる。
草木でも土でも風でもない、異質の匂い。
・・・・・・の匂いだ。
「急ぐぞ。一応警戒はしとけよ」
「了解」
「わかった」
カイはともかくニビからの返事はないと思ってたから驚いたな...。
いや、今はそんな事を言っている場合じゃないな。
そんな事を思っている時だった。
「オオオォォォォォォォォ!!!!」
「!?」
獣の雄びが大気を揺らす。
この森獣なんていたのか?
なくとも俺達は遭遇しなかったが...。
いや...それより今は急がなければ。
どこの誰だか知らないが、手遅れになってしまう前に。
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