《No title》26.道がないなら

出口へ歩いて數分。

無言でいるのもなんだから話題をふってみることにした。

にしては隨分でかいし奧まであったよなぁここ・・・。窟だったのかな?」

等間隔で聞こえる雫の音が、どこか耳に心地いい。

できればここ涼しいから出たくないんだよなぁ...。外に出ても暑いだけだし。

「さぁどうでしょう?でも確かににしてはし大きいようにも思えますね」

「だよなぁ」

「ですね」

そんな事を話しながらゆっくり歩いていた時だった。

ドォォォォォォォォォン!!

突如聞こえた発音に鼓が揺さぶられる。

衝撃で足場が不安定になり、転びかけたルミスを既のところで支えた。

「なんの音だ!?」

音のする距離と方向からして恐らく場所は丁度出口あたりだろう。

だとしたらカイが危ない。

「ルミス!悪いが10秒だけ俺におぶられてくれ!今は早く出口に行きたい!」

「は、はい!」

大人しくおぶられてくれたルミスに謝しながら「しっかり摑まっとけよ!」とだけ言って走り出す。

一応でも病み上がりの彼に合わせて走ればカイがどうなるか分からない。

かと言って俺が一人で行けば、また大きな揺れが來た時に彼が無事で済むかどうか分からない。

という誰に向けられるでもない言い訳をしているに出口まで辿り著いた。

人一人抱えている分し遅くなったが、それでもおよそ10秒で來ることが出來た。

が、肝心の出口は巖が崩れたらしく塞がっていた。音の反響する合からして相當厚い巖の壁が出來てしまっている。

靜かにルミスを地面に降ろすと、彼は案の定慌てふためいていた。

「レイスさん出口塞がってますよ!どうするんです!?」

面白いほど焦る彼

うん、人間味があって良いな。強いだけじゃ疲れるだろうしな。安心した。

「いやぁ、いきなりおぶって悪かったなルミス。でも安心しろ、道がない時はな・・・」

そう言って積み上げられている巖から距離を取り、小さく呟く。

「作ればいいんだよ」

言い終わると同時、俺は巖に向かって全力で走った。

でルミスの長い銀髪が靡く。

それほど勢いをつけた俺の蹴りはいとも容易く巖を砕した。

差し込むを手で遮りながら後ろを見ると、唖然としているルミスが見えた。

・・・まぁ普通はこんな事しないよな、うん。

「行こうか」

「え?あ、はい...え?」

目の前で何が起こったのか理解できてない様子の彼の手を取り、外へと連れ出す。

そこではカイが見覚えのある男と戦闘中だった。

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