《No title》29.VS人攫い~カイ目線~
張り詰めた空気の中で行われる激しい攻撃の応酬は、雙方一歩も引かずの長期戦になっていた。
「・・・!」
突然鞭から出てきたをギリギリで避け、バックステップで後ろへ下がる。
幸いなことに相手から距離を詰めてくる気配はない。
「おや、避けましたか。一度當たれば楽になれますよ?」
奴の言う通り、そのがあたった箇所だけ木がドロドロと溶け出していた。
しでもかすったら即アウトだな...。
大きな深呼吸の後、スピード重視で懐にり込む。
すると相手は迷いなく俺の方に先程のを放った。
「そう簡単に當たるかよ...っ!」
當たる手前で急ブレーキをかけ、回転しながらのジャンプで背後にまわって奴の首を狙う。
しかしその攻撃は容易く防がれ、代わりに鞭に付著していたが飛び散ってきた。
(接近戦に持ち込めばが散って危ない...かと言って遠距離からの攻撃は鞭で防がれる可能が高いし...)
「くっそめんどくせぇなぁ!」
無茶苦茶すぎる戦況に苛立ちすら覚え始める。
それでも「無いなら作れ」と教わったのだから、その教えに従う他方法はない。
木から木へ、またその次の木へと飛び移る。
どんどん加速させていき、殘像を出せるくらいの速度まで上がった。
「これでダメージけてくれるとは思ってないけど...っ!」
飛び移るスピードはそのままに、連中の持っていた鈍を拾っては投げを繰り返す。
できるだけ早く、強く、多方向から繰り出した投擲は、全部までは當たらないものの數回は當たってくれた。
それを繰り返す中で、奴の視線が完全に合わなくなってきた。
(そろそろ頃合いか...?)
次の木で方向を急転換させ、今度こそ奴の首を狙う。
完全に虛を突いた攻撃だと思った。
しかし、剣の切先が相手の首に當たった瞬間、俺の脳で煩いほどの警鐘が鳴り響いた。
(あ、これはやばい)
何を拠にそう思ったのか知らないが、強いて言うなら本能がそう告げた。
圧倒的優位に見えるこの狀況を、俺の本能は危険と判斷した。
「カハッ・・・!」
しかし気付いた時には既に遅く、俺の腹部には鞭が貫通しており、先端からは毒と思しきが出ていた。
「あぁすいません。すばしっこくて々うざかったので攻撃しに來るまで待っていました」
大地の緑が鮮に染まる。
まずい…意識が...。
「因みに毒は大丈夫です。毒使いは解毒剤も持っているのが基本ですから、抵抗しなければ助かりますよ」
醜く嘲笑うそいつの顔が、視界の端から大きく歪む。
まだ戦おうと剣を握る手をもう一度強く握ったが、いまいち力がらない。
(毒まわってきた...やばいなこれ...目ぇ覚めたら...絶対...昏睡狀...態...じゃん...)
俺の抵抗も虛しく、必死に繋ぎ止められていた意識が途切れ、俺は地面に倒れ込んだ。
お薬、出します!~濡れ衣を著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】
田舎から出てきた15歳の少女メディは町の治療院で薬師として働いていた。ある日、患者が毒殺されそうになる事件が発生する。 多數の目撃者や証言により、メディが犯人とされてしまった。先輩に當たる治癒師がメディの高評価に嫉妬して陥れたのだ。 「やっぱり薬なんて危ないわ。治癒魔法こそが安全よ」 今までの功績に免じて、院長はメディを追放処分とした。しかし治癒魔法ではすべての體調不良は癒やせない。 何年も入院していた患者の難病を癒やすなど、メディは治癒師顔負けの実力を発揮していた。 治療院の評判に大きく貢獻していたのだが、彼女がいなくなると雲行きが怪しくなる。 一方、メディは新天地で薬屋を開くことにした。萬病をも治すという噂が広まり、いつしか客層もおかしなことになっていく。 王國最強と呼ばれた『極剣』の女剣士や破滅的な威力の魔法を放つ『皆殺し』と呼ばれたエルフ魔術師と、気がつけば特級戦力が集うようになった。 メディは今日も聲を張り上げる。 「お薬、出します!」 やがて治療院は新たな動きを見せるが、やはり傾き始める。 メディの薬屋は辺境を飛び出して名が知られるように――
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