《No title》31.才能’’庭番’’~カイ目線~
・・・アイツに負けた。
絶対いけると思ってたんだけどなぁ...。
まだまだ鍛錬が必要ということだろう。
(あ、の方行っちゃった)
奴は何か獨り言を喋ったあと、俺を置いてレイスを攫うためにへ向かったらしい。
気配が離れていく。
その瞬間、俺の才能が目を覚ました。
さっきまでじていた痛みも苦しみも綺麗さっぱり消え、代わりに頭がいつになく冴えてきた。
冷たい水の中をずっと沈んでいっているような、そんなじ。
音もなく立ち上がり標的を見據える。
奴は丁度口まで到達したところだった。
助走もつけず明らかに俺では出せない速度で距離を詰め、躊躇いなく剣を振るう。
ギリギリの所で避けられたが、奴の顔からは完全に余裕が消えていた。
「どうしたんですか庭番?先程までとは隨分変わった様子ですが」
冷や汗すら浮かべて、奴は必死に中のない言葉を紡ぐ。
(うるせぇよ。この狀態になったらの自由が効かないんだから黙っとけよ)
そう。
この狀態になれば、俺は驚異的な強さを手にれることの代償として自分の意思でがかせなくなる。
まるで何かにられているかのように、レイスの命令を遂行するべくき出してしまうのだ。
最初は心底気持ち悪かったが、慣れてしまえば楽なものだ。
なんせを預けるだけで驚異的な強さが手にるのだから。
(これ絶対終わったら昏睡狀態になるだろうなぁ...毒とかけたし。レイスはちゃんと運んでくれるだろうか?)
完全に他人事でくだらない事を考え始める。
この間も俺のはき続けているため、実質疲れるのは相手だけだ。
ざまぁみろ。
そんなじで僅かな余裕に溺れている時、場面は大きく変化した。
ドォォォォォン!!
の方から轟音。
見なくてもわかる。
ルミスにこんな音出せないだろうからレイスだ。
しかし、ほぼ本能でいている俺はレイスの方を見てしまった。
(やっべ...!)
俺が焦ったところで何がどうなる訳でもなく、レイスとばっちり視線をわしてしまう。
バタッ
’’俺達が出てくるまで誰も中にれるな’’という命令の効力が切れ、俺は再び意識を失った。
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