《No title》37.心配~ニビ目線~
ルミスが落ち著くのを見計らって、俺は彼の傷を見せてもらった。
むせ返るようなの匂いと慘たらしい傷に吐き気すらしたが、構わず手をかした。
言葉を発さず淡々と傷を隠し続け、暫くしてそれも終わる。
彼にその旨を伝えると、疲れたような笑顔で俺に禮を言ってきた。
「ありがとうニビくん」
「別にいいけど、あんまり無理すんなよ」
「あはは...。というか私達も狩りしないとね!どうする?カトラ達なら沢山狩ってくると思うけど...」
「じゃあ魚とるか。は川の近くの小を適當に狩ればいいし」
「了解。じゃあ早速行こう!」
そう言って彼は何事も無かったかのように俺の先を歩きだした。
(無理すんなって今言ったはずなんだけど......まぁ言っても聞かないか)
軽やかな足取りで進む彼にため息をつき、俺も後を追った。
ついさっきまで死人のようにかなかったくせに、今では生気に満ち溢れている。
まぁ死人みたいな狀態でいるよりは全然いいけども。
「...?どうかした?」
「なんでもないでーす」
俺の心配なども知る由のない彼は、呆けた顔で首を傾げた。
・・・また傷が開いたら俺が隠せばいいし。
旋風のルスト 〜逆境少女の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜
【一二三書房WEB小説大賞金賞受賞】《新・旋風のルスト:公開中です!》 <あらすじ>────────────────── 『私は家畜にはならない。たとえ飢えて痩せ衰えても、自らの意思で荒野を歩む狼の生き方を摑み取る!』 ■17歳の銀髪・碧眼の美少女ルストは重い病の母の治療費のために傭兵として懸命に働いていた。屈強な男たちと肩を並べて戦うが、女性としても小柄であり、実績も無く、名前も売れていないルストは傭兵として仕事を得るのも困難を極めていた。 だが、諦めない前向きな心を持つルストは、ついに未來へとつながる大きなチャンスを摑む。 『小隊長を任されたエルスト・ターナーです。よろしくお願い致します!』 ■そんなルストは、女の子故に腕っぷしや武力では屈強な男たちには敵わない。だが優れた洞察力と包容力と指導力、そして精霊科學『精術』を武器に困難な事態を次々に打ち破り、人々のために確かな明日へと繋がる未來を切り開いていく。 『みなさん! これは困難ではありません! 千載一遇のチャンスです!』 ■気高さに溢れた美少女傭兵が、精霊科學の殘る悠久の大地フェンデリオル國で砂漠の大帝國と戦い、人々を幸せへと導く! 孤獨な道を歩んでいた一人の少女が、傭兵となり救國の英雄となり、幸せの絆を取り戻すロマン溢れるサクセスストーリー! <⇩お知らせ>────────────────── 【一二三書房WEB小説大賞金賞受賞いたしました、ありがとうございます! これに伴い書籍化されます!】 【新・旋風のルスト ―英傑令嬢の特級傭兵ライフと精鋭傭兵たちの國際諜報戦記―】 2月26日開始しました! ──────────────── ただいま、ノベプラ・カクヨム・ノベリズムでも掲載中です
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