《No title》42.ウルクラグナ國王

「フォルセティア様。先程お話した3人を連れて參りました」

城で待っていたルミスに連れられ、俺達は王が待つという部屋の前まで連れてこられた。

って」

からの短い返事を聞き、ルミスが扉に手をかける。

唯一知っている國王はバカだったので、ここの國王はどんな人か個人的にし期待を抱いていた。

ガチャッ

開け放たれた扉の向こうにいたのは20代後半くらいの青年だった。

淺黒いによく映える、肩にかかるくらいの白髪。

そこから見える黒い瞳やあちこちの古傷からは、國王というより歴戦の戦士を思わせた。

「へぇ…君達が」

その人は俺たちを見てそう呟き、悠々と歩み寄って「話は聞いてるよ。うちの部下が世話になったらしいね。ありがとう」と頭を下げた。

その姿に衝撃をけ、咄嗟に膝をついて口走る。

「恐です。しかし陛下、私のような旅人に頭を下げるなどおやめ下さい。陛下の威厳に関わります」

「ならば尚のこと頭を下げなければ。部下を救ってくれた人に禮も言えないようではそれこそ私の威厳に関わる」

予想外の返答に驚き、思わず目を見開く。

そんな俺を知ってか知らずか、隣のニビにも同じような事をし、挙句の果てには未だ目を覚まさないカイにも同じ事をしていた。

「そういえば、君達は決闘大會に參加するらしいね?」

突然の質問に虛をつかれたが、俺はそれを肯定した。

さっき門のとこで決めた事なのに、ここの報伝達力はどうなってんだ?

「今回は私も観戦できる予定なんだ。ルミス達を助けるほどの力、どれほどのものか楽しみにしておくね」

フォルセティアはそう言って優しげに笑った。

必要以上の期待をされてる気がする…。

俺は何の変哲もないただの旅人だと言うのに。ちょっと悲しくなってくる。

「ご期待に添えるよう盡力致します」

俺は諦めの念を混ぜながらそう返した。

せめて大會中にルミスを助けたことを言わないでくれることを願おう。

「大會があるのは一週間後だ。それまではゆっくりしていってくれ。宿は用意しておいたから、後でルミスが案してくれるはずだよ」

彼はルミスに視線を移し、「いいかい?」と尋ねた。

ルミスは右手をに當てて「もちろんです」と頭を下げていた。

「じゃあそういう事で。3人とも本當にありがとう。申し訳ないが私も多忙のでね。ここらで失禮するよ」

そうして彼はしの足音もたてず、部屋を出ていった。

「………」

「では私達も行きましょう。宿に案しますよ」

ルミスの聲にハッとなり、彼を追って部屋を出る。

(ウルクラグナ國王か…。とんでもない人だったな…)

未だ目を覚まさないカイを、半分引きずる形で歩く。

そろそろ目覚めてもいいと思うんだが…。宿についたら起こすか。

(人格良しな上に相當手練。そりゃんな人が尊敬するわけだ)

変化のない表しの笑みを浮かべる。隣でニビが不思議そうに首を傾げていたのが、どこか面白かった。

あ、そういえば才能について聞くの忘れてた。

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