《その數分で僕は生きれます~大切なを代償に何でも手にる異世界でめに勝つ~》自己犠牲3
 午前五時、朝日がし顔を出した頃に目が覚めた。今回は興していた為か全然寢付けなかった。
 僕はあの後、宿を探して回った。極力安い所が良かったのと生徒とばったり出會す事がないように街のハズレの宿に泊まった。
 異世界なだけに、お風呂や食事等はどうなのかと思っていたが、元いた世界とさほど変わらなかった。寧ろ服を洗濯してくれたり、代わりの服をくれたり、こちらの方がサービスが行き屆いて居るような気もする。
 僕が泊まったのは所は一見ただの民家だった。いや、一見どころかっても民家だった。
 何故ならって早々出迎えたのはら大きな機とその上に置かれた、たっぷりとシチューのったお皿。そして極めつけは、十歳くらいのの子と、白髪に、立派に蓄えた白の口髭はまるで、アルプスのハイジに出てくるオンジを連想させた。そんな家族が『頂きます!』と手を合わせているのだ。
 これのどこに宿泊施設の要素があるだろうか。
 あの後、一度ドアを閉めた後、他をあたろうと足をかそうとすると、先程のお爺さんがドアから出てきて、宿という事を説明してくれた、という合だ。部屋は、二階にあり、部屋は四つある中の一番右の部屋に泊まることになった。おじいさん曰く、一番綺麗な部屋なのだとか。
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 部屋は月明かりを招く窓と、ベット、機ぐらいしか目立ったは無かった。
 昨日は本當に々とありすぎて疲れ果てていてすぐベットに寢転がった。見かけによらず案外らかくお日様の香りがした。そしてゴロゴロするにいつの間にか寢てしまっていた。
 こうして今に至るのである。
 部屋から出て一階に降りると、白髪のお爺さんこと、カールさんの一人娘のササンドラが抱きついて來る。
 サザンドラちゃんは肩までで綺麗に整えられた黒髪に、クリクリとした目の可いの子だ。
 「お兄ちゃんおはよー!」
 「おはよう」
 「あぁ、旅人さん! 丁度お食事が出來た所なのでどうぞ」
 
 そう言って出てきた朝食を口いっぱいに頬張り、五分足らずで朝食を終える。
 「すみません、帰るのは17時くらいになりそうなのでお晝は大丈夫です」
 「はい、畏まりました」
 「えーお兄ちゃん行っちゃうの?」
 「また帰って來るよ。帰ってくる時には何か手見上げでも持ってくるからしいものとかあるかな?」
 「えっとね!じゃあね!コッキーがいい!」
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 コッキーというに心當たりはなかったが人に聞けば分かるだろう。
 「こらっ!ササンドラ!あっ気にしないで下さい……」
 カールさんは寂しそうな目でサザンドラの言葉を遮った。
 「あっ、分かりました……」
 「またね、ササンドラちゃん」
 「またねー!」
 僕はササンドラとおじいさんと別れを告げて薄茶の木目がっている古風な扉を開けて外に出た。
 十五分ほど歩いて街に出るが、街の雰囲気は昨日とは違い賑やかというかどちらかと言うと、騒がしい様に思えた。
 僕がわざわざ街に出てきた理由。それはココさんと會うためだった。
 昨日分かれる間際、約束をした。
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満面の星空が輝く中、僕と彼は向かい合わせになって話していた。
  
 「あの……もし良かったらなのですが明日も來てくださいませんか?」
 
 「は、はい……是非。その時は何かしいものを買ってきましょう。何かしいものはありますか?」
 「えっとでは、こちらを」
 
 ココさんはペンを取り、白い紙に文字を書き始めた。ピタッと手を止めるとそれを僕に渡す。
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 正直、その容は僕には全然分からなかった。
 「分かりました。では、その代わりと言ってはなんですが、この國に來たばかりでこの國の事を全然知らないので、良ければ教えてくれませんか?」
 「はい!是非!」
 彼は綺麗な顔をクシャクシャにして笑った──本當に嬉しそうだった。
 「では、また明日」
 「はい、ではまた明日」
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 僕は紙に書いてあったを人に聞きながら、次々籠の中にれていく。
 籠の中には果らしきものから、お、野菜まで溢れかえっていた。とりどりと言えば聞こえはいいが、正直、形も然り、も然り、グロテスクで気持ち悪かった。
 
 多分、これで全部だと思う。
 次に僕はココさんの家に足を運ぶとしよう。
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 「あ、睦! やばいって! この前倒したあのモンスター……あいつ……あいつは……」
 一人の男が睦と神奈、それと、その他二名の集団に走って駆け寄ってきた。
 「ど、どうしたんだよ。落ち著けって」
 「こんな狀況で落ち著けるかよ! この前倒したあのモンスター……あれ、S級モンスターらしい……」
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 「この國にはモンスターというがいるのはご存知ですね?」
 街で買いをして五分程歩いた所でココさんの家に著いた。今は約束通り銀髪のは、この國の知識を教えてくれている。
 「はい、道中で一ほど見かけました」
 
 「モンスターの中にもランク分けされているんです。
C級は下級冒険者が一人で退治出來るレベル。
 B級は上級冒険者が一人で退治出來るレベル。
 A級は上級冒険者が數人で退治出來るレベル。
 S級は軍隊が総員でかかり退治出來るレベルです。S級はドラゴン等が當たりますね。」
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 「んな訳あるかよ! あのモンスター一瞬で倒せたぜ? あんな弱いやつがS級なわけ無いだろう!」
 「あいつ一なら大した事無いかもしれないけれど、あいつらは仲間意識が強く、一度倒したら何千もの集団を作り再び襲いに來るって……」
 「な、なんだよそれ……で、でも俺達があのモンスターを倒したのはここよりし離れた位置だ! 気づかれる事は無いんじゃ無いか?」
 「あいつらは臭い、つまり死臭で位置を突き止めるんだって……」
 「なんだよそれ……つまりこの村にそろそろ來るってのかよ……いつだ! いつ來るんだよ!」
 睦だけでなく神奈や二人も焦りを隠せないでいた。
 「三日後の夜……」
 「皆に知らせろ! すぐにこの村から逃げるぞ!」
 「待って睦! そんな事したらこの村の人は!?」
 
 神奈はすかさず諭す。
 「そんなの今は構ってられるかよ!」
 が、睦は聞く耳を持たなかった。余裕が無かった。死に直面したことの無い若者なら當たり前である。
 「そんな……」
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 「所で貴方があったモンスターとはどの様なだったのですか? きっと貴方で倒せると言ったらB級出來てA級と言った所でしょう」
 「えっと全的に痩せていて全は黒、目は深い赤をしていました」
 
 「四つん這いでしたか……?」
 彼の顔は凄く深刻そうだった。
 「はい……」
 彼はその言葉を聞いてより深刻そうな顔をした。そして彼はベッドの下から一冊の本を取り出してその一ページを僕に見せた。
 「こんなものでは無かったですよね……」
 それはまるで願うかのような。懇願する様な顔で僕を見つめる。
 「そのモンスターです……」
 「倒してしまいましたか……?」
 「はい……」
 「あぁ、なんて事……」
 「ど、どうかされたのですか?」
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 神奈は迷っていた。睦に従って村人を犠牲にするか、それとも時間をかけてまで村人を助けるか。
 村人を助けるにはこの広い村の人々全員がこの狀況を知り、且つ、皆が出発する準備を整えなくてはならない。それには時間がかかりすぎる。しかも責任を取って誰かが導する為に殘ることになるだろう。
 だが、村人全員を自分達の勝手さで見捨てていいものなのだろうか。言い訳がない! 言い訳が無いのに……そんな事を考えていると人盛りが出來た場所を見つけた。
 その中心には────黒田將太がいた。
 
「どういう事だよ! じゃあこの村はどうなるんだよ!」
 「す、すみません!」
 「お前らが戦えよ! お前ら沢山いるんだしよ!」
 「僕が代表となりヘルハウンドの囮になります。なのでどうか許してやって下さい!」
 ヘルハウンドは知能が低く見付けた相手を見失うまで追いかける習があるらしい。それを利用して自分が囮になり村から標的を外そうというのだ。
 あの時からずっと彼はそうだ。誰かの犠牲になり続けて生きている。
 どんな事も耐えて耐えてどれほど自分がボロボロになっても愚癡一つ零さないで、いつも、いつも、誰かの為に、それでも誰かの為に……
 やはり、引きずっているのだろうか彼の事を彼の妹、黒田さちの事を……
 「それで助かる可能はどこにあるんだよ!」
 「おいおい! ならもう一人いい囮があるじゃねーか! 悪魔を使おうぜ! どうせ數日後死ぬ運命なんだし、丁度いい」
 
 村人はその言葉に次々と同調の意を述べる。
 人は共通の敵を持つと団結するというが、彼らにとって悪魔と呼ばれる存在はそれなのだろう。殘酷な事に。
 「待って下さい! 彼は関係無い! 僕なら出來ます! 約束します!」
 悪魔というのはの人なのか。てっきり悪魔というだけにおぞましい存在を想像していた。
 「どこにそんな保証があんだよ!」
 
 「それで無くなったらどうしてくれるんだよ!」
 その時だった一斉にどよめきが止まる。
 「お待ち下さい!」
 銀髪にき通った、その聲の主は人の同い年くらいのだった。
 「おみ通り、私が囮になりましょう。ですから彼等を許してやって下さい。必ずやこの村を守ります」
 そう言って彼は頭を下げた。
 「ココさん! 駄目だ! 貴方は関係ない! お願いです! ココさん……」
 將太にココと呼ばれるは嬉しそうな儚げな笑みを將太に送っていた。
將太は悟っただろう。彼はこの境遇をけれてしまっているのだと。
 だが、將太は彼を見捨てる事をしないだろう。彼はあまりにも似過ぎていた。黒田さちに……この世界はどこまで彼に、彼に、殘酷で悲慘なのだろう。
 「私が門の外で囮になりましょう」
 彼の自己犠牲が始まった。
 彼は住民に連れられて門の外へ導される。
 將太は彼を必死で追おうとしたがあえなく住民に取り押さえられる。
 「離せっ!離せっ!離せよぉぉぉぉぉぉお!」
 將太の過去を知っている私からすれば、それは將太にとって最も殘酷な結末だった。見ているだけでが張り裂けそうだった。
 住民は將太を十字架の拘束がある臺の上に運び十字架にかけた。
 「安心しな、旅人さんこの鎖は悪魔が死んだら自で解けるようになっている。その後は逃げるのも好きにしていいさ」
 村人の一人が耳元でそんな事を口にして立ち去った。
 「ココさん……絶対に助けます……」
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 何時間経過しただろうか。
 次々荷をまとめて門の外へ出て行く人々の姿をずっと眺めていた。
 ココさんは今、どうなっているだろうか。そればかり考えていた。彼は囮で逃げる役割があるから僕みたいに拘束されるような事は無いだろうが。
 あっなるほど、その為の僕か……彼が逃げない様に……なぜこんな簡単な事に気付かなかった。僕が居なければ彼がこんな事になる事は無かったかもしれない。
 いや無駄か……彼は村人の為に死を選んだろう。彼はそう言う人間だとわかっていた。
 ずっと、ずっと、自分の愚かさに、醜さに、無力さに、絶していた。
 日はもう、かなり傾いた。空ももう赤より紫に近く、後三十分もすれば完全に夜が訪れるだろう。
 ──となると、僕が捕まってはや五時間は経過したのか。もう一度だけでいい。もう一度だけ僕に彼を救う機會を下さい。わがままというのは重々承知だ。一度貰ったチャンスを無駄にしたのだから、だが、それでも、願わずには居られなかった。
 僕は泣いていた。また同じ事を繰り返す自分の愚かさに、醜さに、無力さに、何度も何度も噛み締めてきた屈辱をまた繰り返すのかと。
 「た…………さ……」
 ──この世界はなんて殘酷だ
 「たび……さん」
 ──僕は無力だ
 「旅人さん!」
 「っ!?」
 後方から聲が聞こえた。拘束されてて見えないが慌てて顔を上げる。
 「やっと気付かれましたね」
 その聲はカールさんのものだった。
 「狀況は知っています。今から助けるので一緒に逃げましょう」
 「いいえ、無理です。私が逃げば村人達はパニックになり逃げきれなくなるでしょう」
 「お兄ちゃん死んじゃやだ!」
 「うん、大丈夫だよ」
 「お兄ちゃん一緒に逃げよ?」
 「ごめんね、ササンドラちゃん、僕は助けないといけない人がいるんだ。だから、先行ってて。助けたらすぐに行くから待ってて……ね?」
 そうだ。僕には守らなければいけない人がいた。このまま落ち込むだけなんてそんなの前と同じじゃないか。
 「うん!絶対だよ」
 「あぁ、絶対」
 「それでは旅人さん私達は王都に先に向かっておきますがおには何卒お気をつけを……鍵は外しておきましたので」
 「ありがとうございます」
 本當に僕は助けられてばかりだ。
だが、これで道はできた。
彼を助ける準備は整った。
後は、明日の夜だ。
 絶対に、絶対に、貴方を救う。
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 「睦、辭めよーぜ! 危ねぇーって!」
 「何でだよ! 俺達の力を示す為の最高な場面だぜ? 俺達の力なら危なくなったら一瞬で逃げれる! なら英雄になれる可能にかけるしかねーだろ!」
 「で、でもよぉ……」
 睦と三十人近くの男子生徒が睦を中心に話し合っていた。
 睦と他十名近くは、睦と一緒に戦うことに賛の戦闘派の人間。人數だけ見れば、逃げる事に賛の逃亡派の人間の方が多かったが、見えない分の差というがある。
 逃亡派の人間はやや押され気味だった。
 「じゃあなんだ。ここで殺り合おーぜ」
 睦はにわかに口角を上げ嫌な笑みを浮かべる。
 これが決定打だった。戦闘派の人間と違い逃亡派は傷つきたく無いと言うものが大前提にある。故に皆は怖気ずいてしまったのだ。
 「わ、分かったよ……」
 こうしてココ、將太、睦はそれぞれの願を持ってを持って戦場に赴く。
全ては明日の夜に決まる。
終わりも、始まりも、不幸も、幸福も、善も、悪も、全てが平等に響き合い、狂い合う。
________________
 『ピースは揃った! 歯車は噛み合い! 狂い合う! 君達が辿り著くのは絶かはたまた希かな? 君達が見るのは地獄かはたまた天國かな? あぁ、楽しみだよ!楽しみだよ!』
 狂い始めた歯車は止まらない。
 噛み合った歯車は止まらない。
 終わるまで回り続ける。
 彼等は自己を犠牲にする。
 を記憶を夢を大切なを犠牲にするのだ。
 年の自己犠牲は止まらない。
 『さぁ……楽しい楽しい語が始まるよ』
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