《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》幕間 バス會社の話

私の所に第一報がったのは、11時過ぎだった。そろそろ、高校生を載せたバスが次の目的地に付く頃だと思った矢先の事だった。運転手からの連絡ではなく、現地対応を行った警察からのものだった。森下と名乗った警察の言っている事がよくわからなかった。運転手を始め乗員すべての人間が意識不明で病院に運ばれたとの事だった。事故現場は、県道52號線だと言う事だった。警察に聞かれたのは次のような事だった・バスの運行スケジュールはどうなっていたのか?・運転手の健康狀態や出発前のチェック狀態は?・バスの點検狀況は?・や危険を載せるような事は?・乗員の名簿はあるのか?そんな通り一遍の事を聞かれて、できれば、狀況を確認したいので、現場に來てしいとの事だった。私は、警察に言われた資料をまとめるように社員に伝えて、現地に向かう事にした。県道52號だと言う事だから、運行スケジュール通りに進んでいた事になる。運転手も10年のベテラン二人で、健康狀態も過去の違反も問題ないし、今まで客からのクレームも皆無な狀態だ。バスに関しても法定點検とは別に提攜している工場で1ヶ月毎に點検をお願いしている。小さな町だから、工場の社長も知っているし、手抜きをするような人ではない。警察から連絡が行く前に一報れておく事にする。事故をなくす事は出來ないが、事故が発生しないように注意する事は出來る。まず何よりも、高校生の安否が気になる。警察では”すべての人間”が意識不明だと言う事しか解っていない。そんな事あるのだろうか?1臺の事故で全員が行方不明とかなら考えられるが、”意識不明”だと言う事が考えられる狀況なのだろうか?不安しか出てこない。これからの會社の事も不安なのだが、大きな事故である事には違いはない。マスコミも來るだろう。ここ暫く、高速バスの事故が続いている狀況で、またバス會社の事故だと言われてしまうのが心配だ。乗員・乗客が全員無事ならいいが、意識不明という重篤な狀況だと難しいだろう。それに、娘が乗っている。娘の安否を警察に訪ねたかったが、今はそれをしてはダメだと思った。焦る気持ちとは裏腹に目的地が遠くじてしまう。

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目的地に著いて事故を起こした現場を確認させてもらった。対応した警察も不思議に思っていたのだろうが、私も事故現場を見て最初に思ったのは、これで何故、乗員・乗客の全員が意識不明にならなければならないのか?だった。事故を起こしたと言われたバスは、”ほぼ無傷”な狀態だった。登坂車線に二臺のバスが連なった形で止まっていた。前に止まっていた場所の右側前がパンクしている以外には止まった時に出來る傷や後ろのバスが軽く衝突した後がある位で衝撃によるダメージも見つけられない。そして、不可解なのが、”右前がパンクしている”狀態なのに、登坂車線からはみ出した様子も無くブレーキ痕もなくバスが左側側面の崖に當った様子も無く停車している事にある。どうやってバスが止まったのか?パンクの原因は?そもそも、これが事故なのか?停車した狀態から考えられるのは、パンクが発生してもブレーキを掛けなくても止まれる速度で走行していた。そう考えれば、バスの狀態には納得できる。しかし、それでは、乗員・乗客が意識不明になる事象が発生する事が考えられない。私はバスの前で頭を抱えてしまった。警察にもいろいろ聞いたが何一つわからなかった。事故を通報してくれた人も不明な狀態らしい。この道は比較的通量があるが、今日は空いていたようで目撃者もまだ見つかっていないらしい。途方に暮れる私に警察が、運転手や高校生の意識が戻ったとの連絡があり、搬送された病院を教えてもらった、娘の事も心配だったが、まずは運転手に話を聞きたいと思い。二人の運転手の病院を教えてもらって向かう事にした。

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