《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》幕間 地球では

バス會社・學校ともに、記者會見を開いたのが先日。まだ目覚めない生徒が21名居る事が発表された。大きな事故だと思われたバス事故だったが、検査院しただけで、目覚めない21人以外は全て退院した。

年だという事もあり、21名の名前の報道は自粛されている。この事故が不可解な事が多い。事故が発生した狀況に説明が出來ない。その為に、自己を検分した警察の発表がまだ行われていない。警察は薬品が散布されたか、最悪テロ行為があったのではないかと疑っている様子がある。

病院に搬送された生徒の荷を警察が念にチェックしているとの報もある。バス會社も、運転手が出てきて、釈明をしている。『白いもやの様なに包まれたと思ったら、病院で寢ていた』という発表がされている。前後の齟齬はあるが、概ね取材した生徒からも同じような返答を貰っている。

不可解なのはそれだけではない。目覚めない21名以外の引率者・運転手・生徒”全員”がほぼおなじタイミングで目覚めている。だから、警察も事故ではなく、事件として捜査を始めるようだ。

「先輩。警察が何らかの発表をするようです。よ」「そうか、場所は?県警か?」「いえ、病院らしいです」「病院?まぁいい、時間は?」「今日の18時だって言っています。」「わかった、カメラと場所を抑えておけ、俺も、後で合流する。」「あいあいさー」

間の抜けた話し方をするが、仕事はきっちりやるから重寶する後輩を先に行かせた。場所もしっかり押さえるだろう。

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會見まで7時間位ある。學校とバス會社に話を聞きに行く位はできそうだ。

まずは、學校に向かった。學校の前には、まだ同業者が網を張っている。生徒には直接話しかけないなどの紳士協定が結ばれている。一日一回程度校長が出てきて、目覚めない生徒の様子を報告してくれている。學校には責任はないと言うのが、ここで網を張っている同業者達の意見だ。俺も學校側には何の落ち度もないと思う。初期対応もマニュアルに則ったであったし、危機管理の意味からでも褒められるべき対応だとは思う。バス會社の選択も札を行っての事で、雑誌社が調べたようだがそこにも問題はなかったようだ。同じ會社の奴の所に言って、話しかける

「どうだ?何かきがあったか?」「なんにも・・・。あぁそうだ、意識を取り戻さない生徒で面白い事が解ってきたぞ」「どうした?」「ここじゃちょっと・・・。まだ話を聞いただけですからね。あっこれ目覚めない21名の名簿な。おまえなら、この名簿見れば解ると思うけど、一人の子は、養子になっていて、養子になる前の名字が”吉永”で、吉永和葉。」「??あぁありがとう。これから、バス會社に寄ってから、病院に行く。おまえも來るだろう?」「あぁその前に、ちょっと時間貰えるか?取材の方法を変えようかと思っている。」「了解。」

渡された名簿を見た。今まで報道されているのと同じ事で、名簿自は俺もすでに持っている。でも、アイツが渡して來たって事は何かしらの事があるのだろう、一人の生徒の名前が”鵜木和葉”から”吉永和葉”と変えられていた。この子がそうなんだな。そして、”神崎凜”と書かれている生徒の所に、神崎進・神崎鈴と走り書きで書かれていた。

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神崎進?あぁぁぁ吉永夫妻。思い出した、あの事故の加害者と被害者だ。そして、立花と山崎。これって偶然なのか?同じ學校に集まるのは、學校の數から言っても不思議じゃない。でも、それが揃って同級生でなおかつバス事故にあって、偶然目を覚まさない。そんな偶然なんてあるのか?他にも、何かないか名簿を見てみる、”韮山”の名前を発見する珍しい名字だがら無いわけではない。でも、ここまで來ると、あの”韮山”である可能が高い。神崎先輩が良く使っていた”韮山”だとしたら・・・・。橋本・細田・西沢?俺の記憶に間違いがなければ、韮山が死んだ時に最初に名前が上がった子供だ。結局、YAMAZAKIの社員が出頭してきて話が終わったと思っていたが・・・。なんだなんだ。こうして見てみるときな臭くなって來る。本當にこれは事故なのか?他にも気になる名前がちらほらある。松田と森中ってあの教會の重鎮だろう?清水ってもしかしたら・・・・。あぁ調べる事が出來てしまった。記事にするのは難しいが、気になって仕方がない。特に、神崎と鵜木は誰も見よりがないはずだ・・・。前に、一度だけ聞いた事がある。彼に電話をしてみる事にした

「おぉ和か?俺だ。」「どこの俺様ですか?」「相変わらずだな。それですこし話いいか?」「嫌だ。おまえと関わるとロクでもない事になる。」「おまえに関係する事かもよ?」「なんだ。早く話せ。」「・・・あぁそうだ、おまえ桜ともまだ付き合いはあるのか?」「勿論だ。私が桜君を逃がすはずがないだろう?」「そうか・・・。あぁ今晩にでも桜えて會えないか?すこし聞きたい事がある。」「いいが、取材ならお斷りだぞ。」「大丈夫。記事には出來ない事だと思うからな。」「そうか、おまえのおごりだな」「あぁいいぞ!臨時ボーナスがったばかりだからな」「そうか、それならル・セールで19時に予約れておく。」「なっおま・・・まぁいい。その代わり、絶対に來いよな。」「あぁ解った。」

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はぁ桜と和と俺として、あいつらワイン飲むだろうな。5萬は覚悟しておいたほうが良さそうだな。

その前に、意識を戻さない生徒の家を廻ってみる事にしよう。もしかしたら、新しい繋がりが出てくるかもしれない。

警察発表までの時間に回れるだけ廻ってみたが、新しい発見はなかった。そもそも、家に居ない家族が多かった。殆どが病院に詰めているという事だ。

しかし一つだけはっきりした事がある。子生徒の半數が、神崎凜との繋がりがありそうだ。熱川千明に関しては、神崎凜が命の恩人だとも言っていた。そして、男子生徒の方は、立花議員の息子や山崎の息子を中心に全員がよくつるんでいる連中だという事だ。

警察発表の時間になったので、會場にった。地方のバス事故とは思えない數のマスコミが押しかけていた。カメラだけでも在京のテレビ局も來ているようだ。

後輩は見事に最前列を確保していた。もともと紳士協定でこの地域のマスコミが最前列に來るようになっていた。それでも見事としか言いようがない。顔見知りの在京のディレクタが俺を見つけて、いい絵が取れたらこっちにも廻してくれと言ってきた。ギブアンドテイクとだけ言っておいた。

警察幹部と病院関係者。立花議員が著席した。やられた!立花議員が悲劇の主人公になる絵面になってしまう。同様の事を思った関係者が多そうだ。立花が真ん中に座った関係上。絵的に外す事ができなくなってしまった。生で流している所もあるだろう、それが狙いだったのか・・・・。

警察発表は、今まで流れている報を整理しただけの報でしかなかった。バス會社に落ち度がなかった事が発表された。目を覚まさない21名の中に、立花議員の息子が居る事が説明された。次に生徒たちの容態だが、醫師の説明ではいつ目が冷めてもおかしくないというレベルのだという。心拍・脳波全てに置いて異常はない。MRIでの調査を始め検査を行った異常を見つける事が出來なかったという。目覚めないのが不思議なくらいだという事だ。睡眠薬を飲まされた時の方が數値的には異常を示すかもしれないとさえも言っていた。系列の病院から各分野の専門家が來て調べたが同じ結果しか示せなかったという事だ。異常なのは、唯一”起きてこない事”だという。

記者會見では、改めて名簿が配られたが、生徒の名前や生徒の個人宅への取材は控えるようにいわれた。その上で、立花議員が毎日定例會を開いて説明や質問をけ付けるという事だ。

そんな提燈取材をする気がないので、この場と後の事は後輩に頼んで、予約されているル・セールに向かった。時間にはすこし早かったが”上野和”の名前をだしたら個室に案された。あいつ・・・個室を予約したのか。まぁ話の容から個室の方がいいのは當然だが、5萬で足りるか心配になってきた。案された個室には、和も桜もまだ來ていなかった。店員に、水を頼んで、料理は全員が揃ってからお願いする事にした。すでに、コース料理で予約がっているという事なので、そのままでお願いした。飲みは、無しということだったので、ノンアルコールの何か適當に持ってくるようにお願いした。

10分ほどしてから、桜が現れた。「おぉ桜久しぶりだな。相変わらず、不良警か?」「おまえこそ、まだ刺されていないのか?」「俺は大丈夫だ。誠実に仕事をしているからな。それよりも和は?」「あぁちょっとまて、おまえが聞きたいだろう事をまとめてから行くって言っていたぞ。」「え”どういう事だ?」「この時期に、俺と和に話をしてきたって事は、バス事故関係だろ?そこに、鵜木和葉と神崎凜の名前が有ったからな。」「・・・・話が早くて助かる。」「いいって。それよりも、記事には絶対に”出來ない”ぞ。」「あぁ解っている。ん?出來ない?」「あぁ”するな”ではなく、"出來ない”だ。」「そうか・・・。それでも、俺は知りたいと思ってしまった。」「そうか、解った。和がそろそろ來るだろうからな。」「解った。」

それから、和が來たのは15分位経ってからだった。料理が運ばれてきて、味い鉄板焼きに舌鼓を打っていた。今は、単純に料理を楽しむ事にした。

食後のデザートが運ばれてきた。最後、珈琲と桜は紅茶を、和はオレンジジュースを頼んだ。

飲みを運んだ店員が部屋から出ていってから、和がおもむろに口を開いた。「今日、私と桜君を呼んだのは、バス事故ってよりも、”吉永和葉”と”神崎凜”の話をするためなんだろう?」「あぁ前に、和が、”鵜木和葉”の件を調べていたのを思い出してな。」「・・・そうだったのか?」「桜君。稚園はもう大丈夫?」「あぁあの時には悪かったな。」「いいよ。それも、和葉さんのおかげだからね。」「二人で勝手に話をすすめるな。」「なんだ、おまえその位の予備知識もないのか?」「當たり前だろう?今日、目覚めない21名の中に、神崎先輩の事故の被害者家族と加害者家族が居るってわかったんだぞ。」「そうか、和。いいか?俺から話しても?」「クズのマスコミでも、此奴はすこしまともだから、話してもいいと思うし、和葉さんも真相究明をしたいって思っているからマスコミ関係者にも協力者は必要になってくる。」

桜から語られる話は、なるほど表に出せないってよりも、表にだしても”握りつぶされる”だけの報だ。狀況証拠と証言だけの話になっていて、証が乏しい。現役議員の息子と地方を支える企業の息子が絡んだスキャンダルってだけでも潰される事は十分だし、警察部や多分マスコミも當てには出來ない。

「それで稚園ってなんだ?」「あぁ稚園は、俺と和とおまえが仲良く晝寢をしていた稚園が資金難になって閉園になってしまいそうな所を、助けたって事だ。」「桜。それじゃ説明になってない。」「桜君の話に補足をすると、”たんぽぽ稚園”はあの地域で唯一殘された稚園だったんだけど、工場が増えてきてマンションの建設とかで地価があがってしまって、やりくりができなくなってしまっていたんだよ」「へぇ・・・それで?」「私が、和葉さんにお願いして、鵜木さんの産で稚園を立て直して貰ったんだよ」「鵜木・・・・鵜木って鵜木先生か?」「そうだよ。何、今頃になって・・・。」「先生の産ってどういう事だ?」「面倒だな・・・」

そう言いながら、和は最初から話してくれた。

「なぁ稚園の話は、記事にしていいか?」「問題ないと思うぞ。和どう思う?」「大丈夫だと思うけど、その立ち退きを迫ったのが、立花議員に獻金している業者で、YAMAZAKIの関連會社だけど大丈夫?」「・・・なんだ、それ・・・。めちゃくちゃだな。」「あぁ」「それで稚園は大丈夫なのか?」「それは、大丈夫だ。和が、相場よりも1割高い金額で土地を全部買い上げた。周りの土地と合わせてな。」「へぇ鵜木先生の産ってそんなにあるのか?」「そうだね。まだ1/5も使っていない。後は、この件を調べる為に使ってしいと言われている。」「そうか・・・。よし、俺にも一枚噛ませろ。和も弁護士の業務があるだろう、調べなら俺の方が得意な分野もある。」「いいけど、貴方には協力費は払わないからね。」「あぁそんな要らない。ただ、証が出てきて、記事にしてよいとなった時に、俺の所で獨占的に扱わせてしい。」「・・・そうだな。それならいい。」「ありがとう。桜。和もいい?」「うん。桜君がいいのなら、私もOKだ。そうだ、バス事故の目覚めない21人の名簿ある?」「あぁあるぞ。桜も持っているんじゃないのか?」「俺は、捜査から外された。」「何かやったのか?」「立花議員が絡んでいるから、上が忖度してんじゃないのか?」「腐ってんな。」

そう言いながら、和にさっきもらった名簿を渡した。それを見るなり和が小さな悲鳴をあげた。

「どうした?」「これおかしいよ?ねぇこれっと本當なの?目覚めないのはこの21名なの?」「あぁそうだよ。俺も、取材しているから間違いないのは認識している。確かに、不自然だけど・・・・な。神崎凜との関係が濃すぎるように思える」「違う。違うの。この男子生徒11名の名前は間違いないの?」「あぁ・・・神崎凜をれると、12名だけどな。」「・・・。桜君。この名簿見てみて・・。」

桜が、和から名簿をけ取って、生徒の名前を確認して行く。

「あぁ確かに異常だな。」「だから、何がだ。もうしわかりやすく説明しろよ。」

「いい。これは、まだ確定してない事で、一人のの子の証言と當時の記事からだからね。」「だからなんだよ。」「この男子生徒・・・。神崎凜と茂手木義徳の二人を除く10名が、神崎悠が溺死した場所に居合わせているの。そして、偶然居合わせた事になっている子生徒の証言では、この10名が神崎悠を溺死させた。」「なっ!」

その當時の記事や子生徒の証言を、和と桜が話してくれた。そして、和のパソコンにのこされている當時の記事から、生徒の名前が判明した。全員一致している。どういう事だ。本當に、これは偶然なのか?

「それだけじゃない。この茂手木って生徒のお父さんは、車の事故で一人をはね殺している。その殺したのが、清水未來を慘殺したと出頭してきた犯人だ。」「桜・・・それに、その清水未來は、清水結の義理の姉になる。」「桜。和。この報を摑んでいるかわからないけど、この”韮山里穂”って子なんだけどな。神崎先輩がよく使っていた報屋の子供なんじゃないかと思う。」「・・・・ここまで、そろうと、もう偶然だとは思えない。」「あぁ桜。和。お前たちはこれからどうするんだ?」「私は、和葉さんの意思を尊重して、和葉さんのご両親の事故を調べる。」「俺は、和に報を流す。」「そうか、おれは他の子がどんな関係だったのか調べてみる事にする。」

冷めて溫るくなった珈琲を飲み干した。會計をしてから、外に出る。和が、渡せる資料だと言って、當時の記事や今までの経緯をまとめた書類を渡してくれた。丸めてポケットにしまった。薄ら寒い気持ちだけが殘されてしまった。

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