《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》招待への返事
リンは、招待狀の返事を読み返している。
近くに控えているモルトに書狀をわたして「モルトどうだ?大丈夫そうか?」「問題ないかと思われます。ただ、リン様・・・。」「解っている。はぁなんでこんな面倒な事をするのだ?」「しょうがないと思われます。彼らも必死なのですから・・・。」
そう各國からの返事には、式典への參加は『喜んで參加』になっている。これに関しては、嬉しい話だが、ほぼ全ての國でおまけがつけられている。今、そのおまけを読んで、リンとモルトは苦笑を浮かべているのだ。
ほぼ全ての國で『リン=フリークスに領地を與える』ということだ。リンとしては、領地なんて貰っても運営出來ない上に、モルトの予想だと、紐付き領地になっているのではないかという事だ。ここでいう紐付きとは條件の事を言っているのだが、リン達からレインを引き出したいのだ。その上で、王族や有力貴族との婚姻を餌にして、自國に有利な狀態になりたいと思っているのだろうと予測されている。
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「考えてもしょうがないか・・・。神殿の確保だけできれば、『後はいりません』で十分何だけどな。」「はい。一応、返事としては、そう返してあります。」「そういえば、南方連合國サウスワード・コンドミニアムでは、ラーロさんの國が參加を認められたのだったよな?」「はい。リン様の屬國が參加を認められました。」「・・・あぁやっぱり、テルメン王國の屬國扱いになるのだ・・・。」「はい。ラーロ殿が強固に主張したようです。」「あの人は・・・まぁしょうがないか・・・。」「それで・・・。」「なんだ?」
モルトは、違う書狀を出してきた。南方連合國サウスワード・コンドミニアム連合政府からの書狀の様だ。リンは、書狀をけ取って、開封して中を確認する。一読して、リンは頭を抱えてしまった。
「モルト。読んでみろ」「はい」
モルトは書狀をけ取って一読する。
「リン様。どうされるのですか?」「どうするも、決定事項の伝達の様になっているよな?」「そうですね。ひっくり返すのは難しいかと思われます。」「そうか・・・う~ん。なぁモルト。他の國もこれで終わりに出來ないかな?」「・・・そうですね。アデレード奧様の件を、アルフレッド陛下から公表して貰えれば、可能だとは思います。」「そうか、アデレードの事が有ったのだったな。うん。ローザスに頼んで見る。」「はい。それがよろしいかと・・・。」「・・・はぁ面倒だな。」「そうですね。ですから、ミル奧様やサリーカ奧様がおっしゃっている様にすれば・・・。」「そうだけど・・・それじゃ全方位的に敵を作る事になると思うけど・・・。」「そうですが、イリメリ奧様やサラナ殿。ウーレン殿やマヤ奧様の言葉を借りれば、大陸中を制覇できる。」「やだよ。そんな面倒な事。モルトが代わりに統治してくれるのなら考えるけど・・・。」「お斷りします。それは、リン様の役割でございます。私は、テルメン家の家令スチュワードでございます。」
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それから、モルトはテルメン家に関する報告を行った。人手が足りなくなってきて、ドラウとゴルドに依頼して、エルフを數名廻してもらう事になったという。一通りの報告と承認を貰ったモルトは一禮して執務室から退出した。
リンは、暫く書狀を眺めていた連合政府からの通達は、リン=フリークスに、南方連合國サウスワード・コンドミニアム名譽市民の稱號と、名譽侯爵の地位を授けるというだ。各國も報機関があるのだろう。リン達が援軍なしに、トリーア王家の3伯爵と正面から戦って無傷で勝利を収めた報は手しているのだろう。敵に回したくないが、正面から乗り込んでこられるのも困る。流通も握られる可能がある事から、表立って敵対する道ではなくて、取り込みに躍起になっているのだという事だ。「ヨフム。アデレードを呼んできてしい。」「かしこまりました」
側に控えていた。ヨフムが部屋から出ていった。それと同時に、オイゲンが面會を求めてきていると言ってきた。「オイゲンが?一人か?」「いえ、奧様と一緒です。」「そうか、エルフリーデ殿だけ通してくれ。どうせ、オイゲンとは話しにならない。」「・・・かしこまりました」
しばらくして、オイゲンとエルフリーデが執務室にやってきた「ようこそ、エルフリーデ殿。呼んでくれれば、私の方からお伺いしたのに」「いえ、それには及びません。リン様にお願いが有ってきました。」「どうぞ、お話をお聞きしましょう。あぁそちらの、エルフリーデ殿の夫君はおかえり頂いて結構です。」「リン。おまえな・・・。実質的に困っているのは俺で、エルはその説明をしに來たのだよ。俺がいないと話が進まないだろう。」「そうなのですか?エルフリーデ殿?」「えっはい。あのぉいつまでこれ続けるのですか?」
その言葉で戯言は終わって、オイゲンとエルフリーデが、リンの前に座った。レマーが、リンには紅茶。エルフリーデには果実水。オイゲンにはレモンスカッシュをそれぞれ持ってきた。
「それで、オイゲン。何に困っているのだ?」「あぁエル。頼む。」「ほら、やっぱり。おまえ必要ないだろう?」「リン様。オイゲン様。そろそろ、本題にりたいのですが・・・。」「すまん」「ワリィ」
エルフリーデの説明はわかりやすくなっていた。簡単に言えば、オイゲンの街『ビッグスロープ』に各國の間者と思われる者達が大量に出りしていたという話だ。そいつらが一斉にいなくなったと思ったら、今度は、オイゲン宛に書狀が屆いて、どこから報を得たのか、商人や貴族から、見合いを大量に申し込まれているという話だ。
「それで、オイゲンは見合いをけて、嫁を増やすのか?別に俺は反対しないぞ」「違う!リン。おまえ、解って言っているな。俺は、これ以上の嫁はいらないし、見合いもしたくない。」「そうなのか?」「當然だ!」「なら、斷ればいいだろう?俺に相談するまでもないだろう?」「あぁそうだけどな・・・。」
「リン様。そこは私が・・・。」
エルフリーデが言うには、何人かの商人や貴族が、斷ったら、テルメン王家との取引を停止すると言ってきたらしい。また、オイゲンはその新興國の”いち貴族”として、大國に禮儀を取るべきだと言ってきていると言っている。
「なんだ、そんな事か?気にしなくていいぞ」「え?いいのですか?」「あぁ付き合いたい人間たちとだけ付き合えばいい。俺たちは、別に周りの國と強調するつもりはないからな。」「・・・オイゲン様。どうしましょうか?」「リンがそう言っているのだから、気にしないで斷ってしまおう」「あぁそれでいいよ。他にはなにかある?」
「リン。あのよ・・。ゴム何だけどな、何人かの商人や娼館が卸してしいって言ってきているけど、他國に出していいのか?」「ん?あぁオイゲンがしくて、しくて、しくて、しょうがなかったコンドームな。いいよ。好きに売ればいいよ。」
エルフリーデが耳まで真っ赤にして俯いてしまった。
「おい。リン。」「違うのか?違うのなら、おまえの所から引き上げるぞ」「っちがう。そんな事を言っているわけじゃない。」「まぁいいよ。本當に、オイゲンの好きにしてくれていいよ。でも、おまえ今自分では使わないのだろう?」「あぁそうだな。」
「もう。リン様もオイゲン様も。いい加減にして下さい。」「ほら、オイゲン。おまえのせいで俺まで怒られた。」「エル。違う。リンが・・・。」
「はい。はい。お二人の中がいいことは解りました。」
エルフリーデは、リンとオイゲンの掛け合いをいなしながら、決めるべき事をさっさと決めていく。
「それで、リン様。私の事は、エルフリーデとお呼び下さい。」「はい。はい。マダムエストタール。」「・・・もういいです。お好きにして下さい。」
レマーが替えの飲みを持ってきた所で、會合が終わって、雑談になった。
「リン様。ヨフムがアデレード奧様をお連れです。お通ししてよろしいですか?」「あぁ大丈夫だ。」「リン。俺たちはこれで帰るな。頼むな。」「解った。マダムエストタールのご主人殿。」
オイゲンとエルフリーデが執務室を出ていったとれ替わりに、アデレードがってきた。
「リン。ゴメン。まだ良かったのに」「大丈夫。丁度話が終わった所だからな。」「そう・・・。それで、何?」「ちょっとこれを読んでしい。」
アデレードに、リンに來ている書狀を見せた。
「ほら、リン。だから、私は妾でもいいって言ったのに・・・。」「ダメだよ。それは、何度もみんなで話して決めただろう。」「そうだけど・・・でも、これ・・・あぁそういう事ね。」
アデレードが、最後の南方連合國サウスワード・コンドミニアムからの書狀を見て納得した。
「うん。他の國もそれで納得してくれないかな・・・。その為にも、サイドアルフレッド陛下には、リン=フリークスとアデレードの分を正式に発表して貰いたいのだけど、できるかな?」「兄様は問題ないと思うよ。多分、問題になるのは、ミヤナック家とウォード家でしょうね」「そっちも有ったか・・・。なぁアデレード。こういうのは出來ないかな・・・。」
リンが提案したのは、あまり褒められた手法ではなかったが、もうそれ以外に取れそうな道はなかった。
「どうかな?」「えぇけして褒められる方法ではありませんが、その程度の事なら大丈夫だと思われます。」「そう。それじゃ手配とか頼んでも大丈夫?」「はい。ミーシャやエミール達にも手伝ってもらう事になりますが、よろしいですか?」「うん。頼む。」「解りました。」
リンがアデレードに語ったのは、男児を何人か養子にして、その子供たちに婚姻の約束をさせるというだ。又は、リンの直臣に輿れでもよければ、お見合いの場をセッティングするので、そこでお見合いをする事でお茶を濁すつもりだ。最初は、リンの子供を考えたが、まず子供ができるか解らない。オイゲン達の様子を見ても子供が出來ないにくい狀況なのは間違いない。種族的な問題は大丈夫だろうというのが、ドラウやゴルドの見解だ。もし、種族が固定されているのなら、”ハイエルフ”がここまで産まれにくい理由にはならない。
急な問題としては、各國の返事として、”リン=フリークス”との見合いは出來ない。オイゲンも同じだという事を告げる。その上で、"リン=フリークス”が養子を取って、その者との婚姻なら認められるが、その場合は政治的な権限や役職の保証など一切しない。商売上や政治的な配慮も一切しない。それ以外では、”リン=フリークス”の直臣との見合いの話をセッティングするので、それでもよいのなら、建國祭の時に場所を提供する。
「直臣で落ち著いてくれるのが一番だけどね」「そうですね。それで、陛下にはなんて伝言しましょう。」「あぁそっちもあったのか・・・。そうだな・・・。
リンとアデレード二人で、ローザスに宣言してもらう文章の草案を作っていく。何を言い繕っても、リンがトリーア王國の出である事。アデレードが王家の人間である事。ルナがミヤナック家の者である事。そして、マルティンがウォード家の者である事には間違いない。隠すことも出來ない事実だ。その上で、トリーア王家からテルメン王家との関係を政治的に利用しない旨を宣言してもらう。その上で友好國として今後も協力していく事を宣言してもらうのだ。
「こんなかな?」「後は、兄様に任せましょう。」「そうだな。それじゃアデレード頼める?」「うん。わかった。」
アデレードが作った文章を持って執務室を出ていった。
これで、招待客の人數や規模が概ね把握できる。ここが島で良かった。當日に急に人數が増えてもギルドカードが無いと島に來られないので、急に數倍に増えるような自は避けられるだろう。
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