《小さき蒼雷の魔法使い》第五十五話「新人SSランク冒険者」

「さて、どの話からしようかのぅ。」

ウィドは椅子に座ったまま手元の書類を確認して話す順番を迷っていた。

その間、ライガ達三人はお菓子をつまみ話が始まるのを靜かに待った。

「やはり今回の発端である依頼報告からかの?」

ウィドは食べるのに集中してしまっているライガ、シオン、カレンそれぞれを見て言った。

「ああ、いいぞ?」

「そうか、では報告を頼めるか?」

そして、ライガは報告を始めた。

と言っても今まであった事をそのまま話しただけなのだが、それでもウィドには頭を抱えたくなるような話が次から次へと出て來た。

それでも、一先ず整理する必要があるのでウィドの隣ではリザが報の整理を行い、必要な報と重要度の高いを素早く仕分けていた。

因みに騎士団長に関係する事はぼかして話した……嫌な予がするからな。

「一応以上だ。」

ライガが一通り話し終えると頭を抱えていたウィドはライガへと質問を始める事にした。

ライガの話しの通りならばなくともこの國の裏の住人が関わっている事になる。

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裏の住人の中には闇ギルドなど様々な組織があるのだが、報告の容ようによるとほぼ闇ギルドが関わっている事は確定だろう。

闇ギルドはこの國だけではなく他の國にもパイプを持っているため実質解決はしないだろうとウィドは思った。

「こればかりは、仕方ないか……貴族の子供たちを一人も失うことなく救出出來ているだけで十分だと思う。」

「実際に危なかったがなぁ……2人の不注意によるところもあったが。」

「「うっ…………。」」

突然のライガのセリフに2人は揺してしまった。

てっきり後で問い詰められるのだと思っていたが、結局何事もないまま今日まで來ていたので、忘れているのだと安心していた……というより2人も頭から消えていた。

しかし、ライガも鬼ではないので今は簡単に済ませることにした。

「カレン、シオン?」

「ご、ご主人!」

「……ライ君?」

その瞬間、ライガの優しい聲に一筋の希が2人を包み込んだ気がした。

「2人とも……一日休んでから討伐依頼をけれるだけけようと思ってるんだけど、10回依頼をける間の戦闘は2人で殺ってね?」

ライガのその言葉に、カレンとシオンは頭に疑問符を浮かべていた。

「ご主人?それが罰ですか?」

「そうだな。簡単だろ?10回の討伐依頼で完了だから頑張ってな。」

「それだけなら簡単だね!直ぐに終わらしちゃうよ!」

その言葉がライガに刺さってしまった。

「ん?シオンは足りないのか?なら、20追加な?」

「えっ~!?」

「そろそろいいかのぅ?」

三人が茶番を繰り広げているとウィドからお聲がかかった。

「「「は~い」」」

「では、話の続きをして行こうかの。

今回の依頼を無事達したことで報酬を渡さないといけないのじゃが、まずはこれを三人に渡しておく。」

そう言ってウィドは持ってきた箱の中から三枚の銀のカードを三人の前に置いた。

カードにはそれぞれの名前と冒険者ランク二つ名が書かれていて、一番下に何かの魔法が文字として刻まれていた。

「これは?」

「それは、冒険者カードじゃ。今回の依頼によって晴れて特別待遇で冒険者の仲間りじゃ。

冒険者カードには、見ての通り簡単な報が見れるようになっておる。

魔力を流せば自分の倒した魔と數が表示されるようになっているのじゃ。」

ウィドは簡単に冒険者カードを説明してくれた。

簡単に冒険者カードの機能はこんなじだ。

1,冒険者としての分を証明するものであり、冒険者ギルドのある街への出りの際に、貨幣が必要無くなる。

2,冒険者カードには自分の倒した魔と數が分かるようになっている。

3,冒険者ギルドと連攜している店舗での買いの際に提示すると若干安くなったりすることがある。

大きく分けると以上らしいが細かく分けるとランクによって機能の制限や追加等があるらしいがそこら辺は教えてくれなかった。

そして、こんな説明をしているとウィドの話も丁度終わったようだ。

「……とこんなじじゃ。わかったかの?」

「大丈夫だ。話を進めてくれ。」

ライガが話の先を促すとウィドは頷き報酬の話にった。

「まあ、話と言っても、ここでは大したことは出來ないのじゃがな。」

「……どういうことだ?」

「報酬の話をするためには依頼主と話をしなければいかんだろう?」

ウィドとリザは席を立ちライガ達を手招きした。

そして、そのままギルドの裏口から外へと出た……するとそこには豪華な馬車が待っていた。

「今から領主であるバルト・ルーベンス様の屋敷へ向かう。

そこで今回の依頼の報酬を決めよう。」

「わかった。」

ライガ達は馬車に乗り込み領主の屋敷へと進んで行った。

馬車の中は案外広めに作られており、4人がゆったりと座れる作りになっていた。

真中には機があり端には簡易ではあるが、置まであることに違和じた。

「この馬車は一般的な馬車なのか?」

思わずウィドへと聞いた。

「いや、一般的ではないな。この馬車は特別製でな、馬車全が魔道として出來ているのじゃ。」

この世界の本來の馬車とは4人が座ればギュウギュウになり待たないと行けないほど狹かった。

しかし、今回の馬車は外から見たままでは、普通の馬車なのだが、ひとたび馬車の中へとると、どこにそんなスペースがあるのか分からなかった。

まあ、報酬がもらえるのなら何でもいいか…………。

皆様、柊☆黐です。

本日もお読み頂きありがとうございます!

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さて、次回は第五十六「報酬」お楽しみにっ♪

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