僕の腕で支えられながら銀はし元気が戻った聲で言う。

「すまぬ千草、隨分心配させたようじゃ、けない」

「大丈夫だよ！  それよりも、銀はもう大丈夫なのっ？」

「うむ。だいぶとマシになった。舊知の仲じゃと……油斷しておった。まさか黒狼のやつが……」

その小さなを僕の支えなしでちょこんと座らせて、銀は淺くため息をついた。

顔も隨分良くなったかな。完全に戻ってないところを見ると、やっぱり急場凌ぎなんだ。

「おいそこの、世話になる。禮を言うぞ」

「いえいえ！  まさか銀狼様とお話しできるとは思いませんでした」

「名はなんという」

「槐えんじゅと申します」

「ふむ、悪くない名じゃ。覚えておこう」

ここでは偉い人のはずの槐さんが栄です、だなんて！  なんだか銀が偉い人みたいじゃないか！

「なんじゃその顔は……」

「銀が元気になってよかった！」

「噓じゃろ。馬鹿にしとるじゃろぬし」

「してないよ！  ただ、銀があからさまに偉い人っぽいから違和じちゃって」 

「これ、やめんかくすぐったい」

銀が持ち直してくれたことが嬉しくて、抱き寄せて頬ずりしてしまった。

いつもと違って小さくて可いから……なんだろ、背びして偉そうに振る舞ってるように見えてたまらなくなるんだよね。

あ、槐さんが信じられない景を見ているかのような顔で見てる。

「難儀なことになったのう。こんな姿になったのは初めてじゃ。黒狼め……」

「神気が封印されちゃったの？」

「うむ。直接封じておるのは蛇姫じゃがな」

銀は今、著のサイズが合わなくて真っなんだ。

掛け布団を巻いて一応隠してはいるんだけど。

なんで僕が今、それを言ったかというと……。

「おお！ つるつるじゃぞ、千草」

「こら、見せなくていいから！ わかってるから！」

巻いた布団を開いて、を曬してくる！

ぺったんことはいかないまでも、慎ましやかなと相変わらずの白い。

目つきは相変わらず鋭いけど、やっぱりここまで小さくなっちゃうと、普段からのギャップもあって可らしい。

そんな悠長に話している場合でなくて……。

「銀、子鞠と汰鞠が助けてくれたんだけど……」

「あやつらのことなら心配いらん。子鞠はまだまだ未じゃが、汰鞠はあれで申し分ないからの」

それに、狐の神使共も來ておったしなと続けてから、すぐ近くに置いてあった鉄扇と煙管に目をやった。

「著がいるの。槐、ワシに合うものを用意できるか？」

「申し訳ないです。銀狼様にお貸しできるほどの上等なものはありません」

「この際贅沢は言わん。このに合うものならなんでもよい」

著を掛けるための桁に掛かった、本來の銀の著。

その黒を基調とした著は、相當上等なみたいだ。