《僕と狼姉様の十五夜幻想語 ー溫泉旅館から始まるし破廉恥な非日常ー》第18節37部ー蛇姫様の前にー
隨分と遠慮のない話し方だ。おそらく、ここから外に聲がれることがないのだろう。
「蛇姫様にも困ったものだ。人の子一人捕えるだけでこの騒ぎとは」
「銀狼様が目付け役としてついておる人の子だ。そもそも捕えるだけでも難儀するだろうに」
自分たちが仕えている主人に対しての不満をらすこともしばしば。
蛇姫のわがままに振り回される方も大変だろう。汰鞠は心中お察ししますと心の中でつぶやいていた。
しかし、その人の子を守る銀狼に対しての不満もひどいものだった。
なぜあんな人の子を守ることがあるのか。銀狼は品がない、ならばその下も。
銀狼も、蛇姫様に逆らわなければあんな哀れな姿にならずに済んだものを。
そんな言葉を聞いて子鞠はむすりとし、目を閉じ拘束されるがまま大人しくしていた汰鞠も、心中穏やかではないようだ。
「あう……姉ねえさま、こまにおとなしくしろって言ったよ……?」
「言われずともわかっています」
ぶすくれていた子鞠が息を潛めて怖がって、わざわざそう確認するほど汰鞠が纏う雰囲気がささくれ立っていた。
だがまだ佇まいに余裕はある。返す言葉も、しばかり震えてはいるが理というものを孕んでいた。
子鞠はその姉の危うさにづき、聲をかけながらもそそくさと距離をとって、檻の角で小さく丸まっていた。
「それにしても、黒狼様のご協力まで……」
「ああ、狂気の沙汰ではないぞ。蛇姫様は一なにを対価にあの方のご協力を得たのか……」
敵にしても味方にしても結局は恐ろしいとでも言いたいような會話がわされていた。
その噂の神は今、この地下牢の上にそびえ立つ樓閣の一室にいた。
距離を開けて、堂々たる態度をとっている蛇姫と向かい合い立っていた。
黒狼の後方には、鬼燈の巫が恭しく膝をつき、頭を垂れている。蛇姫の前だからだろうか。
「……で、銀狼の神気を封じはしたが、柊の子には逃げられたというのかや」
「ああ、隨分男見せてたぜ。見た目はそのものだったけどよ」
「他人事のように口を開くのはやめなんし。きさんの落ち度じゃ、まぬけ」
黒狼は顔を逸らし、べっと舌を出しつつこれでもかと間抜けな表を浮かべていた。
悪うござんしたねと、心の一つもこもっていない悪態にも似た言葉を吐く始末。
「その様子じゃと、八雲を救う気は無いのかや……?」
「冗談だ、冗談。悪かった。だがこっちも言わせてもらうけどよ、銀狼以外に、九尾までも手ェ貸してるたぁ聞いてなかったぜ」
「ふん、わっちですら予見できんかったこと。あの中立気取りがまさか人の子に手を貸すとは思いんせん」
漆塗ったような艶のある黒髪を、流るるがままに垂らし、妖艶な紫の瞳をその切りそろえられた前髪からのぞかせる蛇姫。
だらしなく著崩された著は、その佇まい、容姿からもはや品のようなものさえ醸し出していた。
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