《僕と狼姉様の十五夜幻想語 ー溫泉旅館から始まるし破廉恥な非日常ー》20節-力仕事-

「おぅ、柊の坊ちゃん大丈夫か? 力仕事任せちまって」

「余裕ですよっ?」

屋臺とかを組み立てるのに結構重たいものを持ったりするんだけど……なんかおっちゃん達からすごく心配される……。

「千草くん、あんまり無理しちゃだめよ? ちゃんと言わないとなんでも任されちゃうんだから」

「そうよ、おばさんたちと炊き出しの準備しましょ? 力仕事じゃないししはマシかも」

「大丈夫ですからっ。もー、そんなに弱々しく見えるかなぁ」

「こんな可い子に力仕事はねぇ」

「男ですから! 可いの関係ないですから!」

よいしょいと屋臺の枠組みであるところの鉄パイプを何本かまとめて擔ぎながら、僕は淡々とそれを各々の場所に運んでいく。

「カズぅ! それこっち持ってきてくれや!」

「あいよ。……ったく、いちいち人使い荒ェんだよあのおっさん」

「文句言わねーでちゃんと働けっての。うちまで目ぇつけられるし」

「っせぇな」

僕と一緒に同じクラスの友達、羽間(はま)一真(かずま)と伊代姉の友達のヤンキーギャルな見た目の中塚葉月さんが近くで作業してる。

一真はであるところの葉月さんのフォローをしつつの作業みたいだ。

葉月さんは力仕事をしてるためか長い茶髪を後ろでくくってポニーテールにしてる。

ホットパンツに黒いノースリーブと隨分涼しげな格好で、首にはタオルをかけて汗をいつでも拭えるようにしてるみたい。

「弟君、それ向こうっしょ? 手伝ってやろっか?」

「あ、じゃあもう一本あるんで運んでもらってもいいですか?」

「りょー」

「おい、いじめてやんなよ」

「はぁ? いじめねぇし! ったく、うちをなんだと思ってんだ」

ちょっと無理をして何本かまとめて持って行こうとしてたところを葉月さんに見られて手伝ってもらうことに。

「よっと。これどこ持ってくじ?」

「こっちです」

「あー、結構遠いじゃんね。もうちょい近場任されてりゃいいのに」

「僕結構力持ちなんですよー?」

「んな華奢な腕で何言ってんだか」

葉月さんはケラケラと笑いながら僕の後ろをついてきて、しばらくすると隣で肩を並べて歩くことに。

「伊代は稽古?」

「そうで……」

「あー敬語とかいいし。めんどいきもい」

「ええ! きもいは言い過ぎ!!」

「わりー。伊代の弟ならうちの弟も同然じゃん。遠慮すんなし、まじで」

「う、うん……その理屈はおかしいと思うけど敬語はやめま……やめるようにする」

「おっけーそれでよし。で、今回哉と伊代とあの裝野郎だっけ、踴るやつ」

「そうだよ。まさか詩織さんが舞うことになってるとは思わなかったよ」

「だろー? うちもびびったってマジで。和菓子屋なんでもありかよって」

「和菓子屋関係ないとおもうけどな……」

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