《比翼の鳥》第7話:異世界

トリップから復帰した俺は、ルナに気になっていることを質問することにした。

ちなみに、先ほどまで立っていたのだが、今は壁に寄りかかりながら二人で並んで座っている。

まず聞いたのは、ここはどこか?という話だ。

「魔の森?」

コテンと首を傾けながら相変わらずの疑問系で応えてくれた。

いや、相変わらずらしい仕草ですがね?魔とか、どこのゲームの話ですか。

「魔…。魔がこの森に住んでいるのかな?會ったことある?」

ルナは「んー」と、し考えて。フルフルと首を振る。

「そっか。んじゃ、日本って聞いたことあるかな?俺の國の名前なんだけど。」

それに対しても、ルナは首を橫に振るだけだった。

その他、々な質問をしていった所、予想通りというか、なんというか、ここが俺の知っている世界ではないと確信するに至った。

曰く、ここは魔の森と呼ばれる樹海の奧地であり、世界の果てにあるといわれている場所だということ。

曰く、この世界は神が作り、霊が支配する世界であるということ。

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曰く、魔に相當する異形の化けが生息すること。それは夜になると活発に活し人を食らうとの事。

曰く、月が4つあり、霊に対応したをしているとのこと。

曰く、この世界には魔法があるということ。

ここまで聞いて、俺は魔法の話に食いついた。

「魔法?魔法って炎を出したりとか、空を飛んだりとか?そんなことができちゃったりする魔法?」

ルナはその言葉に、コクコクと頷く。

何ということでしょう!おっさんであるこの俺だが、それはもう、魔法とか聞いたらじっとしていられない。

たとえ、年を考えろと言われても、憧れに似たこの気持ちは…おっさんになろうと、子供のころから変わることは無い。

俺はややテンションが上がっている事を自覚しつつ、更にルナに質問を続けた。

「もしかして…ルナは魔法を使えたりしちゃう?」

ちょっと弱気に聞いた俺の言葉だったが、これには迷うことなく、ルナが頷く。

おおおおお!素晴らしい!!これはもしかしたら、生魔法が見られるかもしれない!

いやいや、落ち著け。まだ、お願いしてみないと分からない。

「可能であれば…なんだけど、今見せてもらうことはできる?何でも良いんだけど。」

その言葉に、ルナはし考え込んでから「ん」と頷いた。

「おお!ありがとう!!」

俺のテンションは、うなぎ上りである。

どんなじなんだろうか?詠唱とかあるのかな?

霊がいるって言っていたから、と召喚とかそういうタイプかな?

ドキドキしながら待っていると、ルナの目の前にいきなり水の珠が現れた。

水の珠は、空中にユラユラと漂いながら徐々に大きくなっていく。

その非現実的な景に、俺は一瞬我を忘れて見っていた。

更に水の珠は大きくなり、俺の頭くらいの大きさになって、膨張が止まる。

俺は、変化が終わったことで我に帰った。

凄い…。まさかの無詠唱にもびっくりだが、こうも簡単に理法則を無視されるとしかない。

ふと、ルナに目をやると、こちらを伺うように見ていた。

俺は、今この心を配している興そのままに話しかけた。

「凄い!凄いよ!!ルナ!!これが魔法かー!!良いなー!!しかも、無詠唱?便利すぎる!!すげー!!ハハハ!!」

最後は、あまりに興しすぎて笑えてきた。

その様子を見ていたルナがびっくりした顔でこちらを見ていた。

「ああ、ごめん、ルナ。なんか年甲斐にも無く興してしまってね。けど、これは本當に凄いよ。したよ。良いもの見られた!ルナありがとうね!」

俺は勢いのままに、笑顔でそう畳み掛けた。

そして、まだ宙に浮かび続けている水の珠をマジマジと見つめる。

ルナはしばらくの間、黙っていたが「もっとみる?」と言って來たのでお願いした。

その後は凄かった。

天井から雨が降ってきたと思うと、その雨が俺たちに當たる前に明なのようなに遮られて、ふちを伝って落ちていった。

先ほどの水の塊がいきなり氷になったかと思うと、大きなツララ狀のに変化し、壁に突き刺さったと思ったら、室なのに突風が吹いて、突き刺さったツララを真っ二つにした。

床に溜まった水が巻き上がり、竜巻のように渦巻いて部屋の真ん中を躙していく。

俺はその様子を見るたびに、うおー!とかすげー!とか、シールド!?カマイタチ!?かっけー!なんてはしゃいでいた。

ルナはそんな俺の姿を見るうちに段々興に乗ってきたのか、使う魔法がどんどん派手なものに変わっていき、気がついたときには部屋の中を臺風が通り過ぎたようなカオスな慘狀と化していた。

そんな慘狀でも、ルナの「むふー!」という息が聞こえて來そうなドヤ顔を見て、かなり癒される俺であった。

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