《比翼の鳥》第19話:ココロとココロ

「そもそも、私たち霊は好みの魔力のあるところに呼び寄せられる習があるのね?さっきも話したけど、私のように人の形が取れるほどの霊になると魔力に乗った意思に影響をけやすいから、私自も、好みじゃない所には行かないの。私はね、ツバサちゃんの魔力の殘り香がとてもおいしそうだったからここに顕現したの。」

そこまで聞いてあれ?っと思う。

「あれ?ルナの幸せオーラに引き寄せられたわけではないのですか?」

そう聞くと、ディーネちゃんは、

「それは周りの微霊たちね。もちろん、ルナちゃんの魔力もじていたけど、私はあくまで、ツバサちゃん。あなたの魔力に引き寄せられて來たのよ?」

そう、「うふふ♪」と笑うと、

「だって、とっても明で深くて、綺麗な魔力だったんですもの。」

と、綺麗な顔で笑った。

それを見て、し俺は照れつつも、自分で自分の魔力の見れない俺は、あまり自分の魔力に自信を持てなかった。

だって、黒いんだよ?ルナも綺麗だって言ってくれてるけど、黒って言うから綺麗なものを想像できないんだよね。

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その思考を読んだディーナちゃんは、

「それはね、ツバサちゃん。これから話すこととも関係あるのだけれど、貴方の心の形が、深く影響を與えているのよ?」

「心の…形…ですか?」

「そう。心の形。霊はね、魔力を提供してくれた相手と、一時的にその人とバイパスを繋ぐことができるのよ?そこを通して、霊力をフィードバックするの。普通の霊が作るバイパスは片道…つまり、霊から人へと一方通行にしか繋げないの。けど、そのバイパスは、私のような高位の霊になると好きなように開くことができるの。つまり、私は、ツバサちゃんから私に向かってバイパスを繋げているの。」

おう、だから心の聲がダダれなのか…。ちゅーかプライバシーの侵害とかそういう言葉は無いんですかね!?

けど、まてよ?ちょっと見ると、俺から魔力と思考が霊に吸われ…というか覗かれ放題って言う狀況は、俺にとって圧倒的に不利に見えるけど…それって本當のところは、霊としては危ないんじゃないか?

だって、俺から一方的にディーネちゃんに魔力とか思考とか、なにやら流れるんだよな?

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それで、霊自が影響されちゃったら自もいい所なのでは…。

ディーネちゃんは、その思考を読んだ後に、楽しそうに笑ってから、

「そうなの。だから普通は絶対にしないのよ。けどね、どうしても気になっちゃったの。こんな魔力の持ち主はどういう人なのかって。だから…ごめんなさいね?」

と、ちょっと申し訳なさそうにしながらも、微笑みながら言った。

「ええ、もう何か々ありすぎて吹っ切れましたから問題ないです。」

俺は、何かを悟った遠い目をしてそう応えた。

「ふふふ♪本當にそういう所はツバサちゃん拘らないのね。だからこそ、私は知りたくなって心を覗いてしまったのだけれども。」

ええ、元の世界から々苦労してますからね!とりあえず考えても仕方の無いことで、悩むのはなるべくしない方向で生きてるんで!

俺がそう、しいじけながら、思考を連ねる。なんか段々このやり取りに慣れてきた俺がいる。

そんな俺を見て、ディーネちゃんは微笑みながらし困った表で、こう続けた。

「けどね、ツバサちゃん。あまり無理はしなくても良いのよ?私が、こうして心を覗いて、尚…いえ、更にあなたとの子作りに拘るのは…。ツバサちゃんあなたが、本當に好きで、けど、とても心配だからなの。」

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それを聞いた俺は、「心配…ですか?」としか、返せなかった。

その言葉を聞くと、ディーネちゃんは真面目な顔でこう応える。

「ツバサちゃんの心は、実に危うい均衡の上に保たれているの。元の世界で貴方の心と価値観は完全に壊れてしまっているわ。それをまた、欠片を拾って必死に繋ぎとめてきたのでしょう?それは、とても緻で、けど広大で、今にも崩れてしまいそうなものなの。」

ディーネちゃんはそう良いながら、本當に心配そうな顔で俺の頬を両手で包み込む。

「普通の人は、不安や不満といった負のは外に吐き出すの。それで自分の心の形を守るのよ?けどね、ツバサちゃん。貴方の心の形は既に崩れて形すらないの。そして、貴方は負のすら、外に吐き出すことをしていないのね。だから、負のをもれて貴方の心は作られている。言葉にするのは簡単だけど、それは並みの神力ではなしえない事なの。」

とりあえず心の形が見えない俺には、いまいち実がないのだが、予想以上に俺の心はカオスな狀態らしい。

「カオス…混沌ね。そうね、正に混沌。けどね、凄いのはそういうことじゃないのよ?その広さとしさなの。私たち霊が心の形を見ると、普通の人は寶石のように映るわ。そして、負のは、それを取り巻く黒い煙のようにじられるの。」

なるほど。実にわかりやすい。良く魂を寶石に例えることがあるが、そのようなイメージなのだろう。

俺は、キラキラとした寶石が宙に浮き、その周りを黒いもやもやっとした煙が渦巻いている姿を想像する。

俺がイメージしたものを読み取ったのか、ディーネちゃんは頷きつつ、

「そうね。普通の人はそんなイメージで間違いないわ。時々、負のに侵食されて真っ黒に染まった寶石のように見えるものもあるのだけど…ツバサちゃんの心はそういうとは違うの。」

ディーネちゃんが興したように続ける。

「ツバサちゃんの心はね、例えるなら夜の星空なの。確かに、負のがそれはもう、渦巻いているんだけど…禍々しさがないの。それすらも心の一部として定著しているのね。そして、その負のだった黒い空間の中を漂うように、貴方の心のの欠片がっているの。しかも、絶えず形を変えて渦巻いているから、それはもうしいものなのよ。そして、時々、その黒い渦がそれはもう綺麗な七に変化することがあるの。とにかく凄いのよ!!」

もうじれったい!と言ったじでドンドン振り手振りをえて説明していくディーネちゃん。

いまいち実がわかないが…そう褒められると悪い気はしない。

人と全然違う心の形っていうのが、俺の異常さを示しているようで、改めて殘念なじはするものの、そんな事はあの時からもう、ずーっと思い知らされていたことだ。今更な話ではある。

しかし、夜の空か。さしずめ宇宙に瞬く星のような狀態なんだろうな。俺は何となく、銀河のイメージや、ガス雲などを思い浮かべてみる。

なるほど、そう考えるとルナが説明してくれた擬音も何となく説明がつく。俺の魔力も心を反映して、そういうイメージなんだろう。

「そうそう、それをもっとダイナミックに…けど、とても綺麗にしたものよ!ツバサちゃん。どう?自分の心がどんなに綺麗なのかしはわかってくれた?」

俺は正直、寶石のほうが綺麗なんじゃね?とか単に珍しいからそう思うだけなんじゃ?とか思ったりするが、口に出さない。って全部聞かれてるのか。

ディーネちゃんは、その思考をじて、ぶすーっとしふてくされると、更に続ける。

「もう!ツバサちゃん。これがどれだけ凄いことか全然わかってない!…まぁ、けど実際に々見てみない事には納得できないでしょうから、今はそれでもいいわ。けどね、なくとも私は、貴方のその心に虜になったの。いい?これだけは忘れちゃ駄目よ?」

そう、ストレートに言われると流石の俺も、かなり恥ずかしい。そして、そんなむき出しの好意が嬉しい。

そんな俺の様子を、ディーネちゃんもし、頬を染めて見ていたが、すぐに真剣な顔になって続ける。

「だから、私は心配なの。今までに見たこともないような、そんなツバサちゃんの心を守りたい。これは霊としては凄く當たり前の衝なのよ?しかも、世界に2つと無いんですもの。私を虜にしたそんなツバサちゃんを、心も、そしても、何もかも全部守ってあげたいの。ううん、守らせてほしいの。」

かつてこれまでの熱を込めて、思いをぶつけられたことがあっただろうか?という程、ディーネちゃんは真剣だった。

言われていることは、男としてはなんとも不本意な話ではあるのだが、それでもその思いの程は、十分に俺に伝わる。

だからこそ、俺はどうしても納得がいかないのだ。

「ディーネちゃん。それなら何で、『子作り』なんですか?契約とか、傍に居てくれるのでは駄目なのですか?」

そうなのだ、彼の思いは嬉しいし、その思いの程は良くわかるのだが、それが全く子作りに結びつかないのだ。

それを聞いて、ディーネちゃんは悲しそうに、こう説明した。

「契約では…駄目なの。それでは主従の関係になってしまうし、ツバサちゃんの傍にいつも居られるわけではないから。私は、私の意志でツバサちゃんの助けになりたいの。だからいつも繋がっていて、私の意志で顕現できないと意味が無いのよ。」

なるほど…。俺の意思でディーネちゃんの行を制限できるのなら、それはディーネちゃんの自由意志を阻害することに繋がるのか。俺の判斷も絶対であるとは限らないし、間違えることもあるだろう。そう、正に俺が間違えたときにこそ、力になりたいというのが彼の意思なのだろう。

「そう。私は、私の意志でツバサちゃんに関わりたいの。そしてね、もう一つ、私は頻繁に顕現することは出來ないの。契約して主とのバイパスを確立して魔力供給がけられれば、主の魔力がもつ限り顕現できるのだけれど、魔力の消費は膨大よ。」

なるほど…。流石に霊はそうそうこちらに姿を見せることは出來ないのか。

そりゃそうだよな。そんなことができるなら、どこもかしこも霊だらけだろうし。

そこまで考えて、ふと疑問が生じる。

「あれ?じゃあ、ディーネちゃんは今、どうやってここに留まっているんですか?」

その疑問にディーネちゃんは、すこしはぐらかす様に、こう答える。

「それはね…ツバサちゃん。周りを見て何か気がつかない?」

俺は言われるままに、周りの様子をグルッと見回す。

あれ?先ほどまであんなにいた霊達が、今は半分ほどしか居ない。

そうやって見ている最中にも、1つ、また1つと、霊達が消えていく。

おいおい…まさか…、微霊達が自分の力を使ってディーネちゃんを顕現させている?

「流石、ツバサちゃんね。その通りよ。あの子達の意思で、私とツバサちゃんのために時間を作ってくれているの。あ、勘違いしちゃ駄目よ?これは私とあの子達の意思なの。ツバサちゃんに納得した上で、私との間に子供をもうけてしいと思ってるからなのよ?」

「…消えて言った微霊たちは大丈夫なのでしょうか?まさか存在が消えてしまうと言うことは…」

俺は、それが心配だった。

アホなやり取りで俺が舞い上がってる時に、裏で、微霊達がどんどん犠牲になってるとか、申し訳なさ過ぎて、どうしていいのかわからなくなる。

「ふふふ♪それは大丈夫よ、ツバサちゃん。ちょっと疲れて顕現できなくなるけど、し休めばちゃんとまた出てこれるようになるわ。」

それを聞いて、俺はホッとすると、また、時間があればご馳走を用意して歓待しようと心に決める。

まぁ、俺とルナの魔力を放出して、カオスなパーティってじになるんだろうがな。

「ツバサちゃんは本當に優しい子ね。あの子達もきっと喜ぶわ。」

ディーネちゃんがそう言うと、周りの微霊たちも、心持ち喜んだように淡く明滅した。

その様子を俺が、なんとも言えず複雑な気持ちで見ていると、

「さて、話を元に戻すわね?時間も限られていることですしね?」

と、ウィンクしながらディーネちゃんが切り出した。

「顕現に魔力を大量に使うから、いざという時に出て來れないのは駄目。契約も駄目。だから子作りなの。」

ディーネちゃんはそう區切ると、

「私の霊力とツバサちゃんの魔力を融合させて新しい霊を作るの。私たちの子供には、私とツバサちゃんそれぞれから魔力と霊力のバイパスが形されるわ。そして、ここが一番重要なのだけれど…私たちの子は、顕現するのに殆ど魔力を必要としないの。何故なら霊と人の間から生まれた霊は、自分で魔力を大気から生できるからなの。更にね、魔力をツバサちゃんを通して吸収・貯蓄することだってできちゃうのよ。」

どう?お徳でしょ?となんだか某通販のようなノリで説明した。

なるほど、それは凄いスペックのように思える。しかし、それならばなんで霊は今の形のままなのだろうか?

そのじだといずれ、世界は霊の子に取って代わられるような気がするのだが…。

「目の付け所が凄いわね…ツバサちゃん。けどそれは無いのよ。だって、片親である人が死んでしまったら、その子は、純粋な霊である純霊へと昇華するんですもん。あ、ちなみに、私は自然から生まれた純霊よ♪」

なるほど。とりあえず、最終的に霊へとなるから、問題ないのか。納得。

人との間に出來る霊と、自然から生まれる霊の2種類あると言うのも今の話でわかるな。

何が違うのか今一わからんのだか、まぁ、今は置いておいて良いだろう。

ディーネちゃんは更に続ける。

「だからね…その…、子供…作らない?」

ディーネちゃんが急にしおらしく、恥ずかしげに、そう呟いた。

今までの話を考えると俺にとってのデメリットなどほぼ無い。まぁ、子育ての労力が増えるというのはあるが、今の所ルナも居るというか違うな、俺が居候しているわけだが…常に顕現してるわけでも無いだろうから俺としてはそれ程問題ない。どちらが育てるかで難易度は変わるだろうが、俺はその責任を放棄するつもりもないし。

それに、ここまで俺のために思いをぶつけて來てくれているのに、俺が逃げるわけのもいかないだろう。ディーネちゃんは、全てをさらけ出して、覚悟を持って俺にぶつかって來てくれているのだ。

ここまでされて斷ることは俺には出來ない。例え同心だろうが、なんだろうがだ。

ただ、どうしても譲れない一線があるため、それだけは確認しなくてはならない。

「ディーネちゃん。最後に一つ確認させてくれ。」

そう言い、俺は咳払いを一つすると、意を決して問う。

「子作りは…えっと、その、人と同じ方法だったりする…のかな…?」

顔を真っ赤にした俺のけない聲が、風に流れていった。

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