《比翼の鳥》第23話:魔法
俺がこの世界にやって來てから、今日で1週間たった。
まず、俺はここにきてからの日數を、ルナがえぐったリビングの壁に正の字で記録することにした。と言うのも、今の生活を続けるとあっという間に日が経ってしまうのだ。実際、ディーネちゃんとの出會いや、俺が2児の父になったのが遠くじられる。その位に、この間の時間の度が濃くじられた。
まず、ルナのやる気が更に増した。お姉さんとしての自覚が出來たためか、俺の言う事をドンドン吸収していく。その結果、この1週間で、まだ拙いものの、自分の言葉で俺に意思を伝えられるようになってきた。
例えば…と、ルナがこちらに駆けてくる。テテテと効果音が著きそうな走りっぷりだ。
「ツバサ。今日の日課…終わった。」
どうよ!この流れるような日本語!!
まだ、複雑な助詞の使い方は厳しそうだけど、たった一週間でこの長ぶり!!
俺は思わず嬉しくなって、ルナの頭をでまくる。
「ルナ、お疲れ様。本當に言葉が上手になったね。もうし頑張ったら綺麗に話せるようになるよ!」
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その言葉を聞いたからなのか、でられて嬉しいからなのか、ルナは目を細めて、うっとりとした表をしている。
そんな姉の姿を喜んでいるのか、お姉ちゃん凄い!と言うように、我が子達も激しく明滅していた。
ちなみに、日課と言うのは、切り株広場でのヒールである。
ルナのヒールのおなのか、小さな芽だったリンゴ(仮)の木は、驚異的な速さで長を続けていた。
このまま長を続ければ1ヶ月ほどで元に戻ってしまうのではないだろうか?魔法ってスゲーと相変わらず思う。
ちなみに、俺の魔法もこの數日である程度コツを摑むに至った。日々の鍛錬の結果が出て、本當に良かった…。これで魔法使えませんとか言われたら、俺は膝から崩れ落ちて、二度と立ち上がれなかっただろう。
そういうわけで、俺は簡単な攻撃魔法となりうるも使えるようになった。特に、俺の場合は制約がないのか…ルナが特殊なのか判らないが、炎や雷と言ったルナが使えないと思われる魔法も使うことができた。これでいざと言う時には、火が起こせそうだ。
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まぁ、とりあえず、普通の木、1本くらいならあっさりと倒壊出來る位の攻撃力を現在確保している。初めて火の玉を作れたときは、あまりの興で制を誤り、危うく大火災を引き起こすところだったのは良い思い出だ…。
そんな攻撃魔法の中でも、やはり我が子達が居るせいなのか、水の魔法は一つ頭が抜けた威力を持っている。きっと何らかの形で俺に力を貸してくれているのだろう。本當に良く出來た子らである。
そして今は、ルナに手伝ってもらって、魔法の訓練を次の段階へと進めていた。
俺たちは、連れ立って新しいスポットである湖の辺へとやってきている。
窟住居からは、ちょっと離れた場所…徒歩30分位の場所にある。ちなみに、切り株広場からも、大30分位なので、二等辺三角形の頂點に湖があるじでイメージしてもらえると、位置関係がわかりやすいのではないだろうか?
地底湖のそれとは違い、この湖の水はしにごっており、その湖面の奧には數多くの生命が息づいているのがじられた。周囲2kmほどの比較的大きなこの湖は、水辺付近に広い場所が數多く存在しており、魔法の練習のような派手な事をするには丁度良いのである。
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俺達が足を向けたのも、そんな畔にある、開けた場所だ。水際から聞こえる水音が心地よく、木々からも離れていて、かなり派手にける場所だ。
「ルナ、じゃぁ、頼むね。」
俺がそういうと、ルナは、「わかった。」と言って、俺から50m程ほど距離をとる。
俺はルナと対峙すると、「いいかな!?」と聲を上げる。ルナはそれに手を振って応えてから、氷の槍を數本、彼の近くに生した。
その様子を見て、俺は意識して、高速で魔力を生する。
その瞬間、即座に拳大の火球が一つ虛空に生される。俺は躊躇無くそれをルナの方へと打ち出す。それはルナの手前10m程で、目に見えない障壁に阻まれ質な音を立てて消失した。ルナはかない。
んにゃろ~、今日こそ…その槍を打たせてやる!
俺は、現在制できる最大數である4つの火球を生、ルナに打ち出す。
連続して甲高い音がするも、ルナは全くじない。
更に、俺は右手を虛空に掲げ、魔力を生、制、イメージの確立を寄り深く丁寧に行う。
右手に、直徑3cm、長さ50cm位の槍狀の炎が形される。
それを躊躇無く、ルナへと投擲する。炎の槍は音も無く空を切り裂き、ルナの障壁に到達、音を響かせた…が、障壁はびくともせず、ルナも涼しい顔をしたままだった。
「ここまでは、昨日と変わらず…悔しいね!!んじゃ次!新作いくぞ!!」
俺はルナに聲を掛けると、魔力を生し始める。今度も同じ魔法をイメージする…しかし、
「顕現せよ! 全てを貫く 紅蓮の炎 ここに!!」
聲を発し、詠唱を完了した瞬間、俺の右手に紅蓮の槍が現れる。
しかし、それは先ほどの炎の槍の3倍以上の大きさだった。
それを見た、ルナの表が驚きのそれに変わる。
おー、驚いてる驚いてる。そりゃそうだよね。込める魔力はさっきよりないくらいだもんね。
そんなルナの様子に俺は満足しつつ、最後のワードを発し、それを思い切り投擲する。
「いけ!! フレイムランス!!」
力ある言葉を発した瞬間、空気を焼く音を発し、先ほどとは比べにならない勢いでルナへとまっすぐに進む。
即座にルナは氷の槍を2本、炎の槍に向けて出。
俺が投擲した炎の槍は、ルナの氷の槍を2本とも砕くと、威力を減衰させつつもルナのほうへ向かって飛ぶ。
ルナは慌てた様子も無く、即座にもう一枚、氷の障壁を展開した。炎の槍が障壁に突き刺さり散する。
障壁には、若干のひびがっていた。
それを確認した後ルナは、「おおー。」と、驚きの聲をらす。
よし、リベンジ功!っていっても、やっと障壁1枚にひびが一杯か…。まだまだ工夫しないとなぁ。
まぁ、見ての通り、魔法に関しては、ルナと俺の間には越えられない壁が存在していた。
ルナは基本、無詠唱、即時発。しかも、かなり手加減してあの威力。
対して俺は、全力で魔力を込め、詠唱までして、このたらく…。まぁ、それでもまだ氷の槍を打たせた上に、壊せるようになっただけマシか…。
魔法を使う上で、俺は々と試行錯誤した結果、いくつかの法則を見つけていた。
まず、詠唱をしなくても魔法は使えるが、イメージ力が落ちるのか、なんなのかはわからないが、全的に威力が落ちることがわかった。更に、強い威力の魔法を発しようとした場合は、かなりの魔力を練らないと駄目なようだった。
次に詠唱についてだが、これは正直言えばなんでも良かった。
ぶっちゃければ、「お前の母ちゃんでべそ!!」とかんでも、魔法は発するし、無詠唱の場合より威力は高くなっているようだった。これは、恐らく聲を発することでイメージが固まることと、聲自が魔力に何らかの影響を與えているせいだと思われる。
ただし、詠唱にはそのイメージを乗せやすい言葉を使うことで、更に威力を上げたり、魔力を効率よく使うことができることが判った。
それが、俺のやっていた詠唱法だ。
的には、俺は詠唱にある程度自分のルールを設けた。
それは、「形狀・屬・適用範囲」である。
例えば、先ほど俺が使ったフレイムランスなら、
「全てを貫く《形狀・貫く》 紅蓮の炎《屬・炎》 ここに!!《適用範囲・任意の場所》」と言った合だ。
これを、
「全てを貫く 水の本流 ここに!」
と、すれば、俺の意識した場所に水の槍が出來る。
もし仮に、魔力を俺の目の前の空間に集中させれば、俺の目の前にできる。
まぁ、実際には制とかまだ手探りなので、そんな場所に作ったら、どこに飛んでいくか判らないが。
後ろとか、頭上に作ったら自しかねない。
後は、今の俺では、あまりワードを短くしすぎると、言葉に力が乗らないことが判っている。
例えば、先ほどの詠唱を一言ずつにして、
「槍 水 ここ!」
とかにすると、何故かとたんに威力が落ちる。俺のイメージ力の無さが原因なのか、言葉の短さが原因なのかは良くわからない。
また、最後に、魔法の名前を言ったのだが、これも同じ理由からだ。ちなみに魔法名の命名は俺。
…しょうがないでしょ!イメージしやすいんだから!!俺も最初はスゲー恥ずかしかったよ!!けどさ、大聲でびながら魔法打つと、超気持ち良いんだよ!!判ってくれよ!!
…コホン。まぁ、とりあえず、若干痛い所があろうが何だろうが…俺がある程度魔法をイメージし詠唱で制できるようになったと言うことだ。
それに、詠唱とか…もし、魔法を使うなら憧れるだろう?
ちなみに、なんでこんな魔法合戦…といっても実際は俺が打って、ルナがけ止めるだけだが…をやっているかと言うと、魔法の練習は環境に甚大な被害を與えることがわかったからである。
ゲームとかでは、魔法は味方を巻き込まないものもあるし、森も、草原も焼いたりしないが、異世界の現実は厳しかった。
下手なところで火球を打てば、あっという間に火の海になり、水を生すれば、地面がぐちゃぐちゃのドロドロになるし、雷は湖に打てば大量の魚が浮くことになる。しかも、制が甘いと木に吸われてどこに落ちるかすらわからん…。風が実はもっとも厄介で、とにかく、何でも切り裂くので、意図せず森林伐採しまくることになった。
もちろん、俺の制力の問題もあるんだけどね!!
ルナは魔法を解くと、俺の方へテテテと走ってきた。
そして、目を輝かせながら、
「ツバサ!!今の何!?何、あれ!?」
すんごい興しながら、そう聞いてきた。
しっかし、ルナさんの表はかなりかになったね。し雰囲気も変わってきたし。
俺はそんなルナにを覚えつつ、詠唱についての説明をした。
ルナはそんな俺の説明を、「ほへー」とか「おお!!」とかリアクションしながら聞いていた。
そして、一通り説明を聞くと、
「ルナも!!ルナもやる!!」
それはもう、やる気満々でそう言った。
俺はそれを見た瞬間…「あ、駄目だ。これは止まらない。」と諦めた。
まぁ…ちゃんと手加減して、湖の真ん中とかに打つ位なら大丈夫かな?うん。そうだと言うことにしよう。
水か風ならばそう酷いことには…ならないだろう…多分…。俺は首筋に汗を垂らしつつ、そう言い聞かせる。
俺は、拭えない大きな不安を抱えつつ、ルナにGOサインを出す。そうでないと暴走しそうな勢いだったからって言うのもある。
「じゃあ、ルナ、湖の真ん中辺りにやってみ。ちゃんと手加減するんだぞ?いいか?すごーく手を抜くんだぞ?」
その俺の不安いっぱいの言葉を、ルナはウンウンと、頷いて聞き…流してないよね?
大丈夫だよね!?信じてるからね!!
そして…
一帯が凍りついた極寒の湖を見て、俺は頭を抱える。
「ルナさーあぁぁあん!!!!全然、手加減してねぇよ!!??」
ドヤ顔のルナの橫で、今日も俺のびが森に木霊したのだった。
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