《比翼の鳥》第29話:第一村人発見
二人での飛行実験を兼ねて、俺はルナを伴って、窟住居へ向けて飛翔した。
魔法陣の優れている所はその汎用だ。
その魔法構造を知している俺ならば、ちょっとした変更は、正に一瞬だ。
そもそも、適用範囲を一人から二人に変えるだけで、パラメータは自的にそれに最適化されるように魔法を組んである。
元の世界のプログラム言語と違って、俺の流す魔力量である程度、覚的に、に対応できるのがこの魔法陣の最大の特徴だった。
窟住居へは、かなりゆっくりと、々なを見ながら飛行した。
ルナは始終、「おおー!!」とか「あれ凄い!!見てツバサ!!」とか、本當にはしゃぎっぱなしで、見る見るにし、興していた。
飛行中、またも纏わりついて來たワイバーンを見ると、最初は不安そうに、俺にを寄せていたルナだったが、慣れて來るとこれが大したもので、しげしげとワイバーンについて観察し始めた。
「うわー…歯がギザギザ…ったら痛そう…。」とか
「凄いよ!!ツバサ!!目がギョロっとしてるよ!ギョロ!!んふふふ。」とか、
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々、わーぎゃーと騒いでいたが、ふと、不思議に思ったのか質問をしてきた。
「ねぇ、ツバサ。この子達はなんでこんなに騒いでいるのかな?なんだか怒っているみたいだけど…」
それを聞いた俺は、推測ではあるが…と述べたうえで、縄張りにった敵を威嚇していると思われることを伝えた。
それを聞いたルナは、
「そっかぁ。だからこんなに騒いでいるんだね。」
と頷きながら納得した顔になった後、し考え込んで、なんとワイバーンに向けて話し始める。
「ねぇ、貴方たち。私達は、貴方たちに害を加えるつもりは無いの…。よかったら見逃してくれないかな?」
そう言いながら、ルナのから大量の魔力が放出される。それは、らかい、安堵を覚える魔力だった。
その聲を聞いたからなのか、強大な魔力に驚いたのか…多分後者の様な気がするが…。
ワイバーンたちは、一瞬にして靜かになると、次の瞬間、我先にと俺達の周りから離れて行ったのだった。
何となく、魔力を介して意思疎通が取れたとも取れるが…あ、何匹か空中で激突してる…。うん、これ、絶対怯えてるな。きっと魔力の量に驚いたんだろうな…。正に蜘蛛の子を散らすような逃げっぷり。
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しかし、そんな様子を勘違いしたのかルナは、
「ほら!分かってくれたよ!」
と、とても嬉しそうに話してきたのだった。
俺は、「う、うん、ソウダネー」と、表面上苦笑いしながら同意するしかなかった。
まぁ、結果的にワイバーンたちにはご退場いただけたのだ。良しとしよう。そういう事にしよう。
そんなこんなで、々見て回ったらあっという間に日が傾いて來た。
空から見る初めての夕日にルナは目をウルウルさせながら見っていた。
そんな俺は、元の世界とは違う、もっと澄んだ赤をした夕日を見てしていた。
そして、その赤で更に明るく照らし出されているルナの橫顔に一瞬見とれてしまい、し気恥ずかしさを覚えると、俺はそれを誤魔化す様に、ルナの頭をポンポンと優しく叩いた。
ルナは一瞬、「?」とこちらを見上げるも、そのまま嬉しそうに俺に頭を躙されていた。
日も落ち、窟住居に戻ってきた俺達は、村で注意點や、最悪はぐれた時の事を考えて話し合った。
まず、決めたのは、以下の事。
一.村では、極力魔法を使わない。使わなければならない時は、なるべく小規模の威力の低い魔法にする事。
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これは、この世界の魔法の常識が全く不明だからである。
俺達の魔法のLVがこの世界の基準通り…もしくはし上程度なら問題ないのだが、もしも、規格外に大きかった場合、とんでもない騒に巻き込まれることが火を見るより明らかだからである。
俺は、ルナと平穏に暮らせればそれでいいのだ。下著や類が手にれば、問題のほぼすべては解決する…はず?
二.もしも村に泊まる事になったら、出來る限り部屋を別にする。最悪、部屋が同じになっても一緒のベッドでは寢ない。
これは、ルナがおおいに反対した。っていうか聞く耳を持たなかった。
「絶対にイヤ!!」と盛大に不満をあらわにしたのだ。
それでも、俺は気よく説明した。普通は、大きくなったと男は一緒に寢ない事。何故かは、いずれ話すが今は話せないという事。もちろん、俺のヘタレっぷりが原因で話せないとは一言も言わないが!!
それを他人に見られた場合は、最悪一緒に居られなくなるかもしれない事。もちろん、俺が世間的に抹殺される…とも言わない!!
それを聞いたルナは、非常に不満な顔ながらも、「わかった…」と、しぶしぶ頷いた。
その後で、「もしも、抱きつけなかったら、帰ってから補充させてもらうからね!」と、謎な事を言われた。何を補充する気ですか…ルナさんや。
そして、最後に、もしも、最悪二人が引き離されて、村で會えなくなった場合は、すぐさまこの窟住居に戻ってここで落ち合う事も約束した。まぁ、そんな事はあってほしくないのだが、何が起こるかわからない。しかし…俺らが引き離される狀況まで行ったら、なんか村が怒ったルナに壊滅させられてる気がする…。なんとしても守らねば…。え?もちろんルナをですよ?そうしないと間接的に村が滅ぶからね!!
後、忘れていたが我が子達には、あまりりまくらない様に言っておいた。
る寶石とか、変な価値がついて盜まれでもしたら灑落にもならない。
あまり目立つと、持って行かれちゃうかもしれないからと、説明すると、我が子達はシュンとしながらも、了解の意を示してくれた。
そうやって、一通り話終わり、明日出発前に、ルナも念の為に簡単な飛行魔を練習する事を決めると、俺達は床に就いた。
「だから…何故、俺のベッドに潛り込む!!ルナさんや!!」
當たり前の様に、俺のベッドに潛り込んできたルナに俺は、思わずぶ。
ルナは俺の背中に顔をうずめながら、
「ふぁって、あんしんふるんふぁもーん」
と、言いながら俺の背中にスリスリ…
おう…、だから、もう、頼むから…俺の神力を削らないでくれ…
結局強く言えない優不斷な俺は、今日も寢不足なまま朝を迎えるのだった。
次の日の朝。ルナに俺は飛行魔を説明していた。流石のルナもオートパイロットや、音速飛行は厳しそうだったが、飛行に必要な最低限の魔制は直ぐにマスターしていた。
おう…俺1カ月かかったのに…。それを1時間でマスターとか…。思わずがっくりと地面に膝をつきたくなる。そんな敗北にも似た苦々しさを味わいつつ、やはりルナの規格外さを痛する俺。
しかし、上空を楽しそうに舞うルナの姿を見てしまったら、俺はもう何も言えず「しょうがないなー」と苦笑するしかなかった。
とりあえず、俺は知魔法で村から5km程離れており、その周りにも人がいない場所を探して飛ぶことにした。
理由は簡単だ。飛んでいる所を人に見られたくないのである。この魔法が普通の範疇に収まらない可能は、非常に高いと思われるからだ。何故なら、俺らの住んでいる生活圏に飛んで人が現れた事が無いからである。まぁ、歩いて現れたことも無いが。
つまりその事実は、この森の上を飛べる魔法が無い。仮に飛べたとしても、ワイバーン等を防ぎながら飛ぶ技がない事を意味している。まぁ、こんな辺境までわざわざ來るやつがいないという可能もかなり高いが。
ルナは俺の後ろを追う様に飛行している。その顔にはし張が見られた。まぁ、初めての飛行魔法に加えて初めての人里だ。張するなと言う方が無理だと思う。俺はそんなルナの様子を気にしつつも、著陸地點に目星をつけてそちらへと軌道修正する。
ルナは…ちゃんと著いてきているね。俺が、笑顔で手を振ると、し余裕が無い表ながらも笑顔で答えてくれた。
目的地に近付いたため、俺が飛行速度と高度を落としていく。ルナもちゃんと追隨して、速度と高度を落としてきた。良かった…制失敗してそのまま飛び去られたらどうしようかと、心ちょっと冷や汗ものだったんだ。
無事、目を付けた目標地點へとランデブーすると、同じく、フワリと著地してきたルナに俺は聲をかけた。
「ルナ、お疲れ様。あと5km程で目標の村に著くよ。ここからは打ち合わせ通り歩いて行こうね。し疲れたようだから、休憩してから行こうか。」
ルナはそんな俺の言葉に頷きつつ、
「うん。もうしだね。ちょっとだけ村っていうのが見えたけど、今から楽しみ!けど…ちょっとだけ不安かな。だ・か・らー」
そう、ぺろっと舌を出して、ルナはおどけると、腰を下ろして休んでいる俺に抱きついて…というより押し倒して來た。なんでやねん!!
そんな俺の狼狽を知ってか知らずか、俺のに顔をり付けて、
「ん~♪エネルギー補給~♪」
とか、よく分からない事を呟いていた。
俺は何か癒し分でも放出しているのだろうか…。加齢臭位しか放出できるものが無い気がするんだが…。
一瞬、強引に引きはがそうかとも思ったが、考えてみれば初めて自分の生活圏から出たのだ。張もするし甘えたくなるのもわからないでもない。幸い近くに人の反応はないし、まぁ、良いか…と好きなようにやらせておくことにした。
ルナが未知のエネルギーを補給している間、俺は知魔法の度を高くして、よりな知を行う。今まで排除していた野生も知範囲に加えたのだ。
ん?妙だな。村と現在位置の直線上。中間點よりややこちらよりの位置だから…距離にしてここから2km位かな?そこで、人の反応と、多くの獣の反応が見られた。
俺はその配置に嫌なをじ、よりにそちらに意識を向ける。俺の様子が変わったのが分かったのか、ルナもそちらの方に注意を向ける。
これは…もしかして、襲われている?人の反応は1つ、獣の反応はざっと數えても20以上。
それが円狀に人をぐるっと囲んでいる。このじは…オオカミとか野犬とか群れで獲を狩るか?知でわかる大きさ的には熊ほどではなさそうだし。魔力の度もそうでもない。
対して人の魔力は獣の方程小さくはないものの、なんとも頼りない反応だ。もしかしたら、子供なのかもしれない。
俺は、ルナの方に視線を移す。ルナもそれをじ、こちらを見ると、頷いた。
言葉は無かった。全力で俺達は森の中を疾走する。しょっぱなから見つけた村人が獣に食い殺されるとか、そんなシーン見たくもない。可能であれば助けたいと思った。
俺達の接近をじたのか。それとも単なるタイミングなのか、ある一定の直徑まで包囲網がまった時、獣たちが村人に襲い掛かるきを知した。やばい、もう襲い掛かりやがった…。この速度だと間に合わないかもしれない。
強化でルナより先行する事を決斷する。能力強化…とりあえず安全に出力20%。意識拡大・見切りシステム稼働10%。よし、とりあえずこれで良いだろう。
俺は魔法陣を呼び出しつつ、待機狀態にしてから、ルナに話しかける。
「ルナ。先に行く。後からサポートよろしく。」
ルナはそんな俺に、「わかった!」と一言。俺はそれを聞くなり、魔法陣を展開する。
俺の走る足元を追隨するように魔法陣が展開する。それを知覚する間も無く、俺の覚は一気に拡大する。
周りの時の流れがし緩やかになったような、そんな覚。俺はもの凄い速度で迫る木々の間をうように進む。
足元の土が音を上げてぜるものの、俺がそれを聞く頃には、すでにその地面ははるか後方へと過ぎ去っている。音が追隨する覚すら間延びしたようにとらえつつ、俺は第一村人の元へと急いだ。
時間にして、わずか、20秒。しかし、その1秒1秒で、村人が生死の淵に追いやられる様を俺は、拡大した知覚でじていた。最悪、間に合わなかったら長距離からぶっ放そうと、思っていたが、村人は何とか懸命に耐えていた。
そして…その村人がトラとおぼしき獣に、のしかかられようとしたその瞬間。
「へぃ。お待ち!!!」
俺は、そのトラモドキを蹴り飛ばして、瞬殺すると、村人を庇うように立ちふさがった。
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8 77継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》
☆TOブックス様にて書籍版が発売されてます☆ ☆ニコニコ靜畫にて漫畫版が公開されています☆ ☆四巻12/10発売☆ 「この世界には魔法がある。しかし、魔法を使うためには何かしらの適性魔法と魔法が使えるだけの魔力が必要だ」 これを俺は、転生して數ヶ月で知った。しかし、まだ赤ん坊の俺は適性魔法を知ることは出來ない.... 「なら、知ることが出來るまで魔力を鍛えればいいじゃん」 それから毎日、魔力を黙々と鍛え続けた。そして時が経ち、適性魔法が『創造魔法』である事を知る。俺は、創造魔法と知ると「これは當たりだ」と思い、喜んだ。しかし、周りの大人は創造魔法と知ると喜ぶどころか悲しんでいた...「創造魔法は珍しいが、簡単な物も作ることの出來ない無能魔法なんだよ」これが、悲しむ理由だった。その後、実際に創造魔法を使ってみるが、本當に何も造ることは出來なかった。「これは無能魔法と言われても仕方ないか...」しかし、俺はある創造魔法の秘密を見つけた。そして、今まで鍛えてきた魔力のおかげで無能魔法が便利魔法に変わっていく.... ※小説家になろうで投稿してから修正が終わった話を載せています。
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