《比翼の鳥》第14話:顕現

とりあえず、魔力量に関しては…もう今更言っても始まらない。これは棚上げしておいて、後で対策を考えるとしよう…。

こういう時、日本人だってじるよね!棚上げ萬歳!!…いや、結構重要ですよ?

俺はそう開き直ると、わが娘達に改めて問う。

「俺の事はまぁ良いとして…此花、咲耶、魔力を渡したいのだけれど、どうしたら良いかな?」

そんな俺の問いに、わが娘たちは、

『まず、お父様から繋がる、魔力のバイパスを拡張いたしますわ。』

『こちらで行いますので、父上は気を楽にしていただければ大丈夫です。』

と、し雰囲気をややくしながらも答える。

なるほどね。んじゃ、任せちゃいましょう。

「分かった。んじゃ、さくっと終わらせてしまおう。此花、咲耶、頼むね。」

『『はい!』』

そう、ユニゾンしながら答える、わが娘たちの聲が頼もしかった。

作業にったのだろう。我が娘たちは、無口になると、明滅を繰り返した。

俺はそんな星の輝きにも負けない2人のしさに見とれていた。そして、そのしさを肯定しつつも、この子達が顕現したらまた大騒ぎになるんだろうなと、期待半分、不安半分な気持ちをに抱いて見守っていた。

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しすると、俺の滯留している魔素を引っ張るような力をじた。

し意識してみると、わが娘たちに流れ込む魔力の量が徐々に増えて行くのが見て取れる。

それを言葉にするにはどうしたらいいのだろうか?しずつ、水道管を拡張するような、ホースが太くなるような、そんな曖昧なイメージだ。そうして、時間と共に、2人と俺を繋ぐ魔力の束が太くなっていくのだ。

徐々に、俺の魔力が我が子に流れ込んでいくのがよく分かる。今までの3倍くらいの量だろうか。それでも俺には全然負擔をじることはない。やはり、魔力量が膨大過ぎて、このぐらいの魔力なら誤差範囲という事なのだろうか…。自分のながら全く管理し切れてないな…。

わが娘たちの発が強まって行く。それと同時に、彼たちを取り巻くように、魔力の渦が形されていく。

それはまるで、繭の様にの球狀である娘たちを、優しく包み込んでいくのだ。

やがて、その繭狀の魔力に覆い隠され、娘たちの姿が見えなくなった。繭狀の魔力の中から、此花の空と、咲耶の蒼が激しく點滅しているのが見える。

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大丈夫なんだろうな…。なんか結構変化が激しいから、正直見てて不安なんだが…。俺は、図らずともお産を待つ父親の心境を疑似験しつつ、ジッと靜かに、わが娘たちの様子を見守っていた。

徐々に點滅覚が短くなっていく。そして、徐々に量を増していくと共に、高周波が周りを覆う。

俺が心配ながらその景に魅られていると、ついにその発し霧散したのだった。

…思わず、俺はから目を守るために、腕をかざす。

が収まったのを腕越しに確認すると、俺は娘たちの様子を窺い…言葉を失った。

そこには、2人の可らしいたちが、浮いていたのだった。

2人のたちは、目を閉じ自分を抱えるように丸まりながら、生まれたままの姿で靜かに浮いていた。

うん、まぁ、ある意味生まれたばっかだから、そりゃそうなんだろうけど描寫的に服がしい。と、意味なく自分に突っ込む。

「此花?咲耶?大丈夫かい?」

俺は、ちょっと心配になって、娘たちに聲をかける。

それに反応したのか、2人とも、パチッと目を開けると、まだ殻のように殘っていた魔力の殘滓を振り払う。

な肢をさらし、2人とも俺の方を振り返る。そして、俺の姿を確認すると、そのまま

「お父様ぁーー!」「父上ぇーー!」と、満面の笑みでダイビングしてきた。

「うぉっと…」と、俺はしびっくりしながらも2人をけ止める。

その羽のような軽いと、暖かい溫をじながらも、俺は2人の思った以上の代わり様にドギマギした。

「こっちは、此花?」

俺は、ボリュームのあるふんわりとした空の髪を持つへと話しかける。

「はい♪お父様。やっとこうして抱きつけますわ。」

此花は、俺のに抱きついて、しきりに顔をうずめて來る。おっさんのにはと將來への不安以外詰まってませんよ?此花さんや。

此花は、ディーネちゃんを更にちっさく可くしたじだった。その表しぽやっとしたものを殘しているものの、人間離れしたしさは母親と変わらなかった。まさに守って上げたくなる可さを持っていた。

そんな此花から視線を外し、深い蒼の艶やかな髪を持った姿の咲耶に聲をかける。

「咲耶か?」

「はい!父上。咲耶にございます!ああ、やっとこうして、父上のお膝元へと…」

そう言いつつ、潤んだ瞳を向け、正に無量と言う表を浮かべながら俺の足に抱きついていた。

うん、ある意味膝元だけど、なんか使っている意味違う気がするぞ。それ。

つか、元から俺の傍にずっといたじゃんとか冷める事は言わない。

咲耶は、流れる様な深い蒼の髪を持っていた。ディーネちゃんはし癖っだったが、咲耶のそれは手ですいたらそれはもう、素晴らしいさわり心地である。顔だちは、凜々しく日本人的な人の顔だ。キリッっとした表の中に、可らしさをめている。

一見すると顔のつくりは中的だが、表が顔に現れやすいのか、見ていて飽きない。コロコロとそのを表へと浮かび上がらせるその姿は、見るの心を溫かくさせる。そんな魅力にあふれていた。

俺は、ひとしきり2人を抱擁すると、そのままで、娘たちに聲をかける。

「此花、咲耶、2人ともお母さんに似て、とても綺麗で可らしいぞ!」

そんな俺の言葉に、一緒前に赤くなって照れる2人。けど、なのは別にいいんだな…。霊の恥心はよくわからん。

ちなみに、2人の外見は年のころ6歳前後。初めてルナに會った時と同じくらいだ。

とりあえず、俺は飽きるまで2人の好きにさせてやろうと、娘たちの頭をでつつ、抱擁を満喫していた。

そんな俺と同じ様に、わが娘たちは、ただただ、ウットリとしながら俺のを摑んで離さない。

「お母様の言った通りですわ。お父様の傍はとても安心しますの。があるとこんなに違うなのですね。」

「ええ、父上の魔力と心が、そして、ぬくもりが直に伝わります。咲耶は心が満たされる思いです。」

ふむ、よく分からないが、ペンダント狀態の時よりもがある時の方が、じ方が違うらしい。

なかなか奧が深いなぁ…。こういう理由で霊は人の形を取りたがるのだろうか?

そう言えば、服はどうしたらいいのだろうか…。このままって訳にもいかんだろうしなぁ…。レイリさんに作ってもらうにしろ、2人分だと大変そうだしなぁ。

とりあえず、服についてわが娘たちの意見を聞いてみる事にする。

「此花、咲耶。ちと、相談したいのだが…。」

俺が、そう切り出すと、ウットリした顔をしながらも、「「はい!」」と、元気よく答える娘たち。

「その…、君たちの服についてなんだけど…、ディーネちゃんみたいに著て顕現する事は出來ないのかな?流石にその格好だと、村の中を連れて回る事も出來ないし…かえって一緒にいられなくなっちゃうんだよね。」

その言葉を聞いた娘たちは、しまった!?と言う顔をした後に、無念そうに

「お父様…。今の私達では…霊裝を顕現させるには至っておりませんの。」

「ちなみに、父上。霊裝と言うのは、霊にとっての服であり鎧であり武であるなのです。」

ふむ、ディーネちゃんのあの裝は、つまりは霊の鎧みたいなものだったのか。

んじゃ、このままだと真っで顕現!?流石にそれはご勘弁願いたい。最低でも、家の中だけに留めて頂きたいのだが…。

村の中を、素っ2人を連れて闊歩とか、どんなプレイだよ!?

つか、そんなことしたら、俺が先日やっとの思いで築いた信頼が、こそぎ吹っ飛びそうだ。それはもうみじんに。

まぁ、その前に家から出す訳にはいかなくなるけど…何か會った時にやばいからなぁ…。

そんな俺の不安を読み取ったのか、娘たちは名案を思い付いた!とばかりに、口を開く。

心配いりませぬ、父上。服が無いなら、今の家よりこの姿で外には出ませんので。」

「そうですの。それに、いざとなったら、形態を落として、お傍にいる事が可能ですの。」

俺が、「形態を落とす?」と聞くと、2人は嬉しそうに頷くと、

「はい。私達は、人型よりは応度合は落ちますが、小の姿を取る事もできまする。」

「小の姿でしたら、寄り添ってついて回れますわ。その分、力は落ちてしまいますが…」

と、なんだか不服なご様子。

やっぱり人型の方が良いのか?と聞いてみたら、

「お父様の抱き心地が全く違いますの」

「父上の抱き心地が全く違いまする」

と、それはもう綺麗にハモって答えて來た。

俺が抱くんじゃないのかよ!?と思わず突っ込みたくなったが、娘たちなりの矜持があるのかと、グッとこらえる事にする。

まぁ、とりあえず、しばらくはその小になってもらって近くに居て貰う形がいいんだろうなーなどと、考えていると、突然、夢世界の様子が変わり、周辺からし圧迫じ始める。

それを察知した、わが娘たちは、

「姉上が怒りですね…。」「長居し過ぎた様ですの。」と、口々に言う。

何の事やらわからん俺は、娘たちに言葉をかけようとするも、その前に霧に覆われていた暖かな世界が突然避けて、その隙間に吸い込まれていく。

「なんじゃこりゃぁぁああーーー!?」と、ぶ俺にしがみつきながら、わが娘たちは、楽しそうに笑うと、

「お父様。現世うつしよでも宜しくお願い致しますわ。」

父上。この咲耶、父上の手となり足となる所存です。」

といいながら、俺のと腰にりついている。

隨分余裕だね!?この狀況で!?安全バーの無いジェットコースターとか怖すぎるんだけど!?

俺は、そんなどうでも良い想をもちつつも、

「なんだかわからんけど、此花、咲耶、今後も宜しくなあぁあぁあああーーーーーうおぁああああああああーーー!!」

と、絶しつつ闇にのまれるのであった。

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