《比翼の鳥》第15話:嫉妬
目が覚めると、目の前に不機嫌そうなルナの顔があった。それはもう、ドアップで。
ぶすーっと、頬を膨らませてこちらを睨むルナさんもなかなかに可い。起き抜けから変なが生まれそうで嫌だ。
しかし、この子はなんでまた、マウントポジションに収まっているのだろうか…。
流石に、らかいをの上と言わず、腹の上と言わず押し付けられると、々イケないが湧き出てきそうで駄目なんだが!?
そんな不満げな顔をしているルナに、とりあえず、俺は「おはよう、ルナ。」と挨拶する。
しかし、ルナさんの表は変わらず、今もブスーっとしたまま、俺に見ている。一どうしたというのだろうか?
俺は、よく分からないまでも、まずはルナの頭をでようと、右腕を上げ…ようとしてそこで、誰かが両腕をがっちりとホールドしている事実に気が付く。
はて?と思いつつ、右を見ると、そこには此花の笑顔が…左を見ると、そこには咲耶のはにかんだ顔が…
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前に戻すと、ルナのぶすっとした不機嫌な顔が…。
ん?もしかしてお焼きになっておられるか?後は、ああ、そうか…今まで悪夢から守ってくれていたのもルナだったな。
なんか仲間外れにされちゃったじで、更に倍率ドンってじかな?
とりあえず、俺は、この狀況を打開すべくく。
「此花、咲耶、おはよう。ちょっと手を放して貰えるかな?」
俺が、そういうと、「お父様」「父上」「「おはようございます。」」と現実でも見事なユニゾンを見せてくれる。と同時に、俺の手を離し、俺の両側に正座していた。
うん、で正座はどうなのよ?と、突っ込みたくなったが、俺はまずは、ルナの機嫌回復を優先させる。
俺は、自由になった両手でルナの顔を優しく摑むと、
「どうした?ルナ。人さんが臺無しだぞ?」と、笑いかける。
そんな俺の言葉に、一瞬顔がほころびかけたルナだったが、駄目駄目!とでも言う様に顔をぶんぶんと、振ると、ツンとそっぽを向く。けど、俺の上からは下りないんだね…。
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そんなルナのプチ反抗に俺は、安心したやらちょっと寂しいやら、けど、そんなルナも可いやら、複雑な心境でなおも対する。
「ルナさんや。何でそんなに怒っているのか教えてくれないかい?俺は、起き抜けにいきなりこの狀況で意味が分からないんだよ。」
何となく予想はついているが、俺は敢えて、そうルナに問い掛ける。
俺は、彼自の手で自分の心をしっかりと表現する努力をしてほしいと思っていたからだ。
そんな俺の言葉を聞いて、怒っているけど、困ったような、微妙な表を浮かべたルナは、ぽつりと、
「2人だけ…ずるいもん。私も頑張ってるもん。」
と、し泣きそうな顔でそう呟いた。
何に対してのずるいという言葉かは、想像しかできないが、恐らくは悪夢を無力化したことについてだろう。
しかし、俺はその事を娘たちから夢の中では聞いているが、ルナ本人からは聞いていない。
一応、報としては持っているが、それを俺が使うべきではないと思うのだ。
俺は、ルナの口からちゃんと説明をけるまでは、この件には白を通す事にする。
「そうか…、なんだかわからないけど、ルナは俺の為に頑張ってくれたんだね?」
それに対して、ルナはコクンと、頷く。
「ルナは、どんなことを頑張ったんだい?」
俺は更に、質問を進める。
その言葉に、一瞬戸う様子を見せるも、何かが吹っ切れたのか、ルナは堰を切った様に話し始める。
「ルナね!ツバサの事守りたかったんだよ!夢でうなされてるの知ってたから、ツバサの辛い気持ちが凄い伝わって來たから!だからね!そんな思いでツバサが苦しんでほしくないから!!それでね!うー!んと!だから!此花ちゃんと咲耶ちゃんの手伝いもして、2人も一緒に手伝ってくれて!それで、そしたらね、2人ともルナみたいにツバサとれあえないの嫌だなって思って、出て來れるようにって!!ツバサとお話しできるようにって!場所作ったの…。」
なるほど…さっきの夢フィールドはルナの力だったらしい。それで納得が行く。2人が顕現できるようになって、そこに自分がいないのが許せなかったのだろう。まぁ、夢の中だけどね!
これは、あれだ…もしかしたら嫉妬だな。2人と初めて會った時にも多分あったんだろうけど、ここに來て自分でも分からないままに顕在化したんだろうな。
「そっか、俺の悪夢から最初に救ってくれたのはルナだったんだね?前も同じようにそこに座っていたしなぁ。」
俺は、そう微笑みかけると、ルナはし頬を染め、それでも、しっかりと頷いた。やっぱり退いてはくれないんですね…ルナさんや。まぁ、まだ吐き出したりない事もあるっぽいしな。
そんな風に、考えた俺は、更に話を進める。
「こうやって、此花と、咲耶も外に出て來ることが出來たのも、ルナが何か力を貸してくれたからなんだろう?こうやって娘たちとれ合えるようになって、俺はとても嬉しいよ。だから、ありがとう。ルナ。」
俺は頭をでながらルナの反応を窺う。そこには俺に認められて、褒められて嬉しいと思う気持ちと、それでも納得できない何かがせめぎ合って、表を複雑なものにしていた。
そんな俺の言葉をけて、わが娘たちも口々に禮を言う。
「ルナお姉さま。こうやって無事こちらに顕現できたのも、ルナお姉さまが力を貸してくれたからですの。本當にありがとうございます。」
「姉上のお蔭で、この咲耶、こちらに出て來くることができました。これでやっと父上の力になる事が出來るのです。謝してもしたりませぬ。姉上。本當にありがとうございます。」
そんな娘たちの言葉を聞いて、嬉しそうに顔をほころばせるも、やはり何か引っかかるらしく、すぐにその微笑が消えてしまう。そんなルナの表を、わが娘たちも戸いながら、どうしようも無く、心配そうに見つめるだけだった。
俺はそんなルナの心を思って、更に質問する。
「ルナ。此花や咲耶がいてくれて嬉しい?」
その言葉で、ルナがを言葉にする。
「もちろん!此花ちゃんや、咲耶ちゃんがちゃんとこっちに出て來れて、凄く嬉しいの!嬉しい…はずなのに…。なんだか嫌なじなの。此花ちゃんも、咲耶ちゃんも嫌いじゃないのに、なんだか嫌いになっちゃいそうなの。それがなんでか分からないの!!」
ルナはやや興したようにそう答えると、「ごめんね…此花ちゃん、咲耶ちゃん…」と、本當に申し訳なさそうに言う。
そんな固まってしまった3人の心に問い掛けるように、俺は、言葉を発する。
「ルナ。今、此花と咲耶を見て、嫌な気持ちは起こるかい?」
それに対して、ルナは首を振る。
「此花、咲耶。…おいで。」そう言って、2人の娘を呼ぶ。
娘たちはおずおずと言ったじで、俺に近付く。俺は近付いてきた娘たちを右手と左手で問答無用で抱き抱える。
それを見たルナの表が辛そうに歪む。
「ルナ、辛いよね?」
俺は確認するように、言う。ルナは泣きそうな顔で、俺に頷く。
それを見て、俺は、更にルナを強引に俺のにかき抱く。
ルナは一瞬抵抗を見せるの、ポフッと俺のへと収まる。
3人仲良く、俺に抱き締められる形で、橫たわる。
「ルナこれなら?」
聞くまでも無かった。ルナは泣きそうな顔でありながら、今度はとても嬉しそうに俺のに顔を埋めていたからだ。
そんなルナの様子を見ながら、俺は続ける。
「ルナ、俺は前にも言ったけど、ルナは家族だと思っているよ。それは、此花や咲耶だけを特別視してるわけじゃなくて、ルナ、君も特別の中にっているんだよ?忘れないでくれ。ルナを置いてどこかに行ったりしないし、仲間外れにする訳でも無い。」
そう言う俺に、ルナは首を振ってこたえる。
「そうじゃないの…。ルナは、何故か、2人がツバサに優しくされている姿を見るのが辛いの…。嬉しい事なのに…、それなのに、なんだか嫌な気分になっちゃうの。そんなのルナも嫌なのに、止められないの。けど、ルナがツバサに優しくされると凄く嬉しいの。なんで?なんでなの?このままじゃツバサに嫌われるって不安だし、嫌な子になったら皆いなくなっちゃいそうで恐いの!」
これは…この嫉妬は…に近いだと、俺は気が付く。
ルナさん、いつの間にそんなに緒がかに…。ちょっと々嬉しくなる俺がいる。
だが、もし俺の思う通りならば、これは俺が介すると益々こじれる事になる。これは、ルナ自の中で決著を付けないといけないだ。俺がどうこうしていいものではない。
俺は思案すると、ルナに優しく問いかける。
「ルナ。ルナのその嫌なはね…人なら誰もが持っているなんだよ?嫉妬って言って、人の事を羨ましがったり、その場所を奪い取ってやりたいって思う、そんな激しいなんだ。無論、俺も持っている。だけど、のそれは、俺にはし方が分からないんだ。」
しかも関係で嫉妬とか、そんな経験したことないからね…と俺は心の中で呟く。
ルナは、そんな俺の言葉を黙って聞く。
俺はその様子を見て、更に続ける。
「だから、今回のその嫉妬の原因や付き合い方は、レイリさんや、リリーに聞いてみな?きっと彼たちは力になってくれるはずだ。」
そう俺が言うと、ルナは一瞬、寂しそうな目をした。
俺はそんなルナの頭をポンポンと叩く事で、勵ますと、ルナはやっと頷いてくれた。
そんな俺達の騒がしい様子で目が覚めたのか、部屋の隅の方から、リリーの「うーん!良く寢ました!」という清々しい聲が聞こえる。
俺は、ハタと、今の俺の狀況を客観的に確認する。
右手には此花(真っ)、左手には咲耶(同じく真っ)
俺の上に馬乗りで、ルナ。しかも、全員俺に抱きつき更に俺も抱き締めて、いい雰囲気。
まさに、ザ・ハーレム!!的な絵…。
あれ?この狀態まずいんじゃね?と今更ながら思い當たったが…
「つ、つつつつ、ツバサ様!?な、ななななな!!!!!!!ろ、ろりりりり、ロリコン!!?…はふぅ…」
と、起きた早々、ぶっ壊れて撃沈していくのが聲だけでじられた。
ロリコンとか失禮な…と思いつつ否定できない自分に気が付くと、まぁ良いかと思い直す。ついで、そもそもロリコンって言葉あるんだ?と異世界の不思議に疑問を抱く。
トサリと、らかい音がしたと同時に、部屋の戸が開き、
「リリー?どうしたの?こんな朝から大聲を…」
と、言いながらレイリさんがフリーズする気配が伝わる。
うん、今日も朝から々ひと波ありそうなじだなぁと、俺はレイリさんの絶を聞きながらそう思うのであった。
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