《比翼の鳥》第32話:族長會議
食事を終えた俺はルナを連れて、屋の修繕を行っていた。
藁束を俺が作り、それをルナが屋上でキャッチ。そのまま結わいていく。
中々に効率の良い流れ作業となっていた。
ルナも熱心に作業してくれたおだろう。2時間ほどで、壊れた部分の半分近くを直すに至った。
この屋の修繕、実は俺が【ファミリア】を使ってしまえば、あっという間に終わる作業量だ。
けど、それをしてしまってはルナの謝罪の機會を奪うことになるため、今回の茅葺作業は手作業で行った。
案外、ルナも楽しそうにやっていたのが印象的だった。
この分なら、々な験をする度に、あんな素敵な笑顔を見せてくれるだろう。
そんな未來を俺は楽しみにしながら、作業を進めていくのであった。
太が南中しようかと言う頃、レイリさんからお呼びがかかる。
間の良いことに、作業は切が良く、4分の3ほど終了していた。
後は細かいところをチェックして、最終的にカスードさんに仕上げを見てもらって完になる。
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俺はルナに後の作業を任せることを伝える。
「うん!任せて!行ってらっしゃい、ツバサ!」
そんな、明るい聲に見送られた俺は、右手を上げルナに返答すると下へと降りた。
下へ降りると、いつも著ている小さな浴に小をつけ、可く著飾った此花と咲耶がいた。
俺の視線が、わが子達に屆いたのがわかったのだろう。
2人とも一斉に、「お父様―!」「父上―!」と飛び込んでくる。
そんなわが子達の頭をでながら、俺はレイリさんに視線を転じる。
レイリさんはらかな笑みを浮かべながらこちらに、歩いてくる。
「ツバサ様。そろそろ長老様とのお約束の時刻ですわ。」
そんな言葉に、俺は
「レイリさん。ありがとうございます。今日も著いて來ていただけますか?」
と、返禮を述べると共に、お願いしてみた。
そんな俺の言葉に、一瞬驚いた表を見せるも、レイリさんは楽しそうに
「ふふふ。當たり前ですわ。ささ、行きましょう。」
と、著いて行くのが決定していたかのように振舞う。
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いや、実際、レイリさんの中では決定事項だったのかもしれないな…。
しかも、何故なのか若干、機嫌が良さそうな気もする。
尾の振れ合からそれを察した俺は、もう一度お禮を言うと、小さなわが子達の手を両手でしっかりと握りながら著いて行くのであった。
何故だろうか…この時俺は、レイリさんの尾の揺れ合に、何ともいえない不安をじていたのであった。
長老宅へ向かう道で、やはり俺らは注目の的だった。
特に、今回はわが子達にその視線が集中しているのが良くわかる。
そこかしこで、ヒソヒソと囁きあう聲が聞こえる。まぁ、知覚強化している今の俺には丸聞こえなんだが。
中には、わが子達の容姿の可らしさを褒める聲もあったのだが、圧倒的に多かったのが、「人族が増えた!?」である。
そりゃ、忽然こつぜんと現れればそうなるよね。
やっぱり、形態で來るべきだったかな…と後悔するも、後の祭りだった。
そんな俺の苦悩を知ってか知らずか…わが子達は始終ご機嫌だった。
周りをキョロキョロと興味深そうに見渡し、様々なものを見つけてははしゃいでいる。
「此花、咲耶。何か気になるものはあるかい?」
俺がそう問いかけると、2人は堰を切ったように、あれこれと質問し始めた。
その姿は、容姿から想像できる年齢に見合った行で、俺も優しい笑みが浮かぶことを止められなかった。
最近は、何かと忙しく、言葉をわす機會がないからな。今日は々と話をしようと思った。
長老宅につく間、レイリさんもえながら、4人で和気藹々わきあいあいとしながら道中を楽しんだのだった。
長老宅に著くと、この前の侍従さんが出迎えてくれた。…確か、マイラさんと言う名前だったはずだ
「ようこそおいで下さいました。どうぞ、お上がり下さい。」と、丁寧に応対をしてくれる。
俺らはマイラさんに案され、前に長老と話した客間へと通された。
そこには既に先客がいた。
その姿を見て、俺は驚愕するあまり思わず聲を上げてしまう。
「カスードさん?それにヨーゼフさん!?どうしてここに?」
そんな俺の聲に、カスードさんはニヤリと、いたずらが功した子供ような顔をした。
それに対しヨーゼフさんは、し決まりが悪そうに頭を下げる。
それにシレっと応えたのはレイリさんだった。
「カスード様は黒狼族の族長様、ヨーゼフ様は白狼族の族長様でいらっしゃいます。」
うぉーい!?レイリさん!?知ってたなら教えてくれても良いんじゃないですかね!?
カスードさんはレイリさんの紹介だったからまだ判るにしても、ヨーゼフさんなんて完全に偶然出會っただけじゃないの!?
昨日教えてくれれば、心の準備も出來たのに!!
俺がそんな風に、恨みがましくレイリさんを見ると、レイリさんはそんな俺の表を見て、とても楽しそうに微笑む。
レイリさんの表に釣られてか、はたまた、俺の顔があまりに面白かったからなのか、カスードさんは豪快に、ヨーゼフさんも苦笑気味に笑う。
く…この人たち、みんなグルだった!!計ったな!?と言う思いが思わず沸きあがる。
「まぁまぁ、良いじゃねぇか、ツバサ。俺らのこと散々驚かせてるんだ。たまには、おめぇが驚いてる顔を見させてもらっても罰は當たるまい?」
「ふふふ。そうですよ?ツバサ様。貴方様が來てから私も、もう何度驚いたことか…。今日くらい、ちょっとした仕返しをさせて貰ってもよろしいでしょう?」
カスードさんも、レイリさんも、楽しそうにそう言って來た。ヨーゼフさんは、相変わらず苦笑しかしていないが気持ちは同じようだ。
俺はそんな言葉を聞いて、それもそうかなとあっさりと溜飲を下げる。
そりゃ、俺も散々皆さんに迷かけているようだしな…。
この程度で、喜んでもらえるならそれはそれでありか…。
「まったく…久々に大いに驚きましたよ。ヨーゼフさんとか、先日偶然お會いしただけですしね。偶然にも程があります。」
そんな俺の言葉に、ヨーゼフさんも苦笑しながら、
「こちらも驚きましたよ。何せ長老の間で時の人が…まさか、首を突っ込んでくるとは思いもよりませんでした。」
と、呆れとも取れるような微妙な表で語る。
なるほど、最初に見せたあの驚愕の表はそういう意味も含んでいたのね…。納得。
カスードさんも、今日の修行を中止にする件はてっきり使いの者を向かわせたのかと思ったが、なんてことは無い。
先日の長老會議を介して、當人同士で話し合って決めていたんだな…と、理解する。そりゃ、意思決定も早いはずだわ。
「まぁ、立ち話も何だ。ほれ、そこに座れや。ああ、足は崩して良いぞ。別に知らん仲でもないしな。」
そうニヤリと口を歪ませながら、カスードさんは部屋の一角を指差す。
俺は、禮を言いつつ、そちらに向かい、レイリさんやわが子達共々、言われたとおり楽な姿勢で座る。
何故かレイリさんは俺の左隣で寄りかかるように、わが子達は俺の右隣に正座をしてである。
ちょっと?レイリさん?何やってんすか?
そんな懐疑的な気持ちを込め、俺がレイリさんを見ると、レイリさんは恥ずかしそうに頬を染め目を逸らす。
いや、その反応はおかしいでしょ…々と。つか、用だな!さすが大人のだけあるよ!!
俺がそんなレイリさんの反応に戸っていると、カスードさんが楽しそうに
「おいおい。リリーだけでなく、レイリもか?流石に、あの親馬鹿が黙っていねぇぞ?」
と、これ以上無いくらい上機嫌で言ってくる。
ええ、楽しむつもり満々ですよね?判ります。
俺がもしも第三者の立場なら、絶対楽しい見世になること請け合いでしょうし。
「ですって。レイリさん。流石に、ちょっとこの場ではシャレになりませんので抑えてくださいよ…。」
俺は、そうレイリさんに楔を打ち込む。流石に、桜花さんの前でそれをやると會議がぶっ飛びかねん。
俺に釘を刺されたレイリさんは、渋々俺から離れて、「しかたありませんね…。」と、殘念そうに俺の橫に鎮座する。
そして、ヨーゼフさんが興味深そうに、「そちらが…、お話にあった霊様ですか?」と、口を開いた。
「ええ、私の娘でもある、此花と咲耶です。」俺が、そう応えると、
「此花です。」「咲耶です。」と、2人ともしっかりとお辭儀をして挨拶をした。
そんな娘達を、カスードさんは、しげしげと見つめると、「ほう。本當に人族の子と見分けがつかねぇな。」と、心したように言う。
その言葉にヨーゼフさんも、「ええ、ここまで人型を取れる高位の霊様を拝見するのは初めてです。最も、本當に霊様でしたら…ですが…。」と、呟いた後に、「いえ、失言でした。失禮しました。」と、頭を下げる。
それに対し、わが子達はニッコリと微笑むだけだった。
あ、これちょっとカチンときてるな…と、その霊力の波で俺は理解する。
まぁ、結果としてやる気になってくれるなら良いことにしよう…。
そんな風に、皆で歓談しながらマッタリと過ごしていると、更に一人長老様がいらしたらしい。
俺の探知に、マイラさんが一人案してくる様子が引っかかる。
そして、戸を開けてってきたのは…
白いふっさふっさのに頭から垂れた耳、そしてクリクリっとした目をした若いの獣人であった。
俺は見た瞬間、「なに…マルチーズ…だと…。」と、思わず小さく呟いてしまった。
その外見は、マルチーズとしか形容のしようが無い、完全なるらしさをめた姿だった。
まさか、そのような玩犬が來るとは予想外だった。だって、野生で生きる犬ですよ?流石に苛酷な環境ではいないと思っちゃうじゃないですか!
そんな俺の驚いた顔が悪かったのか…いや、恐らく生來の格の問題なのだろう。
皆の視線が集まった瞬間、「ヒゥ!?」と、固まるとそのまま俯いてしまうマルチーズさん。
いや、この人も一応長老でしょうに…。そんなに気が弱くて大丈夫なのだろうか?
俺は一気にこの人が心配になる。
俺はレイリさんに視線を投げかけると、レイリさんは分かりましたと頷く。
「マールさん。こちらへどうぞ。」と、レイリさんが自分の隣を勧める。
あ、本當にそのままの名前なんだ…と、俺はどうでもいいことをじる。
マールさんと呼ばれたは、「は、はぃー!」と、弾かれたように顔を上げると、チョコチョコと小走りに、そして白くて長いふさふさの尾をフリフリしながらこちらに向かってくる…が、何も無いところで突然こけた。
擬音にすれば「ビターン!」と言うじだろうか。正に萬歳の姿勢のまま顔面から畳に突っ込む。
あまりの見事なこけっぷりに、俺は何もすることができず、固まるだけだった。
一瞬、靜寂が部屋を支配する…。そして、マールさんの「ふえぇーーん!」と言うけ無い聲で俺は我に帰った。
「だ、大丈夫ですか?」と、俺は思わず聲をかけつつ、マールさんの前に移し起きるのに手を貸す。
「す、すいませーん…。私、また何も無いところで…。ぐすん…。」と、涙目で起き上がるマールさん。
俺はそれを見て、かにドジっ子來たー!!!と心びを上げる。
そんな俺の心をじたのか、わが子達の呆れた視線が突き刺さるのをじたのだった。
そんな微妙な空気になった室に、じじ……金狼族長老の桜花さんが現れた。ナイスタイミングだ!
そして、室の微妙な空気を察したのか、開口一番
「マールや。またこけたのか?」と、聞いた。ああ、定番なんだな…と、俺は理解する。
そんな問いに、けない聲で「す、すいませ~ん…。」と、謝罪するマールさん。
長老はそんな聲に、ヤレヤレという顔をするも、「気をつけるのじゃぞ?」と、一言だけ聲をかけるにとどめる。流石年長者だけはある。
そして、部屋を見渡し、おや?と言う顔をした後、「ダグスの奴め。また遅刻か。」と、ため息をつきながらそう呟く。
そう言えば、まだ一人足りないな。
マールさんは、マルチーズ…と言う事は、犬の眷屬だから百犬族の長老様かな?
…人選を圧倒的に間違えている気がするが、そのことはとりあえず置いておこう。
そうすると、まだ來ていないのは銀狼族の長老か。
俺が長老の呟きをけて、そんな事を考えていると、
「とりあえず4人いるので良しとしよう。その來るじゃろうしな。では、族長會議を開始する。」
と、族長會議の開催を口にしたのだった。
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8 123魔力、愛、君、私
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8 119Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
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