《比翼の鳥》第47話:寄り添う気持ち

俺が魔力を完全開放した瞬間、何かから解き放たれたじをけた。

俺の心だけでなく、を縛り付けていた何かが外れるのをじる。

ふと…誰かの聲が聞こえた気がした。しかし、俺はそれを今は黙殺する。

魔力開放した瞬間、濃な魔力は荒れ狂う本流となって、周囲に襲い掛かったのがわかった。

俺の視界からはその魔力の様子を見て取ることは出來なかったが、俺の魔力が起こしたであろう、猛烈な力が四方八方に飛び散るのが舞い上がる砂塵を通して、裂し音を上げ唸るように震える大気の様子を見てじられる。

それは俺とルナが丹念に練り上げ重ね作り上げた防障壁へとぶつかり、その力の本流を天へと向かわせる。

ビリビリと振する大気、そして、何かを恐れるかのように震える大地。全ての音が振が、そのとき放たれた力を畏怖するように響き渡った。

戦い、爭っていた者たちは、そのままであれば、その本流に飲み込まれ、あっという間にその四肢を引き裂かれていたはずだった。

しかし、俺の張った防障壁により守られている皆は、その暴力的な力をそのに屆かせること無く、ありえないその景を唖然とした表で見上げる。

魔力開放により俺の能力は著しく上昇するのがわかる。についていた重石が無くなったかのように、一気にが軽くなるのをじる。

しかし、心は落ち著いていた。いや、むしろどん底に近い。

リリー達のやり取りを見て、理解はしつつも、その行為については悲しさと虛しさしかなかった。

自分の魔力がどうなっているのか判らないが、とりあえず村に被害は出ていないようだ。

俺が張った防護結界も健全で、ルナも頑張って結界を維持してくれている。

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良かった。一応全力で防護結界を張っているから大丈夫だとは思っていたが、それでも不安は払拭できなかった。

今回は前回の反省を生かし、地面も含めコップのように結界を張っていた。

そのため、地面の陥沒もなく、見たところ被害も無い。

俺の魔力解放で放たれた衝撃波を防護結界越しに見たことで、皆の視線が俺に集まっていた。

そして、その顔のどれにも信じられないものを見たかのような、驚きの表があった。

今の俺がどんな風に見えているのか考えたくも無い。

一様にきをとめ、俺のきを注視している。その目の奧にはありえないものを見ているような、畏怖が見え隠れしていた。

これが俺の最初の狙いだった。魔力を放出すれば、きっと、その目は俺に向かざるを得ないだろうと考えたのだ。

大きな音を出したり、大規模魔法で強制的に鎮圧することも考えた。

だが、なるべく皆に手を上げない方向で、皆のきを止めるにはこれが最適だと俺は思ったのだ。

もっとも、俺の予想以上の力が荒れ狂ったため、先ほどから冷や汗が止まらない。

これなら、【スタングレネード】や、【スタンライオット】を使った方がましだったかもしれない。

そして、もう一つ。俺の本気の姿を一度見せておきたかったと言う、我が侭な気持ちもあった。

それは、俺の事をしでも知っておいてしい。そして、そんな俺をれてしいという甘えにも似た願から生まれた行だった。

助走のつもりでティガをリリーの間に割ってるつもりが、あっという間にその前へと出ることができた。

そして、きが止まったとはいえ、未だティガへとむけられていたリリーの手を、俺は摑んでいた。

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「え!?」と言う、リリーの驚愕を無視した。

同様に、レイリさんを、そのまま結界をアレンジして縄狀にし、拘束すると風を作し、そのまま地面に押さえつける。

「!?ツバサ…様ですか!?」と、驚愕の表で俺を見つめる。

俺は、傷ついていたティガを癒すと、同様にわが子達も含め、拘束こそしないものの地面へと押しつける。

「お、お父様!?」「父上!?」と、驚いたようにぶわが子達。

ティガは逆に、俺の気持ちがわかっているのか、何も抵抗することなくそのまま地面へと伏せる。

改めてリリーに視線を向けると、リリーはこちらを見て、驚愕の表を浮かべていた。

「な…なんで…そんな…。」と、リリーは呟いている。その言葉は最後まで続くことは無かった。

リリーの手は震えていた。見慣れた俺と言う姿に、ありえない魔力。混している様子が良くわかる。

そもそも、俺の顔すら見えているのだろうか?魔力量が多すぎて、何も見えないのでは…と、思い俺は一旦、魔力の放出を抑える。そして、

「リリー。なんでティガと戦ったの?」淡々と、その問いをリリーにぶつける。

一瞬、呆けたように俺を見るリリーはその質問の意図が理解できないように考え込んだが、

「あ…ツバサさん…?それは…私がツバサさんの近くにいる事を、ティガが否定したから…です。」と、ティガを睨みながら言う。

そんな答えに、俺はティガに目を移すと、「そうなの?」と聞いた。

ティガは押さえつけられながらも、一聲鳴いた。それは否定の意を含んでいた。

それを擁護するかのように、「ティガ様はリリー姉上を否定などされておりませぬ。」「最近、ちょっとお父様に熱を上げすぎているから、警告しただけですわ?」と、我が子達が言う。

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「そ、それのどこがいけないんですか!ツバサさんの傍にいたいって思って何が悪いの!?」と、リリーは興気味に反論する。

そこで、それに答えるかのようにティガが一聲上げる。

「『ツバサ様の近くにいたいという気持ちは皆同じだ。しかし、獨占しようとすれば周りの反を買う。ツバサ様はお優しいので何もいわないが、我々慕うものの中での、心配りは重要であろう?』だそうですわ。」

相変わらず、一聲にどれだけの思いが凝されているのかわからないが、此花がスラスラと翻訳する。

それを聞いたリリーは、「だから強いものがツバサ様の近くにいれば良いじゃないですか!」とび、「そうですわ。序列を決めてしまえば良いのです。弱きものではいざと言うときツバサ様をお守りできませんわ。」と、レイリさんが言う。

それを聞いた俺は思わず、「そう言う事じゃないんだけどなぁ…。」と、呟く。

そんな呟きを聞いた、我が子達とティガは、黙って頷き、リリーとレイリさんは「「え?」」と、不思議そうにその呟きに答える。

「ねぇ?リリー。レイリさん。もしかしたら、獣人族の間では強いものが偉いのかもしれない。けど、弱いものはそれで良いの?2人とも、それで嫌な思いをしてこなかったのかな?」

「そ、それは…。」と、戸うレイリさんに対し、「それでも!力があれば、従えられます!もう我慢しなくて良いんです!」と、反論するリリー。

「ねぇ?リリー。力を持っている人はそれで安泰かもしれないけど、力の無い押さえつけられる方は?自分で今言っていたじゃないか。『我慢』しないといけないんでしょ?リリーは『我慢』するの嫌じゃないの?」

レイリさんは俺のその一言で、俺が言わんとしている事を理解したようだ。そのまま押し黙る。

「それは…だって、もう強くなったんだから我慢しなくても…!」

「それは違うよ。リリー。俺が聞いているのは、『我慢』するのは嫌じゃないのか?ってことだよ。そして、力の無い時に、嫌な思いしなかったの?」

「そ、それは…しました…しましたよ!沢山!!けど、もう関係ないじゃないですか!!」

「そうなの?本當に関係ないの?」

「だ、だって私強くなって!もう、いじめられなくて済むって…。」

「で、今度はリリーがいじめっ子になって、んな人を泣かせるんだね?」

一瞬、俺の魔力がのままに放出される。それは、暴力的な力を持って周囲に襲い掛かる。

結界が悲鳴を上げる。俺は放出された魔力をそのまま、結界維持と強化にまわす。

周りの皆は、俺の張った防護結界の影響で、魔力放出の波を直接かぶることは無かった。

しかし、その余波も相當なものらしく、我が子とティガは、その余波を浴び、を震わせていた。

そして、俺から放出された魔力をじ取ったリリーは本能的に後ずさろうとしたが、俺の手に摑まれているためきが取れない。そして、そんな揺が腕を通して伝わったのが嫌だったのだろう。リリーは黙って見つめている俺から視線を逸らす。

そんなリリーの様子を、俺は冷めた思いをに宿しながら見つめると、レイリさんに視線を転じる。

「レイリさん…。なんでリリーを止めなかったんですか?」

レイリさんは、俺の顔を困ったように見ると、言葉を紡ぐ。

「リリーには、私は苦労ばかりかけてきました。そして、私もまた々と押し込めた思いがございました。

ですから、リリーには自分が思う通り、のびのびと過ごしてしいと考えておりましたの。」

レイリさんはリリーに向かって、弱く微笑むと、言葉を続ける。

「リリーは、本當にいつも私の事もあって、我が儘1つ、言ったこともありませんわ。そんなリリーが、初めて明確な意思を私の前で見せてくれたのです。それを応援せずして何が母親でしょうか?」

レイリさんは、強い意思を宿してそう言い放った。

その気持ちもわからないではない。だが、だからこそ、しっかりと見據えてほしかった。

そういう勝手な気持ちが沸き起こり、改めて自分の勝手さを思い知る。

俺は、自分の意思を伝えるべく口を開く。

「レイリさん。今まで無念さを心に抱えてきた母親として、そのように思う気持ちもわからないではありません。けど、できれば、それがリリーのためになるのかと言うことまで、しっかりと考えてしかった。」

俺は殘念そうに首を振る。

「もし、俺がこの件で、リリーから心が離れてしまったら、それはリリーのためになったのでしょうか?それだけでないですよ。この件でリリーが増長して、俺しか見なくなってしまったら…周りの人を思いやる気持ちさえ無くしてしまったら、リリーは幸せになれるのでしょうか?」

そんな俺の言葉に、レイリさんは口をつぐむ。

「けど、これは俺も悪いんですよ。みんなに何をんでいたか、俺が何をされるのが嫌いなのか。てっきりわかってもらっていると思って、伝えていませんでしたから。この際だから、明言しておきます。」

「俺は、みんなと笑い合えるような、幸せな関係を築きたい。それは今ここにいるみんなだけでなく、村の人も含めてだ。」

俺は俺を見ているであろう人々に向かって宣言した。

それは、防護結界の奧で不安そうにこちらの様子を窺っているであろう村の人々に向けてでもあった。

「そして、爭いの無い関係を築きたい。そのためには、できれば暴力ではなく言葉を用いて相手を理解し、理解されるように努力してほしい。」

そして、俺は本當に心から吐き出すように、ポツリと呟いた。

で爭う姿なんて…絶対に見たくないんだよ…。」

その言葉が聞こえたのだろう。我が子達とティガが、頭を垂れる。

その様子には、反省の思いが見て取れた。

そんな様子の我が子達や、ティガに俺は心で謝を述べると、リリーに向き直り、こう聞いた。

「リリー?あのまま止めなかったら、ティガをどうするつもりだったの?」

俺は、自分の聲とは思えないほど冷たい聲が自信の口から出たことに、驚く。

「は、はい…え、えと…爪で切り裂くつもりでした。けど、殺そうとかそんなことは…」

「噓でしょ?あんな攻撃食らって無事ですむわけないじゃないか。それに、そこには俺の子供達も一緒にいたんだよ?」

その俺の言葉に、リリーは黙る。

目に涙を浮かべながらそれでも、何かに執著するように、言葉を吐き出す。

「けど、けど!!私強くなって、ツバサさんに認めて貰って、そうすれば、ずっと側にいられるって、思って!!」

「だから、ティガも俺の子達も傷ついても良いって思った?」

「ちが…わ、わたし…ツバサさんの側にいたくて…。」

「甘ったれるなよ!!リリー!!」

俺は激昂した。

正直に言おう。本當は優しく諭すだけで終わるつもりだった。

だが、リリーは完全に自分の心に酔っていて、俺と向き合っていなかった。

あまりにも悲しさと憤りを通りすぎて、それが怒りに変わった。

大人げないとは思う。ほんとけないと思うけど、それでもこれが俺だった。

完璧でも無く、賄小な自分勝手なおっさん。それが俺だったのだ。

俺のに伴って、押さえていた魔力が吹き出す。

それに、皆、煽られリリーも、とっさに顔を伏せる。

「リリー…。力を求めたのは誰だ?」

「わ、わたし…です。」

「では、力を振るったのは誰だ…?」

「わ、たし…。でも、ツバサ、さんのた、ために…」

「本當に?それが、俺のためになるの?」

「な、なんで…ツバサさん…そんな、に悲しそ、うな顔、するの…?なん、で?だ、だって…わ、わたし、ツバサさんのため、に…。」

「俺は…そんなことされても、嬉しくない。」

「だ、だって!!ツバサさん!!わたしにずっと   いてしいって!!」

「ああ、言ったな。うん、けど、その前にとても大事な事を伝えたはずだ。」

「え、えっと…」

「俺は、太のようなリリーが好きだと言った。ちょっとドジで一生懸命で優しいリリーが好きだと言った。」

「だ、だから、わたし、ツバサさんのとなりに…。」

「誰かを傷つけてまで、となりにいてくれとは言っていない!それは優しいのか!?いつものリリーのすることなのか!?それで皆を笑顔にできると…そう思っているのか!?」

「なん、で?わた、し…ツバサさんのために…。」

「リリー…。君の言うツバサさんとは、誰だ?俺は、さっきも言った通り、人を傷つけてまで自分を通すリリーは見たくない。」

「え?え……?でも…わたし、がんばって…」

「リリーが一生懸命頑張っているのは知っている。それが、俺のためだと言うのも嬉しい。けど…リリー。俺は、力を振るってくれとは一言も言ってない。むしろ、危険だから使うなと言ったはずだ。」

「え?じゃあ…?え?」

「リリー。俺のために頑張ると言う、その言葉はすごく嬉しい。だが、俺を理由に、俺を逃げ道にするのはダメだ。」

俺はリリーの目をしっかりと見る。リリーの瞳は揺れていて、揺した様子を表していた。

「いいかい?リリー。力を振るったのは君だ。ディガや俺の子達を傷つけたのも、君の意思だ。俺のためと言う言葉を免罪符にしてはダメだ。俺は、自分の力をうときは自分の意思で行うべきだと思っている。良いかい?大事なことだからもう一度言うよ?力は自分の意思で振るうんだ。人のせいにしてはいけない!」

俺のその強い意思のこもった言葉を聞いて、リリーは震え、「あ、あああ…。わ、わたし。わた、わたし…。」と、涙を流し始める。

「リリー。君はティガを越えなければいけないと、強くならなければならないと思い込んでいたようだが、そんなことはないんだよ。俺は、普通に、皆に優しいリリーでいてくれればそれで良いんだ。」

自分の行いを改めて思い返しているのだろう。

リリーは自分の肩を抱き、ガタガタと震えていた。

俺はそんなリリーの両肩に手を置く。

涙を流しながら、俺を見つめるリリーに俺は、

「今度は間違えないようにしような。ちゃんと、俺を見てくれ。な?」

そう優しく聲をかける。

俺の言葉に、コクコクと、涙を流しながら、「ご、ごめ…ごめなさ…。」と、しゃくり上げながら謝罪の言葉を吐き出す。

「それは、ティガと俺の娘達に言おうな。」

そう、苦笑しながら伝えると、頭をでてやる。

俺はレイリさんの方を向くと、「レイリさんも…わかってくれますよね?」と話しかける。

レイリさんは、とても落ち込んだように、

「はい。申し訳ありませんでした。」

と、小さな聲で呟いた。

「私達…し驕っていたのですね…。げられる気持ちは嫌と言うほど味わったはずですのに…。私…力に酔っていました。強くなったことで、狩りも簡単に行えるようになりましたし、何でもできるような気になっておりましたわ。」

レイリさんはし、遠くを見つめるように視線を宙にさ迷わせた後、俺の方を見て、

「ツバサ様の力を近でじて気がつきましたわ…。力で圧倒してもより大きな力で圧倒されるだけですのね…。ツバサ様は、それがわかっておられるから、その力を私達にお見せになったのですね…。」

俺はらかく微笑むと、レイリさんの前に立ち、そっと抱きしめる。

「わかってくれて、ありがとうございます。レイリさん。貴方もまた俺には必要な方です。ちゃんと、リリーも俺も、そして、仲間のみんなの事をわかろうとしてあげて下さい。決して、自分の中のイメージだけで突っ走らないで下さい。」

俺は、腕の中で申し訳無さそうにしているレイリさんを見て、更に言葉を続ける。

「今回はリリーの事は俺がやりましたが…次はちゃんとレイリさんもお願いしますね?言葉を盡くして、お互いを理解し合える関係にしましょう?」

レイリさんは俺のそんな言葉に、腕の中で、「はい…。」と、頷いた。

俺は、レイリさんに「俺もいますから、大丈夫ですよ。」と、微笑むと、を離しその足をティガと我が子達に向ける。

レイリさんは靜かに泣くリリーへと足を向けたようだ。

「みんな、大丈夫か?」との俺の問いに、「お父様ぁ!!」「父上ぇ!!」と、泣きながらしがみ付いてくる我が子達。

ティガは俺に頭を垂れ、俺の目の前に伏す

俺は、此花と咲耶の頭をでつつ、「2人とも、ありがとうな。ティガを守ってくれて。怪我は無いか?」と娘達の目を覗き込んだ。

「大丈夫ですわ!」「あの程度の攻撃、何ともありませぬ!」と、健気に強がる娘達。

しかし、あのような苛烈な攻撃に曬されて大丈夫なはずは無いのだ。きっと怖かったに違い無い。

俺は、そんな気丈に振舞う娘達を抱きしめると、そっと、言葉をかける。

「此花、咲耶…。俺のためにだけじゃないだろうけど、ティガを守ってくれたのは凄く嬉しい。けど、爭いを起こしてはしくなかった。勿論、今回のことはリリーとレイリさんが悪いと思う。けど、最後まで爭いを回避するようにしてほしかった。そして、どうしてもリリー達を止めれないと思ったのだったら、逃げてしかった…。」

俺は突如湧き上がった恐怖にを震わせる。

リリーが我が子達を害する景が一瞬、頭をよぎった。

それは、俺は心を掻き毟られるような衝に駆られる狀況だった。

俺は、それをどうしても許容できず、心の奧底から湧き上がる嫌悪を抑えるだけで必死だった。

馬鹿だ…俺は、終わった後になって気付くとは…。

そんな最悪な景になりそうな狀況だったにもかかわらず、俺はのうのうと見ていたのか。

今回は結果的に良かったとはいえ、一歩間違えればそうなっていてもおかしくなかった。

なんだ…結局一番驕っていたのは俺か…。

全くなんだこれ?偉そうなこと言っておいて、人の事言えないじゃないか…。格好悪いな…。

だが…、今回は上手くいった。それは運もあったかもしれないけど、大丈夫だった。

なら、次に繋げよう。そして、次こそ、気をつけよう…。

俺は、我が子達を抱きしめる手に力を込めつつ、そう決意した。

じっと見つめるティガの視線をじた俺は、ティガと目を合わせる。

「ティガ…。怪我大丈夫か?痛かったろう?」

そんな俺の言葉に、ティガは一聲鳴くに止まる。その聲には、「大丈夫だ。」と言う気持ちがこもっていた。

「ティガ。俺のこと気にかけてくれてありがとうな。結果的ではあるが、何とかなったと思う。それはティガがしっかりと指摘してくれたおだ。」

俺のそんな言葉に、ティガは嬉しそうに鳴いた。

「だが…出來れば、次からは、なるべく話し合いで解決できるように盡力して見てくれ。もうこんな事は沢山だ…。俺の中ではティガも仲間なんだから。傷ついてしくもないし、傷つけてしくも無いよ。」

そんな俺の言葉に、ティガは申し訳無さそうに鳴いて答えた。

俺は、そんなティガの頭を1ですると、ルナのいる所へと向かう。

あれだけ派手に魔力開放したんだ…抑えるにも相當苦労したはずだ…。

ルナは俺の姿を認めると、嬉しそうに手を振って飛びついてきた。

「ルナ、かなり無理させちゃったと思うけど大丈夫?」

俺は飛びついてきたルナを抱きとめながらそう聞いた。

「うん!最初ちょっと大変だったけど、その後は問題なかったよ!それより、ツバサ凄いね!みんな、わかってくれてるみたいだし、やっぱりツバサって不思議な力があるよね!」

そんな無邪気に俺を褒めちぎるルナの言葉に、俺は気恥ずかしさを覚えるも、今回は何とかなったことにホッとしていた。

俺はルナの頭を軽くでると、村人達が集まっている場所に向かう。

そこには、既に族長オールスターズが終結していた。

俺が一禮すると、皆一瞬こわばった顔を向けるものの、一禮を返してくれた。

桜花さんとカスードさんが進み出て、それぞれ聲をかけてくれる。

「なんつーか…。おめぇ、思ってた以上にとんでもねぇな…。」というカスードさんに、「また…派手にやらかしたのぉ…。」という桜花さん。

いきなりのそんな言葉に、俺は思わず「あ、すいません…。お騒がせしまして…。」と、頭を下げる。

そんな俺の様子に、2人とも何故か楽しそうに笑う。

そして、ひとしきり笑うと、カスードさんが

「まぁ、良いんじゃねぇか?ツバサが來てから々面白いしな。この辛気臭い村もしは良い風が吹くだろ。俺は応援するぞ!言葉を盡くして暴力をやめるか…。まぁ、最初は無理かも知れねぇけど、目指すのは良いんじゃねぇかな?そうなったらしは笑うようになるだろ。」

と、そんな嬉しいことを言ってくれた。

それに続き、桜花さんも、

「わしも賛じゃよ。もう、レイリのように押し付けられる者たちを見るのはコリゴリじゃ…。まぁ、道は険しいと思うが…。どっかの誰かはやると言っておったしのぉ。」

と、ニヤニヤしながら楽しそうに言う。

俺は、そんな2人に改めて禮を言うと、丁寧に挨拶してその場を去った。

レイリさんはリリーに寄り添い、そして、ティガと我が子達も一緒になって、皆と話をしているようだった。

俺はそこに、聲をかける。

「とりあえず、疲れただろう?家でゆっくりしながら、皆の事ちゃんと話そう。」

俺のそんな言葉に、そこにいる皆が頷いた。

紆余曲折あったが、皆の心が近くなったのを俺はじていたのだった。

『----…----…ロック…解除…。』

遠くから、そんな聲が聞こえたような気がしたが…耳を済ませても、その聲は聞こえなかった。

そんな俺の様子を、ルナが真剣な目で見つめていたのだった。

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