《どうやら勇者は(真祖)になった様です。》2話 0-2 力試し①

「あのーミランナさん、何故にバトっちゃう雰囲気になってんスかね……」

場所は移り、闘技場のような場所。

白い甲冑を著た男達───聖を護る聖騎士達は、剣やら槍やら……現代日本では目にすることのない武まで持っていて、手れをしてている。

「ふむ、それは簡単な事じゃ」

しかし答えたのは聖でなく、王冠被ったヒゲ──もとい、この國の王様。

(……さっきから存在が空気だったからって、何もここで出しゃばらなくても良いのに)

「古書に書いてあった勇者のお言葉によると、ニホンから召喚された者は皆強いとの事。

……しかし萬が一、例えばその勇者の勘違いであるとか、この300年の間にニホン人が弱化していただとか、そう言う事も起こりかねんからの。

だから、こうして確かめるという事じゃ」

「さ、さいですか………」

(いや、さっきの勇者のセリフからして、明らかに現代人だよな。それに『チート手にれて』の所も気になるし……)

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「なぁ、勝負の前にその日記見せてくれないか?」

「ええ、どうぞ」

ミランダから日記をけ取り、表紙を開いてみる。

『この字が読めるあんたは、日本人何だろう。翻訳をOFFにして書いたからな。

あんたが勇者として呼ばれたのか、偶然やって來たのか、転生して來たのかは解らんが、まあ先輩の助言だ。せいぜい役立ててくれ。

(以下翻訳ON)

目次

第一章 この世界の事

・お金

・國について

・ 』

どうやらこの太い本の前半は、この世界の説明、後半が日記の様だ。

ちなみに、表紙には『冒険の書』と書いてある。

目次を上から見ていくと、幾つか気になる単語があったが、今は読み流す。

そして暫く進んだ所に、目的の項目を見つけた。

『 ・

第三章 自分について

・チート能力について (翻訳OFF) 』

早速そのページを開く。

『チートについて話そう。

先に言っておくが、以下のチートは俺が手にれたチートについてだ。

同じチートをあんたが手にれるか知らんし、

そもそも、俺がただの偶然で手にれたのかもわからねぇ。

召喚されたら誰でも使える様になるのか、素質があって呼ばれたのか……本當の所は解らんが、まぁ、取り敢えずは書いておく。

・異空間収納

生きてる(植を除く)以外は結構何でもる。

虛空にチャックがあると思ってやってみ。

・識別

目に映る々なや人を解析してくれる。

対象を見ながら「知りたい」と強く念じると見える。

能力/思考速度ブースト

名前のまんま。ふんばれ。

1回で使える時間とか倍率とかは、練習すればのびる。

・魔力(大)

分かってると思うが、この世界には魔法がある。それを使う時に消費する魔力量が、とてつもなく多いらしい。

魔法については4章の2で。 』

(ビンゴだっ!)

聖騎士達の準備も終わりに近付いて來てる。

勝人は急いでページをめくった。

『 ・

想像しろ。想像力かに、何なら詠唱してみても良い。

この世界の魔法は例えるなら、『魔力(材料)で想像(設計図)を実現させる』だ。』

「では、手合わせを始めます。お互い、死に至る様な攻撃はしないように」

「(真剣持ってる時點で“死に至る”攻撃になんじゃね?)」

「何か言いましたか?カツヒト様」

「いやっ、何でもない……」

「そうですか……では、始めっ!!」

その言葉が聞こえると同時に、近づいて來る曲剣を持った聖騎士を睨みつけ、その報を引き出す。

『ライオネス・グレイ 男 34歳

MP   500/500

得意技 特殊歩方を使った変幻自在な剣技』

『ライオネスの歩方

自分の間合いまで一直線に進み、剣が屆く所まで來ると、サイドステップの応用で後ろから斬りつける』

(……すげぇ!? 使えるな このチート!)

そしてライオネスは識別通りに、真っ直ぐ突っ込んで來る─

──と、その姿が一瞬右にぶれる。

右側からの攻撃に備えて、をそちらに向けると、終わり。

簡単に言ってしまうと、フェイント。

右側に行く様に見せその後何倍もの速さで左にサイドステップ。

人の目では捉えきれない程の速度で背後に回り込み、斬りつける。

それで勝負は決まる─────決まらなかった。

「……それを、待ってた!」

ライオネスが左側に回り込んで、一端立ち止まり曲剣を振り上げる。

……勝人は、能力・思考速度ブースト(次からはブースト)により、それを上回る速度でそのまま右回転、剣を橫に振り切る。

簡単なホリゾンタル。しかしそれは、余裕……もとい油斷しきっていたライオネスの、がら空きになったに當たるには十分な速さで────

ガギンッ!

「ぐあっ!?」

鎧を凹ませながら、ライオネスは何メートルも吹っ飛んだ。

他の聖騎士達は、驚きを隠せない。

それはそうだろう。……毎日鍛練を欠かさず、この國でも有數の腕前を持つ自分達の相手が、剣を握った事も無さそうな(※実際無い)ヒョロリとした鬼だ。

幾ら勇者と同じ世界から遣って來たとは言え、明らかに“弱そう”。

はっきり言って、多なりとも『舐めて』いた。

─────しかしそれも

「そこまで! 年……次は俺が相手だ」

この瞬間、終わりを告げた。

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