《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第四十五話 はじまりの島①
大陸から東に位置する一つの島。
その島は名前もないただの島として知られている。周囲を巖山で囲まれており、島に上陸するためには唯一の港を使う必要があるのだが、その港自はシュラス錬金研究所が管理しているため、一般人が使用することは許されない。
その港から巖山の部へと続く唯一の道を二人の年が歩いていた。
「この島に來ることは初めてかい?」
炎のような赤い髪の青年――バルト・イルファは言った。
隣に歩いているのは、制服にを包んだだった。
目つきが鋭く、どこか他人を寄せ付けない何かがある。どこか男のような顔立ちにも見えるが、彼は紛れもなく、であった。
「……そうね。この島に來るのは初めてかしら。場所と名前くらいは知っていたけれど、それにしてもどうしてわざわざ私を連れてきたのかしら?」
「それは簡単だ。君もきっとリュージュ様に認められた、ということなのだろう。まあ、それがどこまでほんとうであるかは定かではないがね」
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「相変わらず、あなたは回りくどい言い回しが好きなのね、バルト・イルファ」
「そうかな? まあ、でもそうかもしれないね……。それは妹にもよく言われるよ」
「ロマちゃんは繊細だからねえ。私によく言ってくるよ、お兄様はいつも言葉が長くて実際の結論に比べると何倍も違ってしまうのです、と」
後半、はし聲を変えて言った。その『ロマ』というに合わせて話したのだろう。
「……頼むから、そのロマの真似は止めてくれないか? 正直、君があまりにも似過ぎていて逆に恐ろしい。襲いたくなりそうだ」
「やめてほしいわよ、別にあんたに襲ってもらいたくてこんな真似をしたわけじゃないのだから。冗談よ、冗談。……まったく、どうしてそういうことが理解できないのかしらね? いつ嫌われてもおかしくないわよ? そのシスコンっぷりは」
「シスコンではなくて、彼のことをずっと想っている、と言ってほしいものだね」
バルト・イルファはそう言ってし早歩きをした。
「それが強すぎるからシスコンと思われるのでしょうが……。まあ、それはどうでもいいか。本人同士が解決することではあるし。けれど、見ていてこそばゆいのよね、あなたたちのやり取り」
「そりゃ、僕たちは長い間同じ場所で育ってきたからね」
バルト・イルファは踵を返し、に向き直る。
はそれを聞いて溜息を吐き、
「『十三人の忌み子』、かしら」
「そうだ。あれはとても素晴らしいものだと記憶しているよ。メタモルフォーズは人間の進化の可能、と言われていて、確かに僕たちも現に人間とは違う新たな可能を見出すことが出來た。ただ、それはまだ不完全だ。もっと頑張らなくてはならない」
「オリジナルフォーズの力をに補充しているうちでは、まだ不可能だということね?」
こくり、とバルト・イルファは頷く。
「その通り。オリジナルフォーズの力を、今僕たちメタモルフォーズは加護の一種としてに補充している。しかしながら、それも無限ではない。いつかは回復するために、その力を補充する必要がある。そして、それがある場所が――」
歩き始めた先には、クレーターが広がっていた。
否、正確に言えばそこはクレーターではない。クレーターは隕石の衝突跡などと言ったものだが、それは隕石などが衝突したことによりできたものではない。
本來ならばその下にはマグマがぐつぐつと煮えたぎっている場所。
即ちそこは火口だった。この島は休火山となっているため、それほど活発な火山活が行われているわけではなく、學者の予想によれば數千年は火山活が活発になることは無い、と言われているほどだった。
そして、その休火山の火口にはマグマの代わりに、あるものが眠りについていた。
「これがオリジナルフォーズ……」
はその姿を見て圧巻させられた。その火口に眠りについていたのは、大きな獣だった。巨、と言ってもいいその獣は地面に半分埋まっている形になっていた。そしてその脇には黃金の葉を持つ大樹が生えている。
「あれが、知恵の木、だったかしら。知恵の木の実が生るという唯一の木」
「正確には僕たちの拠點、その地下にもこれの若芽から得られたものがあるから、二つだけれどね。まあ、天然ものの知恵の木、というものであればここにあるのが唯一と言えるだろう」
「それで?」
はバルト・イルファを見つめて、笑みを浮かべる。
「それで……とは? いったい何が言いたいのかな、クラリス?」
――クラリスの笑みを見て、首を傾げるバルト・イルファ。
「だから、言っているじゃない。あなたが何をしたいのか、何をするためにここにやってきたのか。それを聞きたいのよ、私は」
「簡単だよ。オリジナルフォーズを復活させる」
簡単に述べられた言葉だったが、それはそう簡単に実現できるものではないことを、クラリスも理解していた。
だからこそ、バルト・イルファもそれを理解していた。簡単に出來る話ではないから、それでもバルト・イルファはこの地にやってきた。
それは命じられたから?
いや、違う。
自分の意志でここに來た。
自分で、目的があって、ここにやってきた。
バルト・イルファは頷くと、クラリスに一歩近づいた。
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