《異世界で、英雄譚をはじめましょう。》第六十五話 シュラス錬金研究所⑱
竜馬車の乗り心地は事前に言われていた狀態と比べると、とても心地よいものだった。もっとガタガタ揺れるものかと思っていたけれど、これなら普通の馬車と変わりないような気がする。
裝はかなり豪華な様子になっていて、椅子もふかふかになっている。このまま眠ってしまいそうだったが、それが『しまいそう』で済んでしまうのには理由があった。
理由は単純明快。どうやらあまりにも仕事が無かったためか、竜馬車の中がシュルツさんの私がたくさん詰められている狀況だった。まあ、それでも十分広さは確保されているので別に問題が無いといえば無いのだけれど。
「……しかしまあ、やっぱり馬車を契約して正解だったね。徒歩よりかは早いスピードであることは間違いないし」
ルーシーの言葉に頷く僕。
確かにそれはその通りだった。車窓から見える景はかなりスピードが速く流れている。確かにトラックと比べればそのスピードも大したものではないのかもしれないけれど、それでも徒歩で向かうよりかはマシだ。
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「それにしても、このペースなら日が暮れないうちに到著しそうだな」
「そうだったらいいんだけどね。夜ならちょうど侵も出來そうだし」
こくり、と僕は頷いた。
実際、もし研究施設が存在するならばその監視制も厳重になっていることだと思う。何せ、メタモルフォーズの巣によってカモフラージュしているのだから。もしそうじゃなかったとしても太が出ているうちよりかは沈んでいたほうがメタモルフォーズに見つかりにくい。ならば沈んだ後の時間がどちらにせよ都合がいいということだ。
「それにしても……」
レイナは僕たちの會話の後に続いた。
うん? 何か気になることでもあっただろうか。
「この大きな武……何だと思う?」
それは僕たちの背憑れの後ろにあるスペースにりきらないほど大きな銃だった。ガトリングみたいにも見えるけれど、しかしその大きさはとても一人では抱えることが出來ないように見える。
いったい誰の持っている武だろうか、なんて考えるのは野暮なことだろう。どう考えても九割九分はシュルツさんの武だ。しかし、シュルツさんがそれくらい大きな武を活用する時期があったのだろうか?
まあ、でも、行商はいろいろな危険を躱しながら目的地へと無事に到著することを目的としている。何も無ければいいのだけれど、何かあったときに武が無ければ対抗出來ない。だからそのようなものがあるのだろう。多分。
「だからといって質問するわけにもいかないしなあ……」
そんな質問をしたところで護用と答えられるのがオチだと思う。
だから僕は質問することもなく、そのままにしておいた。きっと、それを思っているのは僕だけではないと思う。三人ともそう思っているだけで、ただそれ以上議論を発展させないだけ。
そう考えるのが當然。
そう考えておくのが必然。
きっとそれ以上考えたところで袋小路に迷い込んでしまう話になってしまうことだと思うから、誰もそう言い出さないだけだと思うけれど。
斯くして。
僕たちは一つのを共有したまま向かうことになる。
メタモルフォーズの巣にはいったい何が隠されているのか。
そしてメアリーは、僕たちの予想通りメタモルフォーズの巣に隠された研究施設に居るのだろうか。
そんな思いを乗せたまま、竜馬車は進んでいく。
◇◇◇
「君には別の場所へ行ってもらうこととなった」
朝、単刀直にバルト・イルファが私にそう言った。
一全何があったのか私には解らなかったけれど、きっとそれを質問したところで答えてはくれないのだろうな。
「……怖いから睨み付けないでおくれよ。いいかい? 僕たちだってやることがある。そしてそのためにも別の拠點へと向かう必要がある、ということだ。君には場所を教えておこうか」
一歩私に近付いて、さらにバルト・イルファの話は続く。
「スノーフォグの北にあるチャール島、そこには『邪教』としてオリジナルフォーズを祀る神殿がある。そこへ向かうことになるだろう。なに、そう難しい話じゃない。そして、ここを捨てるつもりはない。ここは研究施設だからね。君をこのままこの場所に放っておくわけにもいかないということだ」
「……別にこのままでいいじゃない。どうして場所を変える必要があるのかしら?」
漸く。
漸く私はその言葉を口にすることができた。
しかし、バルト・イルファはそれにこたえることはなかった。
そしてバルト・イルファは――そのまま姿を消した。
それからバルト・イルファがやってきたのは、ししてからのことだった。私が持っていた荷をそのままバルト・イルファは持っていたので、てっきり返してくれるものかとおもったがそんなことは無く、私にここから出ろと言ってきた。
従わなければ何が起きるか解ったものではない――そう思った私は、それに従うこととした。
「々急になってしまい申し訳ないが、今から出発する。なに、簡単だ。魔を行使していけば一瞬で行くことができる」
「だったら急ぐ必要は無いんじゃない?」
廊下を歩きながら、私はバルト・イルファに問いかけた。
「……だから言っただろう。急になってしまったが、と。急にならざるを得ないことが起きてしまった、ということだ。それくらいしは理解したらどうだ?」
その言葉を聞いて々苛ついたことは確かだけれど、それを口にするほどでも無い。そう思った私はそのままバルト・イルファに従うこととした。場所が解らない以上、ここでバルト・イルファに抗ったとしても簡単に逃げることは出來ないだろう。陸続きならまだしも、ここが絶海の孤島という可能だって十分に有り得るわけなのだから。
それに、魔を行使して移することもそれを考慮してのことだろう。陸路ないし海路で移するとなると仮に目や耳を塞いだとしてもそれ以外の方法で察しがつく可能がある。そう判斷して魔で瞬間的に移させ、究極的に外へ出させないという結論に至ったに違いない。
- 連載中446 章
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