《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》2-2 リザーブの街

「なんというか、近くで見ると圧巻だね」

勇二が街の外壁を見上げそう呟く。

それもその筈、なにせこの外壁は5メートルもあるのだ。

彼らは先ほどのやり取りの通りに馬車を降り、歩いて街壁の前までやってきた。

そして彼らは今、リザーブの街、その街の外壁を見上げていた。

「さて、もういいだろ?行くぞ」

「あ、ちょっと置いてかないでよ朝日!」

いち早く気を取り戻した朝日はそんな二人を置いて門の中にろうとする。

そんな朝日を慌てて追いかける二人。

門には二人の兵士が立っていた。

「すまないがし止まってもらえないか?」

すると門に近づいてきた三人に片方の兵士が聲を掛けてきた。

「見ない顔だな、旅人か?この街にりたいなら分証が必要だが、持っているか?」

規則なのでな、と前置きをれるあたりこの兵士は禮儀正しいのだろう。聲音もらかい。

「あぁ、この街には冒険者になるために來たんだが…、分証か、持ち合わせていないな」

最初こそ兵士に警戒心を抱いていた朝日だが兵士の聲音や表を見て警戒を解き、軽くけ答えをする。

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「ふむ、なら詰め所に來てくれ。しばかりか手數料をいただくが分証を発行してやる」

そういってその兵士はもう一人の兵士に目配せする。

もう一人の兵士はその意味を汲み取ったのか一度詰め所に戻りもう一人兵士を連れて戻ってきた。

「よし、じゃあついて來てくれ」

そう言って兵士は詰め所まで歩き出した。

朝日達は一度顔を見合わせ、その兵士の後を追いかけていった。

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「さて、それじゃあ、その紙に必要事項を記してくれ」

詰め所にやってきた三人に差し出されたのは年齢や名前などの記欄のある羊皮紙だった。

「あ、字は書けるか?書けないなら私が代筆しよう」

その兵士の言葉にやんわりと斷りをれる朝日。

しかし先程の発言を聞く限りでは、どうやらこの世界の識字率は低いようだ。

そんなことを考えながら記欄にある必要事項の欄を埋めていく。

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name アサヒ トウザン

old 17

from

job 旅人

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さて、名前と年齢を記したところで問題が生じた。

職業の欄は適當に旅人にしておいたが、出地の欄だ。

朝日はチラリと自分の橫で羊皮紙を埋めている勇二の方を見た。

するとやはり出地の欄は空欄になっていた。

なんとなく勇二の隣で書いている未希の方を見て見るがやはり空欄だった。

(さて、何かいい手は…そうだ!)

そこまで考えて何か思いついたのか、朝日はさっそく行に移す。

「すまない、ちょっといいか?」

眉を八の字にしていかにも困ったという風を醸し出し兵士に聲を掛ける朝日。

「む?どうかしたか?」

兵士はそんな朝日の様子を見て首を傾げながら近寄ってくる。

「いや恥ずかしながら、実は自分たちが出てきたのは隨分と田舎で、村の名前を知らないんだ。この出地の欄を埋めることができないんだが、どうすればいい?」

そう言うと兵士は驚いた顔をして考え込む。

「む?そんなことが…いや、そういえば田舎の村の中にはそういったものもいるとと聞いたことがあるが、まさか本當だったとは。ふむ、そうか。なら空欄にしておいて構わん。なに、出地不明の旅人などあまり珍しくはないからな」

その言葉を聞き、必要事項を記した羊皮紙を兵士に差し出す三人。

「ふむ、確かにけ取った。あぁ、手數料だが一人銀貨一枚、三人で合計三枚だ」

「っと、すまない銀貨の持ち合わせがなくてな、金貨でいいか?」

「む?その金貨は一どうしたのだ?」

「旅の途中で気のいい商人と會ってな。餞別にくれたんだ」

「ほぅ?そんな商人が…ほら釣りの大銀貨九枚と銀貨七枚だ、け取れ。それと再発行には銀貨三枚かかるから、なくさないようにな」

そういって兵士は朝日達に三枚の魔法陣が描かれた紙を手渡した。

「へぇ、この魔法陣で本人確認をするわけだ」

朝日はその紙に描かれている魔法陣を見て大のあたりを付ける。

「さて、それでは改めて、ようこそリザーブの町へ。歓迎するよ新米冒険者たち」

そういって兵士は詰め所の扉をあけ放つ。

開いた扉から見えたのは活気のある街の様子。

「……活気のある賑やかないい街ですね」

思わずといったじで勇二が呟く。

「そうだろう?冒険者ギルドは門からまっすぐ行ったところにある。ほら行った行った!」

そして朝日達は兵士に詰め所から半ば追い出されるような形でリザーブの街に足を踏みれたのだった。

to be continued...

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