《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》2-10 逆恨み

「よぉ、昨日のクソガキどもぉ。借りを返し來たぜぇ?」

そう言った男のその風貌に朝日はすぐに昨日絡んできた男と同一人であることに気付く。

「おや?アンタは昨日の。奇遇だな、あんたも依頼か?」

まるで昨日の事を気にしていないかのように朝日は話しかける。

しかし、そんな行とは裏腹に朝日は焦っていた。

その理由は...

(おいおい、目が走ってやがんぞ。完全にこっちのことを恨んでんじゃねぇか)

そんなことを考えていると朝日の言葉に反応したのか男がき出した。

「あぁ、そうだなぁ。依頼っていうよりも狩って言った方がいいかも、な!」

そういうと男は背中に背負ったバトルアックスを橫なぎに振りかぶってきた。

男の一番近くにいた朝日は素早くそれをバックステップでよける。

「おいおい、狩りってのは人間も対象になんのかよ?」

「朝日!大丈夫?」

勇二が心配しながら駆け寄ってくるが...

「オラァ!」

そんな勇二めがけて男のサブウェポンであろう手斧が投げつけられた。

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「勇二、危ない!風さん!お願い!『ウィンドバレット』!」

しかし、その手斧は未希の風魔法により撃ち落とされた。

「戦闘中はまわりに気をつけろバカ!」

「ごめんごめん。未希もありがとね」

「いいよいいよ」

そんなやり取りをし、男を見據える三人。

「どうするよ、アイツ」

「どうするって、そりゃぁ」

「やられたらやり返す?」

「「だな(だね)」」

そういって朝日達は武を構える。

「………お前たちさえ」

「あ?」

「お前たちさえあの場にいなければ!オレはこんなことには!」

「……あぁ、程。逆恨みか」

「うるさい!お前たちがあそこにいなければ、オレは今頃ランクアップ試験をけてCランク冒険者になれていたんだ!」

そういって男はバトルアックスを振り回しこちらに突進してくる。

「っち、勇二ひきつけろ!未希はオレと魔法の準備だ!」

「わかった!合図は宜しく!」

「りょーかい!中級魔法でいいよね?」

朝日はそれぞれに指示を出し、それに二人が反応したのを確認すると自分の魔法の詠唱にる。

「あくまで気休めだが。『ブースト』発!」

朝日はまず魔法陣に描いた強化魔法を発させる。

強化魔法には若干だが魔法の威力を上げる効果があるためだ。

「よし準備萬端だ。勇二!合図するまで持ちこたえてくれ!」

朝日が聲を掛けたとき勇二は既に男と接していた。

「分かったけど早くして、ね!」

ユージは男との打ち合いの最中、朝日達に聲を飛ばす。

バトルアックスの男と長剣の勇二、どちらに分があるかと言えばそれは火を見るよりも明らかである。

振り下ろされる重厚なバトルアックスを時に躱し時に逸らす勇二。

隙を見ては男のに斬撃を刻み付けていく。

「よし、俺たちもやるぞ未希!」

「うん!」

朝日の詠唱を皮切りに未希も詠唱を始める。

「『ストーム』発!」

朝日はコートの袖をまくり腕の緑の石にれるとポケットから魔方陣を取り出してキーワードを唱える。

「風さん!いつもよりおっきいのお願い!『ウィンドバレット』」

未希に関してはいつも通りの詠唱だ。

「勇二!」

「OK!じゃあね、昨日のおじさん!」

「待てどこに行くつもり、ぐぁあぁぁぁ!?」

先ほどまで勇二と斬り結んでいた男は離した勇二を追いかけようとしたところで目の前に迫っていた風魔法に真正面から當たりぶっ飛んだ。

そのまま男は飛んで行き森の木にぶつかることでその足を地につけた。

その衝撃で男は気絶したのかピクリともしない。

「ふぅ、疲れた」

勇二は全く無意識のうちに呟くがそれに二人は全く同意見だとばかりに頷く。

「もうし休憩したら牙の収集やって街に帰るか…」

「「さんせー」」

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今彼らは依頼達の報告のため冒険者ギルドに戻ってきていた。

しかし、彼らはまたしても注目を集めることとなった。

それは...

「えっと、そちらの方は確か…」

付嬢がおずおずと尋ねる。

「ん?あぁ、昨日オレたちに絡んできた冒険者だが」

朝日が悪びれもせずに答える。

その言葉に頬をピクつかせる付嬢。

「えーっと実は……」

言葉の足らない朝日を勇二がフォローする。

「………っというわけでして」

「なるほど、分かりました。彼に関しては後日改めてお話を聞かせてもらうことにしましょう。それで初依頼の方はどうでした?」

「うーん。やっぱり対人戦をするのと生きと戦うのじゃ大分違いますねー」

「ええ、彼らには野生の勘というものがありますからね」

「………そんなことより討伐部位の方を早く確認してほしいんだが」

そんなことを言い朝日は手に持つフォレストウルフの牙のった袋(昨日買った安)をカウンターの上に置く。

「あ、すみません!今すぐお確認いたします!」

そういって付嬢は袋の中にっている牙の數を數える。

「フォレストウルフの牙、ノルマ五本に加え六本の牙を確認。よって報酬は銀貨七枚と大銅貨七枚となります」

「……多くないか?」

「今回こちらの方の迷料と考えていただければ」

「わかった。それでいい」

そういって報酬をけ取る朝日。

そのまま朝日は二人のもとに近づき、

「……宿に帰るか」

「そだね」

「うん、さんせー」

そのまま三人は宿屋に帰っていく。

こうして勇二たちの初依頼は無事(?)に幕を閉じたのだった。

to be continued...

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