空が僅かに白み始めた頃。

ようやく朝日達の戦闘に一つの區切りがついた。

「あ”ー、流石に疲れた」

そういって朝日は近場の石に腰かける。

「激しく同意。て言うか、返りがすごいことになってるね」

そういうのは勇二だ。

未希も無言で同意している。

彼らは先程討伐したゴブリンの返りで塗れになっている。

後方にいた未希ですらそれなりのを浴びている。

「にしても結構倒したね。大十分の一くらいかな？この數だと」

そう言ってちらりと討伐部位の耳をれた麻袋を見る勇二。

そういった勇二の足元に転がっているのはゴブリンの死骸だ。

その數、約二十五。

「これだけ倒せば報酬も期待できるだろ」

そう言って腰かけていた石から立ち上がり、軽くびをする朝日。

「んー？ゆうじー、なんかあっちの方で聲がするよー」

そういったのは草むらの方で寢っ転がっていた未希だ。

「ホントだ。何だろう？」

「さぁな、大方これから帰還するぞっていうのを伝えに來ただけかもしれんが。行って見るか」

「「りょーかい」」

そう言って人の聲のする方、集落の真ん中のほうに行って見るとそこには小さいながらもベースキャンプのようなものができていた。

「……これは？」

思わずつぶやいた朝日の聲に反応したのは討伐隊の隊長、ジョウだった。

「お、來たか。お前さん方で丁度四十一名。よかった全員生き殘ってたな」

「えっと、これは一何なんですか」

今度は勇二が面を向って問う。

「ん？あぁ、これか？簡単なものだが休憩場のようなものと思ってくれればいい」

見たところ簡易的だが診療所のようなものもあり、道端で寢ている冒険者に布を貸し出したりもしているようだ。

「ってことは討伐作戦は？」

「あぁ、無事終わったと思っていいぞ。いくらからしもあるだろうが、數は減ったんだし問題はないだろう」

そういうと、ジョウは仲間からお椀のようなものをけ取り朝日たちに差し出す。

「ほれ、もう夜明けだ。日が完全に登ったら出発するからこれでも食っておけ」

差し出されたのは溫かいスープだった。

「あぁ、謝する。ほら、お前ら飯だってよ」

「え！？ご飯！？よかったー、またあの微妙な味の干しを食べる羽目になるかと…」

「おぉ、スープだー。でもそんなことより眠いよぉ」

「寢るのは後だ。まずは食え」

そんな朝日たちのやり取りを、ジョウがしニヤニヤしながら見てくる。

「……なんだよ」

「いや、君がまるでその二人の保護者のように見えてな」

「…反論できねぇ自分にむかつく」

それを聞いて快活に笑うジョウ。

「それよりあんたちょっといいか？」

「ん？どうした？」

「いや、し聞きたいことがあってな」

言いづらそうにしている朝日にジョウは何かじ取ったのか真剣な顔になって朝日を見返す。

「今回の件の被害者はどうなった」

「ん？犠牲者か？それならゼロ人だが」

「そうじゃなくて、攫われた方のだよ」

朝日の脳裏には出撃前に話した男の顔が浮かんできた。

その言葉にハッとした表になるジョウ。

そして...

「わかった。場所を変えよう、ついてこい」

ジョウは被害者たちのが安置してある場所に向かい歩き出す。

「朝日？」

移しようとしていた朝日に気付いたのかウトウトしていた勇二がこちらを見てくる。

「大丈夫だ。すこし話をしに行くだけだ。お前は未希と一緒に休んでろ」

「うーん、わかったー」

そういうと勇二は再び舟を漕ぎ始め、數分としないうちに眠りに落ちていった。

「すまない、待たせたな」

一度朝日はジョウに謝罪するが、當のジョウは気にした様子も無く、こちらをニヤニヤしながら見つめてくるだけだ。

「いやいいってことよ。じゃあ行くか」

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そこにあったのは布のかけられた數の。

一番近くにあったの布をめくってみる。

そこには顔の形が変形するまで毆られ続けたのであろうの顔があった。

「ッ！？こいつはひどい。あいつらを連れてこなくて正解だったな」

そういって靜かに布を掛け直し合掌する朝日。

「……被害者のはこれで全部か？」

朝日のその言葉に軽く首を橫に振るジョウ。

「いや、集落中探してギルド長からもらった名簿に照らし合わせたが數人のが足りない。どれも全部だ。恐らく捕食されたんだと思うが」

「そうか……」

そういって朝日はあたりを見渡す。

(あの男はいない、か。がここになかったのか？)

朝日がそんなことを考えていると、し遠くからび聲のようなものが聞こえてきた。

「これは、悲鳴か？」

「あぁ、恐らくな。行ってみよう」

そういって朝日たちは駆け出した。

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「おい、どうしたっ！？」

「おいおい、冗談だろう？こいつは…」

朝日たちは目の前の景を見て言葉を失った。

悲鳴を聞きつけたどり著いた場所には......

「ランクC、ゴブリンキングっ！」

つい先ほどまで息を潛めていたゴブリンの王が姿を現したのだ。

to be continued...