《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》3-21 気配

魔法で作った地中のトンネルから出た勇二達は地下居住區から地上へ続く出口へ移していた。

「ユウジさん」

そんな中、ラックは落ち著きのない様子であたりを見回しながら勇二に近づく。

「うん?どうしたの?」

勇二は頭の後ろで組んでいた腕を解いてラックの方を見やる。

「気付いてますか?」

そう言ってラックは周囲の家屋の方に目をやる。

「そりゃあ當然気付くよ。せめて気配くらいは消してくれないとねぇ…」

そう言って勇二もラックとは別の方向を見る。

そこには瓦礫のようなものが積まれていて、そのに隠れる人の姿があった。

ラックが先程からあたりを見回していたのはこのためである。

「…最初にじたのは私たちが地上に出て移を開始してからですね」

「うん。僕も大そのぐらいだった。恐らく、この子たちを攫ってきた商人の部下だろうね」

そういう勇二の視線の先には未希の周りで笑いながら歩いている子供達がいた。

「私がじ取れたのは大七人ほどです。ユウジさんは?」

「うーん。僕はそれよりもない。気配はじとれてもそれが何人かはハッキリ分かんないんだよね」

「よろしければ、今度コツをお教えしましょうか?」

「それはありがたい。機會があればぜひ頼むよ」

そんなふうに軽口をたたきながらも三人と子供達は歩みを進めてゆく。

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その頃、オークションの會場裏のテントでは...

「盟主殿!只今、偵察に向かった者達から伝令が來ました!」

そう言ってテントの前で聲を張り上げる青年。

れ」

テントの中から聞こえた雇い主である男の聲に、青年は一度その場で失禮します、と一言禮をしてからテントの中にる。

そこでは小太りな中年の男が椅子に座り機の上で腕を組んでいた。

「それで、何かきはあったのか」

男は短くそう言って青年に問いかける。

「っは。伝令によると例の一行は地下居住區部を移中とのことです!」

「ふむ。居住區、か。どこに向かっているかはわかるか?方向だけでも良い」

「どうやら東に向かっているようです」

それを聞いた男は思案顔になり、小さくブツブツと呟きだした。

「東、東だな?私の奴隷を連れ出した連中の目指す場所は恐らく地上だろうな。地下ではすぐに見つかって終わりだからな」

「は、はぁ…?それでいかがいたします?」

「そうだな、備考は引き続き続行しろ。それから今ける兵を等分に分け、東にある出口全てに配置しろ」

「す、全てですか?」

男のあまりな命令に青年は驚いたような聲を上げる。

「ああ、その通りだ。さあ、早く兵士共に伝えに行け。早くせぬか!」

「っは!」

怒鳴るようにそう命じた男に青年は軽く禮をし、その場を去るのだった

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「…また増えましたね。どうします?いっそのこと、こちらから出向きますか?」

「いや。このまま様子を見よう。今のところ、こっちに害は無いわけだし」

意外に好戦的なラックであった。

to be continued...

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