《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》3-22 出口は何処へ?

何事もなく地下居住區を抜けた勇二達はドーム狀になった地下の端にいた。

「えっと、確かここら辺に…」

勇二はそんなことを呟きながら眼前にある土壁を叩いていた。

見れば勇二の他にも未希やラック、さらには連れてきた子供達まで。

今、勇二達は地上に出るための出口に続く階段を探していた。

勇二達は先ほど今いる場所と同じところから地下に侵してきた。

しかし、今その場所に戻ってきたところその階段が消失していたのだ。

恐らく、誰かがカモフラージュのためにそうしたのだろうが、現在進行形で追手から追われている勇二達にはこの上なく厄介なものであった。

そんな切羽詰まる狀況で、流石に他の出口を回ってみるわけにもいかず(というよりは、他の出口を知らないため)手分けをして階段のある場所を探ろうとしているわけである。

(拙いですね…先ほどよりも気配が多くなっています…この數、軽く十五以上はいますね…)

そんな中でラックは周囲からじる追手と思わしき人たちの気配をじ取り冷や汗を流していた。

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先程から、もっと言えば地下居住區にってからじていた視線と気配。

それが今の場所に來てから急激に増大しているのだ。

今でこそ目立ったきは見せていないがこのままこの場にいれば仕掛けてくるのは明確。

何としてでもこの狀況を切り抜けたいという思いで一杯一杯だった。

もし戦闘になれば子供達のいるこちらが不利になるのは火を見るよりも明らかだ。

それに、冒険者として他の者に手のを明かすのは、なるべく避けたいという思いもある。

「あった!」

ラックが一人、そんなことを考えながら百面相をしているとすぐ近くで聲が上がる。

その聲の主は今回の件の大本となった、シェリーである。

「シェリーちゃん?あった、って何か見つけたの?」

未希は腰をかがめ、なるべくシェリーと目線が合うようにして話しかける。

「あ、みきおねえさん。あの、これ…」

そう言って差し出されたシェリーの小さな手には緑の真珠のような丸い球があしらわれたイヤリングがあった。

「おかあさ…ははからもらったイヤリングです。ここにつれてこられたときになくしちゃって…」

お母さん、と言いかけたシェリーは直ぐにその言葉を訂正する。

流石に商人の娘。

そういった教育には抜かりはないようで、ここにいる同年代の子供たちの中でも大人びて見える。

「そっか。よかったね!」

未希は嬉しそうな顔をしながらそう言ってシェリーの頭をでてやる。

するとそんな會話を壁を叩きながら聞いていた勇二が突然その手を止め二人の元へ寄ってきた。

「ねぇシェリーちゃん?そのイヤリングを見つけた場所ってここでいい?」

勇二は未希と同じように腰をかがめシェリーと視線を合わせる。

「え?あ、はい。ちょうどここだとおもいますけど?」

シェリーはそう言って戸い気味に答える。

「うん。ありがとう」

勇二はシェリーに一度禮を言うと立ち上がり、すぐそばの壁を手の甲でたたいてみる。

その瞬間、じた違和に通じは思わず勇二は口角を吊り上げる。

「…未希」

「うん?どうしたの勇二?」

「ちょっと、また未希の手を借りたいんだけど…魔力はまだ余裕ある?」

「全然大丈夫だよ!」

「オーケー。ならここに『ウィンドバレット』を數発撃ってくれないかな?」

そう言って勇二が指さしたのはシェリーがイヤリングを見つけた場所のすぐそばの土壁だ。

「え、ここに?ってまさか!?」

「うん。多分ね?覚的に間違いないと思うよ」

勇二はそれだけ言うと周囲にいた子供たちを一度下がらせ自も未希のいる場所から距離をとる。

「それじゃあ、お願いね」

「りょーかい!風よ、貫け!『ウィンドバレット』!」

未希の詠唱により同時展開して放たれた風の弾丸たちは眼前の土壁に殺到し風を開ける。

「かーらーの、ほいっ!」

そして、風の空いた土壁に勇二が追い打ちをかけるように後ろ回し蹴りをかます。なぜ後ろ回し蹴りかというと単純にそういう気分だったからだ。特に意味はない。

勇二のその蹴りは風が開きボロボロになっていた土壁をいとも容易く打ち壊した。

その先には...

「ビンゴ…!」

ここに來る時に利用した階段があった。

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それよりもし前、オークションの會場裏のあるテントでは...

「盟主殿、包囲完了したとのことです」

そう言って頭を下げる青年に小太りな男は満足げな表をする。

「よくやった。私も現地に向かおう。々逃がさぬように気をつけろ」

男はにやりと頬の端を歪めると、腰かけていた椅子から立ち上がり椅子の背もたれにかけた上著を羽織る。

「商人をなめた罰。とくと味わうがよい!」

to be continued...

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