《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》3-25 衝突、逃亡、拘束

勇二が、隊列を組みゆっくりとしたスピードでこちらに近づいていきていた傭兵達のもとに突撃しようと駆けだした矢先、傭兵達に大きなきがあった。

「うおっ!?なんかあっちも突っ込んできた!」

それは大群による突進だった。

一見意味のないよな行に見えるが、彼等は數十人規模でそれを行っている。

単獨で攻め込もうとしていた勇二にとっては一人で巨大な魔に挑むのと同じようなものであった。

このまま、まともに立ち向かっても勝機がないことを即座に理解すると勇二は駆けていた足を止める。

「はぁ、まさか質量で潰しに來るとはね…ま、こっちは何も弾戦だけが手じゃないからいいけどね!」

勇二はそう言うと右手に持った剣を鞘に収め、そのまま手の平を突撃してくる傭兵達に向かいかざす。

確かに、まともに相手をすれば勝つことはできない。

ならば、まとも相手をしなければいい。

「炎よ、貫け『ファイアボルト』」

勇二の詠唱により現れたのは炎による複數の弾丸。

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「発!」

その弾丸は勇二の掛け聲とともに、こちらに迫りつつある傭兵達のもとに殺到する。

「「「ぐあぁぁ!?」」」

それは見事に傭兵の大群の中の數人の命中した。

「かーらーの、『エレクトスプラッシュ』!」

魔法が命中したのを見た勇二は満足げな表を浮かべた後、追撃を與えるべく新たな魔法の詠唱をした。

勇二の詠唱により現れたのは雷で構された拳大の球

その球はふわりと天高く浮かび上がると傭兵の大群の中心に勢いよく落下し激しいを放ちながら放電する。

「「「「うわぁぁぁ!?」」」」

勇二の発した魔法は雷屬中級魔法『エレクトロスプラッシュ』。

この魔法は謂わば雷の雫だ。

雫というのは何かに落下した時、飛沫をあげる。

それと同じことを雷で起こしたのである。

勇二の二つの魔法を喰らった傭兵達はすっかり黒焦げである。

「はぁ、これで大半分か…」

勇二からけた魔法による攻撃でその數が半分近くまで減らしながらも突撃をやめない傭兵達を見てそう呟くと勇二は腰の鞘に収めていた剣を抜き放つ。

「これならイケるかな」

そう言うと勇二は、単獨傭兵達のもとに駆けて行く。

徐々に傭兵達との距離が詰まって行く中、勇二は右手に嵌めた腕に大量の魔力を流す。

「っし―――!」

そして、その距離が十メートルをきったところで勇二は思いっきり剣を橫に一閃した。

勇二が放ったそれはこれまでも何度と使ってきた技。夢現流魔法剣『飛翔剣』である。

いつもより多くの魔力を込めて放ったそれは殺傷能力こそ失っていたが殘っていた傭兵達の全てを薙ぎ倒した。

「ふぅ…まぁ、こんなものかな?」

勇二は一つ溜息をついてそう呟くと剣を鞘に収め、目の前に倒れ込んでいる傭兵達のもとに近づく。

「ねぇ、君」

「ッヒ!?」

その場にしゃがみ込んだ勇二が倒れている傭兵の一人の兜を取り叩いて目を覚まさせると、その傭兵は途端に顔を青くし小さく悲鳴を上げる。

「君たちの雇い主はどうしたの?見たところこの中にはいないみたいだけど?」

「ふ、ふん!そんなの知るか!知っていたとして誰が教えるか!」

「うん。仕事熱心なのはいいけどさ…」

そう言うと勇二は立ち上がり、はぎ取った兜を拾いうとそれを宙に放り投げ、瞬時に抜刀した剣でそれを一閃し真っ二つに斬り裂いた。

ガシャン、という音を立てて地面に落ちた兜を見て傭兵は青くなった顔を一層白に青白くする。

「…これを見てどうなるか、分からない訳ではないよね?」

勇二はそう言うと最終通告だとばかりに傭兵の首筋に剣を突き立てる。

「わ、分かった!話す、話すから命だけは助けてくれぇ!」

傭兵がになった額に汗を滲ませて必死に命乞いをするのを見た勇二は無言で剣を鞘に収める。

「ヤツは今頃、他の仲間に連れられて地上にいる。名前だけなら相當に有名だからすぐに見つかるはずだ!これでいいか!?」

殆どぶようにそう言った男の顔を見て噓を言っていないことを確認した勇二は無言で頷く。

「分かった。それじゃあ約束通り命は助けるよ」

すると勇二はその傭兵に向かって手の平をかざす。

「次に目を覚ました時は牢屋の中だよ」

次の瞬間、傭兵は後頭部を地面にたたきつけられ意識を失った。

勇二は念の為傭兵の後頭部から出してないか確かめると腰の『道袋アイテムストレージ』から數本のロープを取り出した。

「さて、それじゃあこれを…」

「おーい、勇二―!」

縛りあげるか、と続けようとしたところで遠くから未希の聲が聞こえてきた。

近くに誰もいないところを見ると、どうやら無事に子供達を地上に送り屆けてきたようだ。

「未希、ラックは?」

「子供達をギルドまで送り屆けるってさ。ついでに応援を呼んできてくれるって言ってたけど…この狀況は?」

「えっと…何とかなりました?」

疑問形で答えた勇二に未希は「はぁ」、と溜息をつく。

「まあ勇二だからしょうがないか。それよりもあの太ったおじさんは?」

「殘念ながら逃げられちゃった。それよりも未希。ここにいる傭兵達を拘束したいから手伝ってくれないかな?」

「えー」

「ほら、応援が來るまでに縛り上げておけばすぐにギルドに戻れるでしょ?」

「いや、だけど…」

「ほらほら、いいから。やり方が分からないなら教えてあげるから」

こうして未希が渋々ながらも手伝ったことにより冒険者ギルドからの応援が來るまでの間にここにいるすべての傭兵を縛り上げることを完了させたのだった。

その後、応援にやってきた冒険者達に縛り上げた傭兵たちを見られ、驚かれたのは言うまでもない。

to be continued...

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