《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》3-33 魔法鉄

「さあ、ひとまずお前の剣を見せて見ろ」

「え?剣、ですか?」

店の中にった途端、店主であろう男は尊大な態度を崩さず勇二は剣を見せろと要求してきた。

「貴様の腕がいいのは先のを見て理解した。だが、貴様に合う得を見立てるにも一度貴様の剣を見なければ話にならん」

程…一理ある、のかな?」

男が次いでした補足になんとなく納得する勇二。

「さあ、分かったならさっさと剣を寄越せ」

ぶっきらぼうにそう言って催促する不想な男に勇二は苦笑しながら剣を鞘ごと手渡す。

「ふん。確かにこれはあの方の作品に間違いないようだな。それにしても…隨分と使い込んだもんだな」

そういう男の視線は幾度も敵を斬り、所々刃こぼれの見られる剣の刃に向いていた。

「この剣を使ってどのくらいになる?」

「えっと…半年くらい、かな?」

「ずっと使い続けているのか?」

「ええ。その剣を手にれてからはずっとそれですね」

「ふむ…半年休まず使い続けてこれか。一応メンテナンスはしているようだが、やはり年期による劣化があったようだな」

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男は勇二から剣の報を聞き出しながら店の壁にかけてある剣の一つ一つを確認していく。

「これからも同じような使い方をするつもりか?」

「そうですね…やっぱり冒険者という立場上いろんな街を転々と旅しますのできちんとしたメンテナンスは出來そうにありませんしね」

「なら…これはどうだ」

そう言って男が取り出したのは勇二が今まで使ってきた剣のよりもし長く、幅広の長剣。

「素材などは同じものを使っているが、以前の剣に比べると重厚な作りになっていてそれなりに丈夫なはずだ」

勇二は男から剣をけ取り剣を鞘から抜くと、握りを確かめながら軽く持ち上げてみる。

「うーん。し重心がずれるな…その剣と同じくらいの長さのものはありませんか?」

「無いことはないが、やはりその剣では満足しないか」

「はい。僕は機力を重視して戦うタイプなので出來れば軽い剣の方が使いやすいんです。まあ、あまりに軽すぎる剣だとすぐにダメにしてしまうんですけどね」

勇二はけ取った剣を鞘に収め、男に手渡しながら苦笑気味にそう言った。

「軽すぎず重すぎず、長さは長剣としての基準が理想、ね。贅沢言いやがる」

眉をひそめてそう呟くと男に勇二は肩をすくめることで答える。

「まあいい。それで貴様、貴様はこの剣は一どうするつもりなんだ?」

そう言って男が指さしたのは勇二が今まで使ってきた長剣だ。

「うーん。どうすると言われても…どうしたらいいんでしょう?」

勇二がそう言って首を傾げると、男は無言で店の奧にっていった。

數分後、店の奧から男が出てきたとき、その両腕に大量の剣を抱えていた。

「取り敢えず、貴様の期待にそえそうな剣を持ってきた。試したきゃ勝手に試せ」

「?」

勇二は先程の発言と今の男の行との意味を理解できなかったのか首を傾げる。

「…貴様の使ってきた剣を鋳つぶして選んだ剣に接合し、 再加工する」

再びった補足説明に勇二は男が何を言わんとしているのかを理解した。

先程から思ていたことだが、この男は事を伝えるのが下手なようだ。

言葉數がないうえに余り喋らないので尚更に伝わりずらい。

「さあ、どれにするんだ?早く選べ」

「あ、えっと…じゃあこれで」

そういって勇二が半ば直的に選んだのは大今まで使ってきた剣と同じ大きさの刀に青い模様がった銀のシンプルな剣だった。

「ほう?なかなか見る目があるようだな。貴様、この剣がどんな金屬でできてるか知ってるか?」

「へ?いえ、知りませんけど…?」

程…剣の目利きはそれなりでも、素材の知識についてはほとんど無知か」

男はそうひとりごちるとカウンターの裏からいくつかの金屬の塊を取り出した。

「まず、こいつは何だかわかるか?」

「へ…?」

そう言って男が指さしたのは銀の延棒インゴット。

「えっと…鉄、ですか?」

「正解だ。なら、こいつは?」

そういって男が次に指をさしたのは先程のモノより鈍いの延棒だ。

「鋼、でしょうか?」

「ふん。その程度の見分けはつくか。ならこいつはどうだ?」

最後に男が指さしたのは鉄の延棒よりもやや水がかったものだった。

「え?これは…ミスリル、ですか?」

勇二はその金屬から発せられるどこか神聖な雰囲気から、記憶の中の有名なファンタジー金屬の名前を口にした。

「殘念ながら不正解だ」

勇二のその回答に、返ってきたのは簡潔な答えだった。

「この金屬は魔法鉄といって、魔力を大量に含んだ地中で金屬が形されたとき極稀に生される金屬で、貴様の言ったミスリルの次くらいには魔力伝導に優れた金屬だ」

「そんな金屬があったんですね…」

「ああ。ちなみに貴様の選んだその剣にも使われているぞ」

勇二は男の言葉に思わず手に持ったその剣を見つめる。

いわれてみれば、確かに刀しばかりか薄青い気がしてきた。

「あと、貴様の使っていた剣の方も高品質な鉄を使っているぞ。でなければここまで無茶な使い方をして耐えきれるものか」

「へぇー」

「それで、どうするんだ?」

「うぇ?」

いきなり尋ねられた勇二は思わず間抜けな聲を出してしまう。

「剣を鋳つぶして新しく作り直すのか、はたまたその魔法鉄の剣を買っていくのか、どっちだ?」

「えーっと…あ、ちなみに新しく剣を作り直すとどのくらい掛かりますか?」

「さあな。これでも儂は忙しい。それこそ一週間ほどはかかるだろうな」

「ちなみにその間替えの剣を用意してくれたりは…」

「仕方ないからくれてやる。使いたい剣があったらここにあるうちから選んでいけ」

そこまで聞いた勇二は暫し考えた後、結論が出たのか男に向き直り手に持つ薄青い剣を差し出す。

「分かりました。それじゃあ、作り直す方向でお願いします」

「毎度あり。念のため聞いとくが形狀とかに指定はないな?」

「はい。余計な裝飾とかがなければ大丈夫です」

「分かった。用が済んだならさっさと代えの剣を選んで、また一週間後に取りに來い」

「はい。それじゃあこの剣をいただいていきますね。失禮します。」

勇二はそう言うとカウンターの上に置かれた無骨な鉄製の剣を一振り拝借し店主の男に背を向ける。

「あ、すっかり自己紹介を忘れてました」

店の扉に手をかけた勇二は何かを思い出したようにその場で振り返る。

「僕の名前は勇二って言います。これでも一応Bランク冒険者です」

「儂はリザーブにいるダグダの兄弟子のエーゲンだ」

尊大な態度を隠そうともせずにそういった男、エーゲンに勇二は苦笑しながら今度こそ店の扉に手をかける。

「それでは剣ができたころにまた來ますね。エーゲンさん」

ドアにつけられた鈴を鳴らしながら出ていく勇二の後姿をエーゲンはジッと見つめる。

そして口元にかすかな笑みを浮かると扉の掛札を裏返し一人、店の裏手にある工房に移した。

將來有な一人の年のための剣を打つために...

to be continued...

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