《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》3-35 異変

勇二達はランクも無事にBランクに昇格し、人助けや訓練場通いをして過ごしていた。

本來ならば冒険者として魔の討伐などの依頼に出かけたいところなのだが、殘念なことに前衛となる勇二の剣が未だに完していないのだ。

勇二の剣を打っている鍛冶師の男、エーゲンによると思いのほか作業が難航しているとのことで、完までにはまだ時間がかかるらしい。

一応スペアの剣は持たされてはいるのだが、勇二はどうにもその剣に馴染めないようだ。

そんな狀態で戦うのは危険であると判斷した結果、手持ち沙汰だった勇二達はなし崩し的に街の中で數日を過ごすこととなった。それでも充分にになる數日にはなっているのだが。

「あ、そうだ」

ここ數日そうしてきたように、今日も冒険者ギルドの訓練場に足を進めていたその道中。未希がなにかを思い出したようにその場で立ち止まった。

ちなみに、二人が訓練場にると後に続く者たちが続出してたちまち訓練場に野次馬が続出していたりする。最早、勇二と未希の訓練場での模擬戦はギルドの名となっているようだ。

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まあ、それに対して二人はし戦いずらいというくらいにしか思っていないようで、未希に関しては最近かに悩んでいた重についてのアレコレが解消しそうと喜んでさえいる。もっとも、その増えた重はお腹のものではなくもっと別の場所にあるのだが...

「うん?どうしたの、未希?」

勇二はそんな未希を怪訝そうな顔で見つめる。

「この前ギルド証を取りにギルドに行ったときに薬草採取の依頼書がってあって、その薬草が腰痛に効くらしいんだけど…ちょっと採取しにいかない?」

「別にいけど…でもなんで腰痛?」

「ほら、宿の主人のおじいちゃん。この前腰を痛めたって言ってたから宿のお禮によければなーって」

ちなみに、未希の言う宿のおじいちゃんというのは二人の宿泊している街郊外の小さな古宿の店主のことで年八十になるらしい。

「へ―、そんなことが…分かった。それじゃあ今日はその薬草を採取しに行こうか。訓練は明日でもいいわけだし。あ、ついでにギルドに依頼をけに行こうか。他にも採取系のがあったらけれる範囲でけよう」

未希のそんな話を聞いた勇二はさっそくやる気になったようでその足を冒険者ギルドのある方へと急がせる。

まあ、もっとも。冒険者ギルドと訓練場は同じ方向にあるのだが...

「にしても、今日は街がなんだか騒がしいね。武裝した冒険者も沢山いるし」

そう言って勇二は今しがた自分の橫を通りかかった冒険者の集団を流し目で見る。

「何かあったのかな?付嬢さんに聞けばわかるかも」

未希も街のどこかピリピリとした雰囲気をじ取ったのか真剣な顔つきになる。

そんなことを話しているうちに冒険者ギルドの前にたどり著いた勇二は思わずその場で立ち止まった。

冒険者ギルドのり口にある扉、その扉の奧からただならぬ気配をじたのだ。

「未希、一応警戒しといて…」

勇二は後ろを見ずに未希に警戒を促すと意を決してその扉を開け放った。

「えぇっと…ナニコレ?」

冒険者ギルドの扉を開け放ち、その先に見えた景に二人は思わず呆然と立ち盡くした。

そこにあったのは修羅場だった。

ギルド部を職員が駆けまわり、あちらこちらでは悲鳴のような絶のような聲が聞こえ、何とも言えぬピリピリとした空気が漂っていた。

「あ、見ろ!『銀騎士シルバークライヴ』と『白の聖エーデルワイス』が帰ってきたぞ!」

中にいた冒険者の男が勇二達の姿を捉え大きな聲でそう言うとギルドを駆けまわっていた職員の視線が二人に釘付けになる。

どこかデジャブをじるその景に二人は未だにけずにいた。

「あ、丁度よかった!お二人とも大変です!」

勇二達の前まで勢いよく詰め寄りそういうのはいつも勇二達の対応をしている付嬢だった。

「えっと…これは?」

勇二はその付嬢の勢いに思わず聲を若干上ずらせながら訪ねる勇二。未希は付嬢の勢いに驚いたのか、勇二の背に隠れている。

「ええ、実は…」

どう言ったものかと視線を彷徨わせる付嬢。

そして次の瞬間、勇二達は付嬢の言い放った言葉に思わず目を見開くこととなる。

「この街に、リザーブの街に向かって魔の大群が進軍しています…」

to be continued...

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