《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》4-4 朝日の行方と再會2

「おおぅ…もしかしてと思ったら見事にビンゴだったか」

朝日はそんなことを言いながら砕いた巖の先にある空を覗き込む。

「先が見えないってことは、窟って認識で間違いはなさそうだな」

覗いた先には燈り一つない暗闇があった。

目を凝らしてみればその暗闇が奧の方まで続いているのが見える。

「ここに、華夜がいるんだな…」

慨深いといった様子でそう呟く朝日。

そんな朝日の脳裏には、この『探し』が始まった時の事や、勇二と初めて出會った時、そしてこの世界に転生した時の事が思い出されていた。

「…行くか」

思いに耽っていた朝日は道袋アイテムストレージの中から松明を取り出すと火屬の魔石を用いて火をつけ、窟の部へと足を踏みれた。

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「…………」

真っ暗な窟の部を、手に持った松明で照らしながら朝日は無言で突き進んでいた。

足元はまるで舗裝されたかのように平坦で人の手をじさせる窟であることが見て取れた。

壁を見て見れば、こちらは足元とは打って変わりゴツゴツとした巖を曬していた。

だが、そのゴツゴツした巖の中に等間隔で小さなが開いているのを朝日は気づいた。

そのの下には砕け散った石が複數個落ちていた。

「…僅かだが魔力をじるってことは、こいつは魔石か」

だとすれば魔力を使い切って砕ける前の屬だろう、と朝日は簡単な推測を立てる。

の方をよく観察してみると魔法陣が刻み込まれているのが分かる。

恐らくだがの魔石を使った燈りか何かだったのだろう。

「隨分と効率の悪い式だな…見たじだと魔石の品質も良くなかったと見える。だとしたら、魔石が砕けたのは大一年前だな」

一目見ただけでその魔法陣の稼働効率を読み上げ、更には魔石の質と壊れてからの時間を計算して見せるあたりこの男も魔法技者に片足を突っ込んでいるようだ。

そんなこんなで朝日が歩みを進めていると不意に窟の天井近くからは音が聞こえてきた。

朝日は瞬時にそれに反応し創造魔法クリエイトマジックを使って水晶のようにき通った短めの長剣を造りだす。

ここでいつもの長剣や魔剣を造らなかったのは単に取り回しの問題と時間がかかるからだ。

朝日は剣の柄の握りを確かめながら羽音のした方を見てみると、そこには二羽の蝙蝠がいた。

羽音の正はどうやらこの蝙蝠だったらしい。

その蝙蝠は朝日から向けられる視線を意にも介さず朝日の進行方向とは逆方向に向かっていった。

どうやらこちらに危害を加えるつもりはないらしい。

それを見た朝日は魔法を解いて剣を消すとホッと溜息をついた。

どうやら自分は思ったより『もうしで妹が見つかる』という狀況に浮いていたらしい。

辺りへの注意力が散漫になっていたのがいい証拠だ。

「ここに來るまでの間には何もなかったがこれからもそうとは限らない。気を引き締めなきゃな」

朝日は自分に言い聞かせるようにそう言うと先程よりも警戒心を強めて歩みを進めていった。

to be continued...

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