《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》4-7 朝日の行方と再會5

飛竜ワイバーン。

異世界ザナンにおいて、魔王を除いた生態系の中で最強の存在、竜種。

その竜種の中の最下層に位置する竜、それがワイバーンだ。

しかし、最底辺と言っても竜。

ランクにして最低BランクからAランクとされ、ベテランの冒険者たちが集まって倒すことのできる魔

神龍エンシェントドラゴンや火竜サラマンダーのように高い知能を持つわけでもなく、ブレスを吐くことはできないが、竜種として生まれ持った膨大な魔力を利用した疑似ブレスは大いに脅威となる。

それが、今朝日の目の前に現れた存在の生態だ。

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「ははっ…おいおい。いくら定番とはいえ門番に飛竜はやりすぎじゃねぇか?」

朝日はそう言って冷や汗をかきながら水晶柱の後ろに回り込みを屈めて、飛竜の様子をうかがう。

幸いなことに、飛竜はまだ視界の中に朝日達を収めてはいないようでキョロキョロと周囲を警戒するように見回している。

普通なら、こんな狀況になった際は一目散に逃げだすのが當たり前だろう。

実際、いつもの朝日ならこの狀況を好機とし、出の機會を伺った事だろう。

だが、今の朝日には引くに引けない理由がある。

背後の水晶柱にチラリと視線を向ける朝日。

水晶柱の中には大切な『妹』がまるで眠るようにそこにいた。

その安らかな寢顔を見て朝日は決意を固めていった。

「サクリファイス」

≪マスター…失禮かとは思いますが、正気で?≫

「ははっ、確かに気でも狂ってなきゃこんな狀況で立ち向かったりはしねぇだろうな」

朝日はそう言って自嘲的な笑みを浮かべながらもう一度背後の水晶柱を見る。

「ここまで來たんだ。今更引くつもりはねぇよ」

そう言った朝日の顔にはいつになく優しげな微笑みがあった。

「さ、あのトカゲ野郎をぶっ飛ばして、華夜を助けて、こんな薄暗い窟からおさらばだ」

小さく呟くようにそう言って飛竜のいる方向にわざと足音を立てて一歩踏み込む朝日。

あまり大きな足音ではなかったが、それに反応したのか飛竜が頭と視線をこちらに向けてくる。

その相貌から覗く黃金の瞳に朝日は全の筋が萎していくのをじるが、それでもな臆することなくその歩みを進めて行く。

「さて、別にお前に恨みはなねぇが邪魔するってんなら切り捨てるぜ?」

飛竜の目の前まで來た朝日は、堂々とした態度で宣言するようにそういうと右手に魔剣を作り出し飛竜に切っ先を突きつけた。

to be continued...

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