《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》4-8 朝日の行方と再會6

「さて、この狀況は一どうしたものかね」

そう言って頭を掻きながら、目の前の明な壁に顔を押し付けている飛竜ワイバーンを困ったように見つめる朝日。

先程、朝日が飛竜に対して切り捨てると宣言した後の事だ。

朝日が飛竜に向けていた魔剣の切っ先を地面に下ろした時、まるでその時を待っていたかのように飛竜が突進してきたのだ。

幸いなことに朝日の展開した創造魔法クリエイトマジックによる障壁でダメージを負わずに済んだのだが...

問題はその後だった。

なんと、飛竜は攻撃を朝日に障壁に阻まれた後もなお、こうして障壁に向かって突進を続けているのだ。

目の前にいるのは最強の生の一つ、竜種に屬する飛竜だ。

部のためきを多制限された上、鎖でを拘束されているとはいえ竜は竜。

その低い知故の兇暴とそのポテンシャルの高さををもって思い知った瞬間である。

「しかし、マジでどうすっかな」

目を閉じて現実逃避を始めたのはいいものの、目を開けた後も変わらないその景に一人溜息をつき、ぼやくようにそう言う朝日。

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≪マスター。まずはここから離れることが先決かと≫

そして、どうしたものかと考え込んでいた朝日の脳にサクリファイスの助言の聲が響く。

「ん?ああ、その通りだが…どうやって引き付ける?」

≪マスターには魔法がありますよね?それを使えばよろしいのでは?≫

「腕は持ってないから無屬か…あの固い鱗を貫通できる気がしないんだが…?」

自信なさげな表でそう言うと朝日は飛竜の鱗に目を向ける。

竜種の鱗というのは鉄などと比べると比較的軽くその上丈夫なため、よく他の冒険者が鎧や盾の素材にしたという話を聞いたことがある。

竜種の鱗で作られたそれは炎で焼かれても剣で斬り裂かれても傷一つつかない極上の防になるという話だ。

もし、その話が本當ならば今回の戦闘においての大部分を覆う鱗部分への攻撃は無意味ちうことになる。

そうなれば、攻撃可能な場所といえば...

「腹と瞳、ね」

朝日は障壁の向かい側から覗く飛竜の黃金の瞳を見ながらそう呟くと半歩だけ足を進め障壁で隔てた飛竜のすぐ目の前に立つ。

飛竜の目の前に立った朝日は障壁の飛竜の右の瞳のある所だけを消失させ、そこに手を添える。

「一発、重いのくれてやる。一撃にて敵を落とせ!『バレット・カスケード』!」

そんな朝日の詠唱から放たれたのは一つの魔力の塊。

無屬攻撃魔法、『フォースバレット』を自己流に改造した朝日オリジナル魔法だ。

部にる時に使った『バレット・レイン』は拡散型の前方広範囲、長距離に影響を及ぼす魔法。

それに対して、こちらは一點集中型の狹範囲、短距離で威力を発揮する魔法なのだ。

「ガぁァァあぁアぁアァあl!?」

そんな魔法を長至近距離で直接瞳に喰らった飛竜は右の瞳があった場所からをまき散らし、頭を大きく逸らして苦しめ始めた。

仰け反った頭、そこから窺えた口の裏には鱗はなく、まるでワニを連想させるらかそうな飛竜の出しているのが見て取れた。

「鱗はなし!これならイケる…!」

それを目視で確認した朝日は腰を低く屈め、強化魔法によりの筋組織を強化し、攻撃の機會を窺う。

そして...

「今だっ!」

まるでロックバンドのパフォーマンスのように頭を地面に叩きつけるように振り回す飛竜。

今まで取ってきたその挙の中で、一際大きく頭を振り上げたその時を見逃すことなく朝日は強化した足に力を込め、跳んだ。

そして、朝日は空中で右手に持った魔剣を構えると、跳んだときの勢いそのままに飛竜の口裏のらかい皮に突き刺した。

「ギぁァアァあァァン!?」

飛竜は突然口に走った鋭い大きな痛みにび聲を上げると、剣とともに自の口裏にぶら下がり続けている朝日を振り落とさんとばかりに頭を振り回し始めた。

しかし、朝日はそんな飛竜の抵抗をものともせずトドメをさすための追撃に出た。

「サクリファイス!オレのありったけの魔力を使ってコイツを喰らえ!」

≪マスター。お言葉ですが…≫

「いいから早くしろ!オレが振り落とされる前に!」

≪了解。マスターの要請を諾。『記録・封印用式 サクリバイト』起

サクリファイスが一言そう呟いたその時。

朝日の手に持つ魔剣が一瞬だけ黒く輝いたかと思うと、一瞬で飛竜の存在が消え失せた。

丁度発したのが空中で振り回されていた最中だったためか朝日はドサッ、という音を立てて地面に落下した。

『記録・封印用式 サクリバイト』。

朝日、サクリファイス両名の切り札であり最終兵

朝日の捧げた魔力量に応じて喰らえるものの積が増す技で、喰らわれたものは即座にサクリファイスに吸収され二人の糧となる。

「いてぇ…あと、だりぃ」

窟のゴツゴツした地面に激突した朝日はぶつけた背中に痛みをじつつ半を起こし、魔力の大量消費による倦怠を覚えていた。

「あー。こりゃあ魔力が回復しねぇは水晶柱の解析は無理だな」

≪だから警告しようとしたのに…≫

「だー、うるせっ。こうしなきゃ倒せなかったんだ。仕方ねぇ、必要経費だ必要経費」

小言を言おうとするサクリファイスの言葉を遮って朝日は地面にを投げ出し窟の天井を仰ぐ。

「とにかく、これで危険がなくなったわけだ。後は華夜を、助け、だす、だ、け…」

しかし、先程の戦闘による疲労と魔力消費による倦怠が予想以上に大きかったのだろう。

朝日はその言葉を最後まで言い終らないに眠りの世界に旅立ってしまった。

しかし、朝日はまだ気づいていない。

先程の戦闘の影響で華夜のいる水晶柱に大きな亀裂がっていることに...

to be continued...

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