《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》4-13 兄妹の話

「では、話し始めましょうか。私達『兄妹』の話を」

華夜がそう言って佇まいを正すと、リビング一帯の空間が再びピリッとした空気に包まれる。

が、それはあっけなく崩壊することとなる。

「…それにしても、何から話すべきでしょうか?」

華夜は開口一言目にそう言った。

目の前では勇二と未希がまるで漫才師のようにズッコケている。

「か、華夜ちゃん…?いくらなんでも、それはないよ」

そう言って苦笑する勇二に華夜は素知らぬ顔だ。

「だって、本當にどこから話すべきかわかりませんし」

「いや、うん。まあ、そうだろうけど」

きっぱりと言い切った華夜に勇二は苦笑の度合いを深める。

「ちなみに勇二さんはどこまで知っているのですか?」

「うん?多分、華夜ちゃんが知ってること以上のことは知らないと思うよ?朝日のことも、華夜ちゃんのことも」

「そうですか…ちなみに勇二さんはどのように説明したらいいかわかります?」

「うーん。結果として言うことは変わらないから、順番に説明していった方がいいんじゃない?」

「順番に、ですか。それはつまり私の知っている一番古いものから話す、ということでいいですか?」

「うん。そうなるね」

「一番古いもの、となると…『アレ』ですか?」

「『アレ』だね」

そんな調子で意味深な會話を繰り返す勇二と華夜。

會話についていけていない未希はいつものように首をかしげている。

「『アレ』…?」

「ああ、ごめんごめん。ちゃんと未希にも説明するよ」

「主な説明は當事者である私からで、勇二さんはその補足ですけどね?」

そんな華夜のハッキリとした言いに勇二は思わず頬を引きつらせる。

本人はあまり自覚がないようだが、どうやらこの華夜、し毒舌家の気があるようだ。

「…前置きが長くなりましたね。そろそろ話始めましょうか」

華夜がそう言った瞬間、リビング全がシンと靜まり返る。

流し目で未希の方を見てみれば張しているのか、表が強張っているのが見える。

この狀態ではまともに話を聞くことは出來ないだろう、と判斷した華夜は早速行を開始した。

「流石に勇二さんをイジメすぎました」

華夜の口から出たのはそんな一言。

「ちょっと待って!?なんか言葉に棘があると思ったら僕イジメられてたの!?」

勇二も華夜の目論見に気づいたのか、ややオーバーリアクションでそれに応じる。

「重い話をする前のちょっとした余興です」

「ひどい!?」

「兄さんから、勇二さんは弄るととてもいい反応をすると聞いていたので」

「主犯は朝日だった!?もうヤダ、この兄妹怖い!」

華夜と勇二の盡力により、が支配していたリビングは先ほどまでの和やかな雰囲気が戻っていた。

未希の表が和らいでいたのを確認した華夜は改めて口を開く。

「さて、暗い雰囲気も払拭できたところで、改めて話しはじめましょう」

「実は、私と兄さんは本當の兄妹ではないんです」

to be continued...

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