夫婦が朝日が孤児院から引き取ってから數年がたった。

両親から実の息子同然のをけた朝日はすくすくと長し、今では県でも有名な進學校である小中高一貫の學校に通う中學生になっていた。

そして、その數年間の間に朝日に新しい家族ができていた。

孤児院から朝日が引き取ってから両親の間にできた子供だった。

名前は『華夜』。

朝日とはの繋がらない兄妹ということになる。

華夜が産まれてから両親は彼のことを娘として存分に可がった。

もちろん朝日へのの質は変わらない。

普通ならこういった場面はギクシャクするものなのだろうが、この家庭にはそのようなことは一切なかった。

近所からも家族仲がいいと評判の家庭だった。

その中でも朝日と華夜の兄弟の仲の良さは有名だった。

しだけ普通と違いながらも、人並みの幸せを謳歌していた東山一家。

しかし、その何気ない幸せな日常は、ある日を境に崩れ落ちた。

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その悲劇の始まりは三年前。

突き刺さるような日差しが降り注ぐ夏の日だった。

「やばっ！もうこんな時間だ。父さん、母さん行ってきます！」

そんな言葉とともに家の外に駆け出して來たのは中中背の年。

『東山 朝日』、當時中學一年生。

その容姿は今とは異なり、寢ぐせの殘る黒い髪、優しげな瞳、ころころ変わる表が印象的な年だった。

言葉遣いも今に比べるとだいぶらかいのが分かる。

「華夜、そろそろ出ないと遅刻するよ！」

朝日は一度家の玄関の扉を開けそう呼びかける。

すると程なくして家の中から一人のが出てきた。

腰あたりまでばした黒い髪に同の大きな瞳。同年代の達と比べると一回りほど小さいだった。

このこそ、朝日の義理の妹である『東山 華夜』だ。

「もう、お兄ちゃんが寢坊するから遅刻するんだよ？」

すると、華夜は不満げな顔をして兄である朝日の腹にポカポカと拳を叩きつける。

華夜に関しても言葉遣いはもとより朝日に対する余所余所しさはじられない。

閑話休題。

「それに関しては、すいませんでした。っと、いけない。華夜、そろそろ行くよ」

朝日は一度腕時計を見て時間を確認し、このままでは完全に遅刻してしまうことを悟り、華夜の手を取り駆け出した。

「ちょっとお兄ちゃん！まだ私のお説教は終わって「走りながら喋ると舌噛むよ！」ふにゃ！？」

そんなやり取りをしながら朝日達はいつもよりし遅く、普段通りの通學路を急ぐのだった。

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「よし、それじゃあ帰りにね」

「うん、あとでね。お兄ちゃん」

なんとか遅刻前に學校にたどり著いた朝日は、華夜を小等部の校舎まで送り屆けると猛ダッシュで中等部の校舎に行き、玄関から自分の教室まで移する。

教室に著くと、そこではすでに朝のＨＲのが始まっていた。

朝日は教室の扉を音を立てずに開けゆっくりとしたきで教室にる。

彼の席は教室の窓側の後ろ角だ。

コソコソと匍匐前進をしながら自分の席に向かっていると扉近くの席にクラスメイトと目があった。

朝日は口元に人差し指を持っていくジェスチャーでクラスメイトに意思表示をする。

クラスメイトも朝日の意図に気づいたのか軽く頷き、再び視線を黒板の前で本日の注意事項を口にしている擔任のほうへ向ける。

周りのクラスメイトの視線が気になったが、朝日はそのままなんとか自分の席に辿り著きゆっくりと腰を下ろす。

「えー、じゃあこれで朝のＨＲは終了とする。あ、あと今日はいいじの小春日和だが、くれぐれも居眠りをしないように、それじゃあ以上！」

朝日が自分の席にたどり著くまでの間に連絡事項はすべて消化し終えたのか朝日の學級の擔任である小太りの教師はその腹を揺らしながら教室を出て行った。

それと同時に一気に騒がしくなる教室の様子を橫目で見ながら、朝日は自分の背負ってきたカバンから教科書やノートを取り出し一限目の準備を始めた。

to be continued...