《異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー》4-21 さらなる…?
「華夜様、未希様。しお時間よろしいでしょうか?」
そう言って目の前に佇むの姿をした銀の霊に華夜と未希は互いに視線を見合わせる。
「えっと、何か用ですか?もしかして兄の容態に何か変化でも…?」
「いえ、そうではありません。ただ…」
「マスターが今置かれている狀況について、話さなければならないことがあるのです」
『魔剣サクリファイス』の霊の言い放った言葉を聞いた瞬間、華夜と未希の顔つきが僅かに険しくなった。
「まだ、を隠していたんですね。あの兄は」
「面倒事は嫌いだとか言ってたくせに、自分が一番面倒事抱え込んでるじゃん。朝日のバカ」
二人の口から出てきたのは朝日に対する憤りだった。
どうやら二人は大事なことをなんでも隠そうとする朝日の態度に腹が立っているようだった。
「お二人の気持ちはよくわかります。ただ、今は抑えてください。マスターが起きてしまえば、私はこの話をお二人にお伝えできなくなってしまいます」
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「それってどーゆー?」
「まさか獨斷で…?」
「流石は華夜様。その通りです」
「でも、契約した霊は主の許可なく行できないはずでは?」
「私はいろいろと特殊な霊ですので、それに私とマスターは正確に言えば完全な契約をわしているわけではないんです」
「「え?」」
「それも含めてお話しする必要がありますね。丁度、夕飯時ですし、リビングに向かいましょう。お話は夕飯の後で」
「……それもそうですね。行きましょうか、未希さん」
「あ、そういえばリビングに勇二を放置したままだった」
「なんだか、勇二さんがし可哀想になってきました。急いで向かいましょう」
そんな會話をしつつ一同はリビングに向かっていく。
その先に何が待っているとも知らずに...
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リビングについた三人が目にしたのはテーブルに突っ伏し、うわごとを呟く勇二の姿だった。
「何やってるんですか。勇二さん」
「勇二……」
そんな勇二に向かって冷めた視線を向ける華夜と未希。
そんな二人の視線に気づいてか、勇二はしだけ顔を上げる。
「お……」
「お?」
「おなか、空いた」
そう言って再びテーブルに突っ伏す勇二。
「全く仕方ないなー」
そう言って未希は小さく溜息をついて見せると『道袋アイテムストレージ』から湯気の立ち上る料理を次々と取り出していく。
この『道袋』という魔道。
実は保溫機能、防腐機能付きの優れものだったりする。
もとは腐りやすい魔の素材などをれておくための機能なのだが、彼はそれを長期保存のきく食料保管庫として扱っていた。
「はい。どーぞ召し上がれ」
すべての料理を配置し終えた未希は取り皿を勇二に手渡し、再びリビングに備え付けのキッチンスペースに向かっていく。
「みんな食べてていいよ。私は朝日のお粥作ってるから、といっても麥粥だけどね」
「あ、それなら私も手伝います!」
そういって未希のいる廚房部分に移する華夜。
「あ、そう?だったら、味付けをお願いしていい?華夜ちゃんなら朝日の好み、知してるでしょ?」
「ええ、まぁ。というか未希さん。さっきのアレは…」
「アレ…?」
「ほら、溜息つきながら「全く仕方ないな」って…」
「あ、アレね?似てたでしょ朝日の真似」
そう言ってを張ってドヤ顔を披する未希。
華夜の視線は未希の元に集中していた。
「やっぱり大きい…」
「へ?」
小さく呟いたその言葉は幸いにも未希には屆かなかったようだ。
「ああ、いえ。やっはりそうでしたか」
「耳にタコができるくらい聞いた朝日の口癖だからねー」
「言ってる本人は自覚ないんでしょうね」
「うーん。どうだろ?朝日なら意識してやっててもおかしくない気がする。っと、それじゃ味付けお願い」
「お任せください。といってもあくまで兄さんは病人なので味付けはなるべく優しく薄めに、ですね」
「おりょ?なんか勇二の好みと似たような味付けだ?」
「…もしかしたら、二人とも意外なところで気が合うのかもしれませんね」
朝日が聞いたら割と本気で全否定しそうなことを言う未希。
「ふふふ。そうですね」
華夜もそれに同乗する。
そんなこんなで、二人は楽し気な會話を繰り広げながら朝日の食事を作り上げるのだった。
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陣がキッチンで楽しく料理をしている中、勇二はというと...
「えっと…食べづらいんだけど?」
「どうぞ、お気になさらず。お食事をお楽しみください」
「せめて席に座ってくれないかな?ほら、朝日の席が空いてるし」
「結構です。それに、私ごときがマスターの席に座るなど、とてもではありませんができません」
「なら立ち食いでもいいから一緒に食べよう?未希の作った料理はおいしいよ」
「霊は食事を必要としません。必要とあらば摂ることも可能ですが……」
「じゃ、じゃあ」
「魔力の変換効率が悪いのでやはり控えさせていただきます」
「ええ……」
この通り、『魔剣サクリファイス』の霊のに見事に弄ばれていた。
いや、この場合は手玉に取られていたという方が正しいだろうか。
こうして、時間はゆっくりと過ぎてゆくのだった。
to be continued...
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8 126光輝の一等星
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