《2度目の人生を、楽しく生きる》5話 「夢と決意」

俺は風呂でサラッとを洗い、湯船でを溫め、リビングへと戻った。

「あっ、ルージュ! おかえりなさい!」

「えっ、あ、おう」

リビングにった途端、満面の笑みでセレナが俺の元に來た。

こんな笑顔も出來るのか…と思ったが、きっとこれがセレナの本來の姿なんだろう。

「さて、ルージュも來たことだし、ご飯にしましょうか」

母がそう言い、 皆の元へ料理を運ぶ。

突然人數が1人増えたので、俺と母と父から量がし減らされる事になったが、誰もそんな事は気にしていなかった。

「さぁ、セレナちゃん、遠慮せずに沢山食べてね!」

「はい!」

「んじゃ、いただきます!」

「「「いただきます!」」」

父の掛け聲に皆も同じくいただきますと言い、料理を食べ始める。

…うん、味い。

「どうセレナちゃん、味しい?」

「はい! とても味しいです!」

「そう、良かった。 あ、そうだわ! ルージュ、今日セレナちゃんウチに泊まる事になったから」

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「………え⁉︎」

「だってもう外真っ暗だし、危ないでしょ?」

「そ、それは良いんだけど、セレナの両親とかに連絡しなくていいの?」

この世界にはもちろん電話なんてないはずだ。

「あぁ、それなら父さんに任せとけ、魔法に ”テレパシー”って魔法があってな、遠くの人と會話することができる。上級魔法だがな 」

「へぇ〜」

そんな便利な魔法もあるのか

「それで、セレナちゃんにはルージュの部屋に寢てもらう事になったからね?」

「「え? ええええぇぇぇ⁉︎」」

リビングに俺とセレナの聲が響き渡る、どうやらセレナも今知ったらしい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

晩飯を食べ終え、俺とセレナは俺の部屋に來た。

「ここがルージュの部屋?」

「あぁ、あんまり面白いものは無いけどな」

「へぇ〜」

セレナは俺の部屋を見回している。

俺はなんか會話をしなければと思い

「そうだ、セレナってなんか將來の夢とかあるのか?」

「夢? 夢かぁ……」

「あ、ないなら別に無理に考えなくても良いぞ?」

「うぅん、違うよ、夢ならあるの。 ずっと考えてた事が……笑わない?」

「笑わないよ」

俺がそう言うとセレナは深呼吸をして

「將來、すごく強い魔法使い……”白魔”になって皆を助けて、エルフは悪い種族じゃないんだって証明するの」

そう言い切ったセレナの目は本気だった。

白魔……本で読み、母に話しを聞いたが、そう簡単になれるものでは決してないはずだ。

「そのためにね? 私は10歳になったら剣魔學園に行くの、お母さんとお父さんも賛してくれたし…そこで魔を學んで、強くなりたい……いいえ、強くなるの」

「……そうか」

剣魔學園……俺が行くか行かないか迷っている學校だ。

「ルージュは、今剣魔學園に行くか行かないかで悩んでるんでしょ?」

「え? なんで知ってるんだ?」 

「ルージュがお風呂にってる時に、ルージュのお父さんから聞いたよ?」

「そうか…正直な、どうすればいいか分からないんだ、俺はセレナみたいな夢がない、剣魔學園に來る人達は皆夢を持ってるはずだ。 そんな所に…俺なんかが行っていいのかなって…」

セレナの夢を聞いて、半端な気持ちで行く場所ではないと実した。

俺には強くなって何をしたい、剣聖になって何をしたいっていう夢がない。

「そっか…私は…出來ればルージュと一緒に剣魔學園に學したいなって思ってるよ?」

「え?」

「今はまだルージュには夢はないかもしれない、でも、剣魔學園で學んでるに夢が出來るかもしれないじゃない?」

「………………」

「私は今日ルージュに助けてもらった時、この人はなんて強い人なんだろう…って思ったの」

「あれは… ほっとけなかっただけだよ…」

「その”ほっとけない”って思えるのが、実は凄いことなんだよ? 私ね、ルージュを強い人だなって思うのと同時に、優しい人だな…とも思ったの」

「優しい?」

「うん、ルージュは私を助けてくれて…私の初めての友達になってくれた、それに私がどれだけ救われたか…

ただ強いだけの人なら沢山いると思う、だけどね、強くて優しい人はあまりいないんだよ?」

「な、なんで5歳のセレナにそんな事分かるんだよ?」

5年しか生きてないはずなのに、なぜそんな事が分かるのだろうか、それを質問すると、セレナは真剣な表のまま

「…お母さんがね、いろいろ教えてくれたの、昔お母さんも私と同じようにイジメられていたらしいの。

それは大人になっても変わらなくて、魔法で傷つけられる事は沢山あったんだって」

「……………」

俺は何も言わずに靜かに聞いている。

「でもね? ある日同じようにイジメられていたら、1人の男の人が助けてくれたんだって、その人はエルフって知っても嫌な顔をせずに接してくれたんだって。

その人が、今の私のお父さんなの」

「……え? って事はセレナのお父さんは…」

「うん、エルフじゃないよ、普通の人間。  そして、人間とエルフの間に産まれた私は……」

「ハーフエルフ……か?」

「うん、ハーフエルフは珍しいらしくて、普通のエルフよりも魔力が多いんだって、だからいろいろな人から化け呼ばわりされるの。 その事をお母さんは毎晩私に謝りながら話してくれた」

「恨んだりしないのか?」

自分がもしセレナの立場だったらどうするだろうか……それは考えもつかない

「恨む? そんな事はしないよ、3歳ぐらいの時は、いつもイジメられるのが嫌で泣いてたし、エルフなんて嫌だ。 って思ってた。

でもね? 最近ではこう思うの、人間とエルフは、仲良く暮らせるはずなんだって」

「仲良く…」

「うん、ハーフエルフの私がいるのが、その証拠。 今はただ人間が一方的な考えをエルフに持ってるだけなの。 「エルフは怖い」とか「エルフは化けだ」とかね? 

だから、エルフが怖くないんだって事を、私が証明するの。

ハーフエルフの………人間とエルフの子供の私が」

「……凄いな…」

思わずそんな言葉がれてしまう、 自分が5歳の時、こんな事を考えただろうか?

俺はただずっと親に従ってきただけだ、自分から何かをしようとは思わなかった。

だがセレナは違う、セレナは自分で考え、それを実行しようとしている。

それは凄い事だ。

「凄いよ…セレナは凄い……俺なんか全然ダメだな」

「凄くないよ…ルージュはね、もっと自分に自信を持った方がいいよ?」

「自信?」

「うん、ルージュは絶対に強くなれる、強くなって、もっと沢山の人を助けて…笑顔にする事が出來るはずなの。

今日私にしてくれた事を、他の人にもしてあげてほしいの」

「俺が強く……」

「私はね? ルージュは…剣聖になれると思ってるよ?」

剣聖と白魔……皆が憧れ、そう呼ばれる事を夢見る存在。

目の前に、白魔を目指すがいる。

そのは、俺は剣聖になれると…そう言ってくれた。

そんな事を言われれば、もう……目指すしかないではないか。

「剣聖か…目指してみようかな」

「…‼︎ じ、じゃあ!」

「あぁ、俺も、剣魔學園に行くよ。 

俺は”剣聖”を、セレナは”白魔”を目指して頑張ろう」

「うん! 私の夢は…白魔になって、エルフが悪い種族じゃないって証明する事!」

「俺の夢は…剣聖になって、皆を守って笑顔にする事だ!」

俺とセレナはお互いに夢を言い合い、ハイタッチをする。

「じゃあ、早速父さんと母さんに言わなきゃな」

「うん、いってらっしゃい!」

俺は立ち上がり、部屋を出ようとする…と、俺の部屋の扉が突然開いた。

ってきたのは、號泣した父さんと母さんだ。

2人は俺を抱きしめ。

「おおおぉぉ‼︎‼︎ ルージュ! ルージューー‼︎‼︎」

「ルージュ! ルージュ! 母さん嬉しいわ‼︎‼︎」

「え…ちょ! 父さん⁉︎ 母さん⁉︎」

「セレナちゃんもこっちに來なさい! 父さんが皆抱きしめてやるー!」

「えっ…えぇと…」

セレナはオドオドしながら近寄ってくる、そのセレナの手を母が摑み、強引に引き寄せる。

「きゃっ⁉︎」

「セレナちゃん! セレナちゃんの夢は立派よ! 私しちゃったわー!」

母はセレナと俺の頭をで続け、父は俺とセレナと母を抱きしめ続けた。

それは10分くらい続いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「父さん、母さん、落ち著いた?」

「あぁ、まだしたままだがな」

「2人共本當に立派よ?」

「ははは……」

セレナも苦笑いしている。

俺は一応言っておこうと思い、正座をして両親の方を向く。

「聞いてたと思うけど、一応言うね。 

父さん、母さん、俺は剣魔學園に行って、強くなりたい。 だから、俺に剣と魔を教えてください!」

俺は丁寧な口調で頭を下げた。

すると両親は笑って

「あぁもちろんだ‼︎‼︎ ルージュだけじゃなく、セレナちゃんにも教えてやろう‼︎‼︎

2人には、この俺、ディノス・アルカディアが責任を持って剣を教えよう‼︎」

「では魔はこの私、フローラ・アルカディアが責任を持って魔を教えるわ!」

「え…私もいいんですか⁉︎」

「當たり前よ! 遠慮なんてしなくていいのよ!」

「あ、ありがとうございます!」

「俺からも、ありがとうございます!」

俺とセレナは両親に頭を下げる。

「はっはっは! では早速明日から始めるぞ! 厳しくいくからな!」

「覚悟するのよ?」

「「はい!」」

明日から、剣と魔の修行が始まる。 

絶対に強くなってやる。 と俺は心に誓った。

………ちなみに、両親の名前と家名は今初めて知った。

父はディノス・アルカディア、母はフローラ・アルカディアと言うのか。

そして、俺の名は、ルージュ・アルカディアだ。

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