《2度目の人生を、楽しく生きる》7話 「剣と魔法②」

晝食を食べ終え、午後からは剣の特訓が始まる。

だが、外に出て行ったディノスがまだ帰ってきていないのだ。

「……ディノスさん、遅いね…」

「あぁ、何してるんだろうな」

俺たちは暇だったので互に丸太に向かって魔法を放っていた。

フローラも「魔法はとにかく使いまくる事が大事よ!」と言っていたからである。

「ねぇ、ルージュが今1番使いやすいなーって思ってる魔法って何?」

「んー……火屬かな? 火はイメージしやすいし、カッコいいしな!」

俺が使える七屬の魔法の中でも、火屬の魔法だけは他の屬の魔法よりもちょっとだけ威力が高かったのだ。

「セレナはどの屬が使いやすいんだ?」

「私はねー、やっぱりの魔法かなー」

俺たちが地面に座ってそんな會話をしてい

ると、玄関の方から「ただいまー‼︎」と大聲が聞こえた。

あれは間違いなくディノスの聲だ。

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俺たちが玄関に行くと、そこには大量の荷を両手に抱えたディノスがいた。

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「どうしたの父さん? その荷

「ん? これは剣をやるのに必要なだ、よし、じゃあ早速やるか!」

ディノスはやる気満々のようだ、だが、ディノスの腹からグゥ〜…という音がなった。

「俺たちは外で遊んでるから、 父さんは晝食を食べてきなよ」

「フローラさんに言えば用意してくれますよ」

「お、おぉ…悪いな」

ディノスは頭をかきながらリビングへと向かっていった。

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「それにしても、魔法って奧が深いよなー」

「そうだねー、いろんな魔法を覚えれば、出來ることは増えていくだろうね」

「出來ること……ねぇ…」

ちょっと試してみたい事が出來た。

上空に右手を上げ、集中する。

「水球ウォーター・ボール‼︎」

水球を上空に打ち上げる、そしてすぐに

「風切ウィンド・カッター‼︎」

水球に向かって風切を放つ、風切が水球にぶつかった瞬間……

バアアアアアァァァァン‼︎‼︎

という破裂音と共に、庭が水浸しになった。

「あ、あれ…? 出來ちゃった…」

水の玉を風で切り裂いたら、雨と同じ事が出來るのではないか? そう思い、実行してみたらなんとうまくいってしまったのだ。

「…………ルージュ」

名前を呼ばれてセレナの方を見た瞬間、がビクッとなった、そこには水浸しになったセレナが俺を見ていた………真顔で。

「こんなことするんなら一言言ってしかったなぁ」

「は、はい……いやっ、まさか功するとは思わなくてですね」

俺はセレナの前で正座をしていた。

「あーあ、せっかく服乾いたのになぁ」

「す、すぐ乾かしますんで! 」

「どうやって?」

「ちょ、ちょっと待ってくださいね?」

俺は考える、一瞬で髪と服を乾かす方法……この世界にはドライヤーがない、乾かすには干すしかないが、そんな時間はない、どうするか……

ん? ドライヤー? 

ドライヤーは暖かい風が出てくる、暖かいは火、火は魔法で出來る、風も魔法で出來る。

「……いけるかもしれない」

俺は右手に火を出す、飛ばさないで、その場にとどめる。

そして左手では優しい風を出す、その風を右手の火に當てるようにすると……

「うわっ、暖かい…」

風を浴びたセレナがそんな事を言う。

出來た。 擬似ドライヤーの完だ‼︎

「これで服を乾かすから、ちょっと立っててくれ」

「う、うん」

俺はセレナの服に熱風を當て続けた、するとみるみるうちに服は乾いていった、最後に髪にも當ててやると、セレナは気持ちよさそうにしていた。

「ふぅ〜、乾いたかな? いやぁ、濡らして悪かったな」

「うぅん、もう乾いたから大丈夫だよ。 でも、ルージュすごいね! これ複合魔なんじゃないの?」

「いや、多分違うと思う、俺のはただ違う屬同士をぶつけてるだけで、複合じゃないはずだ」

の複合魔を見た事はないから分からないが、きっと違うだろう。

そんな話をしていると、先ほどの荷を持ったディノスがやってきた。

「待たせて悪かったな……ってなんだこれ⁉︎」

ディノスは水浸しになった地面を見て驚いていた。

俺はディノスに先ほどの事を話した。

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俺の話を聞いて最初は驚いていたディノスだったが、今は真剣な顔になっている。

ちなみにディノスには、「水魔法に風魔法をぶつけたらこうなった」と言っておいた。

「さて…ではこれから剣の特訓を始める」

「「お願いします!」」

「お、おう。 まず剣には、魔のような種類とかはない。 〇〇流とか〇〇剣とかはあるがな、そんなものを使う奴は稀だ」

そんなものなのか。

「だが唯一魔と同じなのは、階級がある事だ、初級剣士・中級剣士・上級剣士・超級剣士がある、ちなみに俺は上級剣士だ。 

超級剣士になるには”剣聖”に匹敵する強さを持ってなければなれない」

ほう。 ならば超級剣士は1番剣聖に近いやつなのか。

「剣の特訓をするには、まず剣がなきゃ話にならん」

まぁそうだろうな。

ディノスは荷をガサゴソと漁り始め…

「そこで! お前ら2人にはこれをやろう!」

ディノスが俺たちに渡したのは、子供用の長さの木刀だった。

そしてセレナにだけ渡されたのは、腹につける防だった。

「セレナちゃんはの子だからな、怪我させるわけにはいかんから特別に防をつけるのを許す。

軽くて丈夫なのを選んだから問題ないはずだ」

「あ、ありがとうございます」

セレナは早速防をつけた。

おぉ…

「なんかめっちゃ強そうだぞセレナ」

「そ、そう?」

セレナは照れくさそうに頬をかいた。

「よぉし、ではまずは素振りからだな。 まずは20回素振りをするぞ!」

「「はい!」」

ディノスは大人用の木刀を持ち、3人で素振りを開始した。

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……なかなかキツイ

子供用とはいえ木刀は重い、そんなを振るのだから腕が痛くなる。

「よし、20回終わり! 2人共大丈夫か? し休憩するか?」

ディノスにそう言われ、俺とセレナは地面に座り込む。

の時は頭と集中力を使うが、剣力と筋力を使うのか。

流石に疲れる。

しばらく休憩し、俺とセレナは立ち上がる。

「お、もういいか? では次は早速試合だ。 俺に全力で打ち込んでこい。 

なんなら午前中に教わった魔法を使ってもいいぞ? 今出せる全力で、俺にぶつかってこい」

なるほど、俺たちがどれくらいやれるかを見るのか、しかも魔法を使ってもいいらしい。

「じゃあまずはセレナちゃんからだ。 ルージュは離れてなさい」

「分かった」

「お願いします!」

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「もっと相手の行をよく見て! 何をするかバレバレだぞ!」

「は、はい!」

セレナとディノスの勝負は、圧倒的だった。

差がありすぎる、ディノスが強すぎるのだ。

セレナの攻撃はことごとく防がれ、ディノスが攻めればセレナは何もできなくなる。

ディノスが魔法を使ってもいいと言った事を忘れているみたいだ。

「ほらほら! 攻められてばかりで何もできてないぞ!」

「くっ…!」

「あらあら、相変わらずねぇ」

いつの間にか俺の隣にはフローラが來ていた。

「相変わらずって?」

「父さんね? 昔から誰かに剣を教える時は厳しくなるのよ」

なるほど、だが厳しいのはいい事だ。 

甘やかされ、褒められ続けながら育っても、それは子供のためにならない。

「セレナ! がんばれー! 魔法使ってもいいんだぞ!」

俺はセレナを応援する。

するとセレナは剣を持ってない方の手をディノスに向け

「突風ウィンド‼︎」

凄まじい突風をディノスにぶつける。

「うおぉ⁉︎」

ディノスは風のせいで後ろに下がる、セレナとディノスの間に距離が出來る。

ちょうど午前中にやった魔の特訓で使った丸太との距離と同じくらいだ。

セレナは手を上にあげ

矢フォトン・アロー‼︎」

10本のの矢をディノスに放つ

「な、なんだその數⁉︎ うおぉぉ‼︎」

セレナの矢に驚きつつも、なんとディノスはセレナの矢を全て剣で叩き落とした。

「ふぅ…危ないところだっ……っ⁉︎」

ディノスが安心していた時、ディノスの顔に水球ウォーター・ボールがぶつけられた。

「ああぁっ! 水が目にっ!」

目に水がり、ディノスが目を押さえている間に、セレナはディノスに急接近する。

「やあああっ‼︎‼︎」

「ぐおっ⁉︎」

そのままセレナはディノスの腹を木刀で斬る、その衝撃でディノスは地面に転ぶ。

「はあ…はあ…」

セレナはもう疲れ切っていた。

ディノスはを起こし

「お、驚いたぞセレナちゃん、まさか一本取られるとは……鍛えれば優秀な魔法剣士になれるぞ」

「ほ、本當ですか⁉︎」

なんとセレナはディノスから一本取ってしまった、しかもあの魔法のコンボ、1つ1つが俺よりも威力が高く、そして正確だった。

…………セレナさん、まじパネェっス。

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