「あはは……負けちゃったよ」

ディノスとの試合の後、セレナはフローラに治癒魔法の回復ヒールをかけてもらい、多は元気になったので今は俺と話している。

ちなみにディノスは今フローラに回復をかけてもらっている、どうやらディノスは治癒魔法を使えないらしい。

「いや、凄かったぞセレナ」

「んー…やっぱり私剣向いてないのかな…」

「それは剣魔導學園で學べばいいよ、まだまだ時間はあるんだ、大丈夫さ」

「うん、ルージュはなんか……大人だね」

「ははは……」

そりゃ中は17歳だしな。

いや、こっちで4年たったから俺はもう21歳か？

もう２０歳超えてたんだな俺…

まぁ確かに9歳はこんな事言わないだろうな。

「あ、ディノスさん治癒終わったらしいよ！」

ディノスの方を見るともう立ち上がり準備をしていた。

「いよいよか…」

オリジナル技と中級魔法を手にれたからといって、決して油斷はできない相手だ。

「うん、頑張ってね！」

「おう、すげー戦い方見せてやるよ！」

俺は笑顔で言う、実は俺にはオリジナル技の他にもう１つ隠し技があるのだ。

オリジナル技ができるまでは使わないでおこうと思っていたので、皆に見せるのは今日が初めてだ。

驚くディノスを見るのが楽しみだぜ……！

「なんか今のルージュは子供っぽかったね」

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「さて、準備は出來たかルージュよ」

「あぁ、今日こそは絶対に勝つよ、父さん」

「はっは、楽しみだ」

俺たちはお互いに數歩下がり、剣を構える。

俺は直ぐに魔を使えるように集中しておく。

「では、始め！」

始まった瞬間、俺は””に風を纏う。

前まではのどこか一部だけにしか纏えなかったが、この4年かに特訓を続け、ようやく全に纏えるようになったのだ。

「行くぜ父さん！」

俺は風を纏った事により、高速で移し、ディノスの元へ走る。

足の裏に風魔法を発生させ、地面を蹴る時に突風を出す事によってより速く移したのだ。

まぁ簡単に言えば、魔法による”強化”だ。

「はああっ！」

俺はディノスに思いきり剣を振り下ろす、筋トレもしてきたので多は剣の威力も上がっているはずだ。

「ほう……なかなか速いな、だが…まだ力が弱い！」

俺の剣はディノスの剣によって弾かれ、俺は後ろに飛ばされる。

「一歩もかずに対処かよ…！」

「まだまだ筋が足りんなルージュよ、いくら足が速くてもそれでは意味がないぞ。 

ちょっと驚いたがな」

「なら次だ、力を使わない剣を見せてやるよ！」

俺は剣に炎を纏わせる、そして剣を持つ右手に魔力を溜める。

「よし……炎斬えんざん！」

それを思いきり振り下ろす、すると炎の斬撃がディノスの方へ飛んで行った。

「なっ…！ くそっ！」

ディノスは斬撃を橫に飛んで回避する。

俺はディノスが回避した方向に全速力で向かう。

「おらぁっ！」

俺の剣をディノスは自分の剣で防ぎ、つばぜり合いになる。

このままでは筋力の低い俺が圧倒底に不利だ、だから至近距離で撃たせてもらおう。

「炎…」

「…っ！」

ディノスは察したのか素早く後ろに飛ぶ。

だがなディノスよ、直線でしかもこの距離ではこれは避けられないぞ。

「斬っ‼︎」

もう一度同じ斬撃を放つ、ディノスは斬撃を自分の剣でけ止めたが、そんなもので止まるほどこの斬撃の威力は低くない。

「くっ…！ 」

やがてディノスは俺の斬撃の威力に負け、ディノスに炎の斬撃が當たり、発する。

「……………」

煙のせいでディノスは見えないが、常に警戒しておく、あれでディノスが負けるわけがない。

自分の斬撃が弱いと言いたいわけではない、むしろ自分でもあれは強いと思う。

だが、なぜか俺にはあれでディノスが負ける事はないという確信があった。

「……竜巻サイクロン‼︎」

その聲と風魔法によって、煙が一瞬でかき消される。

そして風魔法の中心には1人の人が立っている、ディノスだ。

「結構威力は高めのはずだったと思うんだけど」

「…あぁ、おかげでボロボロだ。 まさかあんな技を使うとはな」

よく見れば確かにディノスの服はボロボロだった。

服だけでなく、ディノスにもダメージがっていれば完璧なんだが、それは俺には分からない。

「行くぞ、ルージュ」

ディノスの雰囲気が変わった。

「と、父さん？ ……あれっ⁉︎」

遠くにいたディノスの姿が一瞬で消えた。

俺は辺りをキョロキョロしてディノスを探す。

「ルージュ、後ろだ」

「ぐっ…！」

俺は後ろから思いきり橫腹を斬られる、そのまま飛ばされ、俺は地面を転がる。

「…あ…あぐ…！ 」

橫腹に激痛がはしる、木刀で思いきり斬られれば當然だろう。

「どうしたルージュよ、もう終わりか？」

「くっ…そ…！ 火球ファイアーボール！」

「…ふんっ！」

火球はディノスに斬られ、消滅する。

どうするどうする……？ どうすればいいんだ……？

何をすれば…どんな事をすればディノスに勝てる……？

初級魔法は全て通じない、それはセレナな戦いをみて明らかになった。

魔法が使えないなら剣はどうだ？ いやダメだ、剣だけでディノスに勝てるわけがない。

剣と魔法を合わせた飛ぶ斬撃もディノスには通じない。

まずはとりあえず距離を取らなければいけない。

「突風‼︎」

「っ！」

突風によってディノスを後ろへ飛ばし、距離を取る。

どうすればいいんだ……考えろ、何かいいアイデアは……

「あっ、一応あるな」

一か八かだが、やってみる価値はあるだろう。

そのためにまずは、先にやる事をやっておく必要がある。

「水球！」

水球を出すが、これはもちろん避けられる。

だが俺はそんなのは構い無しに水球を撃ちまくる。

10発くらい撃ち終え、ディノスの周りには水溜りが出來る。

「なんだ？ また前みたいな痺れさせる作戦か？」

「ちょっと違うな、突風‼︎」

俺は地面に突風を撃ち、砂埃を作り、自分は上に飛び上がる。

そしてディノスから俺を見えなくする。

俺は空中に火の球を10個作る。

「隕石雨メテオレイン‼︎」

そしてディノスに向かって隕石雨を撃つ、それによって砂埃は消える。

「また厄介な魔法を使いやがって……」

ディノスはそう言いながらも冷靜に隕石雨を回避していく。

まぁ回避されるのは想定だったが、ちょっと凹むな。

「まだまだ行くぞ！ 隕石雨‼︎」

俺は空中にいる間に撃てるだけ隕石雨を撃つ。

合計で30発くらいだろうか、そのくらい撃った所で、俺は地面に降りる。

そしてすぐさま俺はディノスに土魔法の石弾を撃つ。

「おっと…」

ディノスは石弾を避け、水溜りの方へ行く。

俺は足に風魔法を纏わせ、頭上にの矢を作る。

「矢‼︎」

の矢はディノスの方へ飛んでいく。

ディノスは足を水溜りにれたままの矢を回避する。

「おっと……足が」

「今だっ‼︎‼︎」

ディノスの下には水溜りがある、土に水が混じれば、それは泥になる。

泥に足を突っ込めば足を取られて上手く移出來なくなる。

今のディノスのように……

俺は足の風魔法によって今出せる限界の速度でディノスの方へ飛ぶ。

「なっ⁉︎」

「くらええぇっ‼︎」

俺はディノスの顔へ剣を振るう、もちろん剣には炎を纏わせている。

正真正銘今俺が出來る最高の作戦のはずだ、ディノスも上手くけないはず。

勝った。

俺がそう思った瞬間、ディノスが取った行により、それが希から絶に変わる。

「……え…？」

なんとディノスは俺の剣を片手でけ止めていた、剣を使わずにだ。

「いい作戦だったぞルージュ。 突風ウィンド‼︎」

「ぐあっ⁉︎」

俺の腹に突風が撃たれ、その突風によって俺は後ろに飛ばされる。

そのまま地面を數回転がり、ようやく止まる。

「……くそ………つ、次は……火球！

あ、あれ？ 」

おかしい。

手から出るはずの火球が出ないのだ。

見ればに纏わせた風も、剣に纏わせた炎も消えていた。

だがそんな事よりも分からないことがある。

がかないのだ。

「な、なんで…、なんでけないんだよ！」

「あー……そりゃ単純に魔力切れだな、まぁあんな使い方してたら當たり前だわな。

むしろここまでよく切れなかったな」

「魔力……切れ？」

「あぁ、魔力が切れるとうまくけなくなるんだよ」

あぁ、フローラに聞いたやつか。

まさかここまで酷いとは思わなかった。

そして俺がけないということは……

「この勝負、ディノスの勝ち！」

俺の負けだ。

俺は一度も、ディノスに勝つことはできなかった。