………ここは、どこだろう。

なんか腹の辺りがめっちゃ痛いな。

「あ、あれ？」

腹をろうとしたが、手がかない。

ふと下に目をやると、そこには縄があった。

「………は？」

俺は、縛られていた。

辺りを見回すと俺以外に子供が3人いた、皆俺と同じように縛られている。

1人は涙目になって俺の方を見ている金髪のの子、金髪だがセレナではない。

2人目は茶髪の男の子で、隣の小さなの子に何かを言っている。

3人目はこの中で1番小さい茶髪のの子で、2人目に紹介した男の子に寄り添っている、二人共顔が似ているので兄妹なのだろう。

そして俺たちがいるこの場所、この場所は……

牢屋だ。

あ、なんか思い出してきたぞ。

あれは俺が王都に來てすぐ………

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「おい二人共起きろ！ もうすぐ王都だぞ！」

俺達は馬車の中で寢ていて、ディノスの聲で起きた。

「お、王都…？」

「なんだルージュ、寢ぼけてるのか？ 外に顔出して見てみろ！」

確かに俺は寢起きでボーッとしていた。

俺はディノスに言われた通りに馬車から顔を出して外を見てみた。

「うわっ……すっげぇ……」

「ははっ、だろ？」

それは俺の想像を超えていた。

何十メートルもある壁がどこまでも続いていたのだ、きっとあの壁の中には広い広い王都があるのだろう。

馬車が向かう先を見てみると、その先には人が2人が門を護るように立っていた、2人は鎧を著て槍を持っている。

あれが門番という奴だろう。

俺はまだ起きていないセレナのを揺すっておこす。

「おいセレナ、おきろ。 もう王都につくぞ」

「んんぅ……あと五分……」

なんだその學校行きたくない學生みたいな言い方は……

「あと五分たったらもう王都にっちゃって、もう外にある壁のは味わえないぞ。

あーあ、セレナにも見てしかったけどしょうがないなぁ……眠いんなら無理させるわけにもいかないしなぁ…」

俺がそう言うとセレナがバッとを起こした。

「おっ、起きたか、おはよう」

「う、うん。 おはよう」

「ほらセレナ見てみろよ、外！」

俺に言われた通りセレナが馬車から顔を出す。

「う、うわぁ…！ 凄い…」

どうやらセレナも驚いたらしい。

それにしても、あんなのどうやって作るんだろう。

落ちたら確実に死ぬ高さだぞ。

「2人共してるとこ悪いが、もうすぐ関所だ。 下品な奴だと思われないように、今のうちに寢癖とか直しとけよ」

ディノスにそう言われ、俺達は互いに向かい合う。

「ルージュ、どう？ 私の髪変？」

「あー、右側がしハネてるな。 俺は？」

「あの……全的に…ハネまくってます」

セレナが氷魔法で鏡のようなを作り出し、俺に渡してくれる。

そしてそれを見ると……うん、なんだこれ。

「なんか寢癖ヤバイみたいだな、し馬車を止めるから、そのに直しちまえ」

どうやら馬車を止めてくれるらしい、ありがたい。

関所からし離れた所に馬車を止め、俺とセレナは外に出る。

「よしっ、お前らどんな寢ぐ……ぶっ！」

俺を見たディノスが吹き出した。

「お、おまっ、なんだその頭！ ははははは！」

ディノスは右手で俺を指差し、左手で腹を抑えて大笑している。

こらディノス君。 人を指差してはいけません。

あと人の寢癖を見て笑うんじゃありません。

この寢癖を笑っていいのは俺だけです。

「……水流ウォーター」

俺は自分頭に水魔法で水をぶっかけ、タオルで頭を拭いた後、左手に火を出し、その火に風魔法を當てて熱風を出し、熱風を頭に當てて髪を乾かす。

風呂上がりにいつも俺がやっていることだ、この世界にはドライヤーなんては無く、ディノスとフローラはこんな乾かし方をする俺を見て驚いていた。

俺はこの魔を 「ドライヤー」 と命名した。

これからはこの魔をこの世界の人々に広めよう、セレナやフローラやセルミナには好評だったので、には嬉しい魔法のはずだ。

「あ、ルージュ、次私にもドライヤーやってー」

「おう、分かった」

だがこの魔には欠點がある、それはセレナのように火魔法を使えなかったり、風魔法が使えなかったりしたら使えないのだ。

ドライヤーを使うには火魔法と風魔法の両方を使えないといけないのだ。

その後セレナの髪もパパッと乾かしてやり、馬車に乗り込んだ。

魔法でほとんどの事が出來てしまう、便利な世界だなと思う。

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「止まれ！」

「どこの者だ！ 名を名乗れ！」

門番2人がディノスに槍を向ける。

おいおい、本當に大丈夫か…？

「俺の名はディノス・アルカディアだ、今回は我が息子と、息子の友達を剣魔學園に學させるためにここへ來た」

ディノスは凜とした聲で門番へ言う。

”ディノス真面目バージョン”だ。

この時のディノスは無駄にかっこいい。

「でぃ、ディノス⁉︎」

「ま、まさか…あの ”剣豪”ディノス 様ですか⁉︎」

「まぁ、そう呼ばれていた時期もあったな」

あ、これはちょっと調子に乗っている時の聲だ。

”ディノスだめだめバージョン” だな。

この時のディノスはほとんどのことは許してくれるのだ。

皿を割ってしまった時、帰りが遅くなった時などはとにかくディノスを褒めまくり、調子に乗った所で素直に謝る。

するとニヤけながら「あぁ、いいよ」とすぐに許してくれるのだ。

「ししし、 失禮しました！ で、ですが…」

「決まりですので…荷とお子さんの確認をしてもよろしいでしょうか…？」

「あぁ、いいよ」

許可された門番2人が馬車のり口から顔をのどかせ、置いてある荷を見る、そして俺達と目があう。

「あ、どうも、ルージュ・アルカディアです」

「せ、セレフィーナ・エゼルミア…です」

あ、セレナが俺と初めて會った時みたいなじになっている。

やはりまだセレナは他人が怖いのか…

いや、ただ単に人見知りなだけか？

「あぁ、これはどうもご丁寧に…」

「お、おいお前！ 見ろよあれ！」

門番の片方が俺達を見てなんか言っている、視線の先は……あぁ、なるほどね

「セレナが、どうかしましたか？  この娘はただの俺の友人ですが」

こいつらはきっとセレナがエルフだから警戒しているのだろう。

なるほど、やっぱり大人にも嫌われてるんだな。

「し、失禮。 そちらのは…その…」

「セレナはエルフですが、何か？」

こういう時は常に自分が先手を取った方がいいのだ。

相手に主導権を渡さないのが大切だ。

「い、いえっ！ ですがエルフは…」

「何ですか？ まさかセレナはダメとか言いませんよね？ 

ディノス・アルカディアの息子である俺の大切な大切な友人である彼を？  

まさか…ねぇ？」

俺はそう言って2人を笑いながら睨む。

ディノスには悪いが、し名前を貸してもらおう。

それにしても、何故ディノスは何も言ってくれないんだろうか。

「はっ、そ、そんなとんでもない！ 王都にるのがダメだなんてそんな！ なぁ⁉︎」

「あ、あぁそうだとも！ 種族なんて関係ない！ 勿論オーケーですとも！」

「そうですか、それは良かった」

2人は慌てて門へと戻っていった。

「ルージュ、ありがとう……」

セレナが弱々しい聲で言ってきた。

「気にすんな、これからセレナが強くなって、皆を見返してやればいいんだよ。 それまでは俺を頼れ、そんで強くなったら、今度は俺を守ってくれ」

「う、うん！ 約束するよ！ 絶対ルージュを守ってあげる！」

「おう、頼んだぜ」

將來セレナが安心して道を歩けるように、俺は全力でセレナをサポートしよう。

俺はそう心に誓った。

「先程の話、俺にも聞こえていたぞ」

聞こえてきたのはディノスの聲だ、心なしか、いや確実に怒っている聲だ。

「もしあそこでわが息子のルージュがセレナちゃんを庇わなかったら、どうしていたつもりだ？」

「も、勿論通すつもりで……」

「正直に答えろ、貴様、俺に噓をつくのか？」

「い、いえっ！ 申し訳ありません。 正直に申しますと、エルフは王都にれたくはありません」

「ほう…？ だが王都にもなからずエルフは住んでいるはずだろう？」

「それは…現國王が「亜人を差別するな」と仰ったので……」

「ならば何故、セレナちゃんはダメなのだ」

「今王都にいるエルフだけでも、國民は不満に思っている者もいます。 それなのにそれを増やすなど……」

ん？ って事は不満に思ってない國民もいるって事か？

「なるほどな、貴様の言いたい事は分かった」

「！ そ、そうですか！ でしたら……」

「だが、そんなのは俺は知らん。 學校に行きたいから學校に通わせてやる。 ただそれだけだ、お前や國民の意見などどうでもいいわ」

それまでずっと暗い表をしていたセレナの表が、パッと明るくなった。

なんだなんだ⁉︎ 今日のディノスはマジでカッコいいぞ⁉︎

”ディノススペシャルバージョン” か⁉︎

「では通らせてもらうぞ」

「……はっ！ ど、どうぞ」

門番2人は諦めたように門を開ける、ディノスは當然の様に門を通ら………なかった。

「あぁそれとな、お前らに伝言を頼みたい」

「伝言、ですか？」

「あぁ、騎士団長のウルスに伝えろ。

 もしセレナちゃんに騎士の誰かが何か嫌なこと言ったら、俺が…剣豪ディノスが許さないってな」

それを聞いた門番は怯えて。

「……はっ！ 了解しました！」

俺たちはようやく王都へとった。

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「よし、王都へはったが、まずは馬車を置きに行くぞ」

「え？ 宿まで馬車で行くんじゃないの？」

「あぁ、王都では道で馬車を使ってはいけない決まりなんだ」

「へぇ…」

なんかめんどくさいルールだな。

まぁそれだけこの王都には人が多いって事か。

あれから數分後、馬車置き場に金を払い馬車を止め、俺たちは歩き出した。

その際

「王都には危ない奴もいる、念のため剣を常に攜帯しておけ」

と言われたので、俺は背中に、セレナは腰に剣を刺した。

「お、おぉ……」

「うわぁ…おっきい建だ…」

王都は、當たり前だが大都會だった。

建は二階建てや三階建てが當たり前、大通りではフルーツを売っている店などが並んでいた。

「ここが…王都…」

「あぁそうだ、これからお前達は、ここで生活するんだぜ？」

そうだ、俺達は學したら寮で暮らす。

剣魔學園は王都にあり、寮ももちろん王都にある。

俺とセレナはこの王都で暮らすのだ。

「剣魔學園って、どんな所なんだろうね？」

セレナがそんな事を聞いてくる、セレナは目をキラキラさせている。

「さぁね…父さんは分かる？」

「あぁ分かるぜ？ 俺もそこの卒業生だからな」

「そうなの⁉︎」

衝撃だ、まさかディノスも剣魔學園の生徒だったとは……

「まぁ、俺が學したのは高等部からだけどな、剣魔學園はスッゲー広いぞ、敷地は…ドーラ村と同じかそれ以上だな」

「ドーラ村以上⁉︎」

なんだそれは……ドーラ村も十分すぎる広さだったはずだ、なのにそれ以上の大きさの學校……想像出來ない。

「ま、それは明日のお楽しみだな」

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それから俺達は王都を見て回った、商店街や住宅街など、様々ながあった。

「ここら辺は人が多いから、2人共はぐれるなよ」

確かに、今俺達がいる所は人が多かった、なので今俺とセレナはディノスと手を繋いでいる、ディノスが真ん中、俺が右、セレナが左だ。

「父さん、ここはなんて言う場所なの？」

「ここはな、簡単に言うと”行商用通路”だな」

「行商用通路？」

「あぁ、ここにいる奴らのほとんどは行商人だ、そんで行商人はこの通路をよく使うから、そう呼ばれているんだ」

「へぇ…」

確かによく見ると荷を背負った人や、同じ服を著ている奴が多いな。

「ちょちょちょ！ どいてどいてええぇぇ‼︎」

その聲は俺達の後ろから聞こえた、 後ろを見ると、20代くらいの男がこっちに全速力で走って來ていた。

えっちょヤバっ！ ぶつかるっ⁉︎

俺は咄嗟にディノスの手を離した。

「あっ馬鹿っ！ 手を離すな！」

ディノスがそう言った瞬間、さっきの男が俺達の間を通って行った。

そしてその後すぐに何事もなかったかの様に人がき始め、俺は人混みに流された。

結果、俺はディノス達と離れ、迷子になってしまった。

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「マズイな……どこだここ、全然見覚えが無いぞ…」

人混みに流され続け、ようやく抜け出したらそこは全然知らない場所だった。

俺は自分がどっちの方向から來たかも分からない。

「ヤバイな、完全な迷子だ」

迷子になった時はどうすればいいんだっけか。

あ、そうだ、人に聞けばいいんだな。

俺は子供だし、親とはぐれたと言えば手伝ってくれるかもしれない。

「よし、それでいこう」

俺は周りのなるべく優しそうな人を探した。

そして見つけた、あの人は絶対に優しい人だ。

その人は3人組で、2人の部下っぽい人に笑顔で何かを話していた。

男だ。

「す、すみませーん」

俺はその男に話しかけた、男は俺を見ると笑顔で。

「どうしたのかな？」

「あの…実は俺…いやっ違う。 僕…お父さんとはぐれちゃって……」

俺の言葉に男は部下の男2人と小聲で何かを言っている。

そして相談が終わったのか。

「そうか、大変だったね。 じゃあ僕達も君のお父さんを探すのを手伝うよ」

「本當ですか⁉︎」

男は俺の方をじっと見てそう言った。

俺の背中の剣を見ていると思ったのは気のせいだろう。

「あぁ、じゃあとりあえずついてきて」

「？ はい」

ん？ なんでついていく必要があるんだ？

男達は俺を路地裏へと連れ込んだ。

「あの…僕のお父さん多分こっちにいないと思うんですが…」

「そうかな？ まぁ、そんなのどうでもいいんだけどね」

俺はそれを聞いた瞬間、背中の剣を抜こうと思った。

だが、俺の後ろにいた部下に羽い締めされ、きが取れなくなった。

「なっ！ くそっ！ 離せこの野郎！」

俺は何度も部下の足を蹴る、だが所詮は子供の力、大人には効かない。

「あーあー…あんまり騒ぐなよ」

今までずっと笑顔だった男が真顔になり、俺に近づいてきた。

「お前、結構鍛えてるだろ？」

「なっ…それがどうした！」

「いやな、鍛えてる奴…しかも子供は高く

”売れる”んだよ」

「はっ？ 売る？」

「あぁ、奴隷としてな。 だからちょっと眠ってろ」

「なっ、おい！ まっ……うっ⁉︎」

俺の腹には男の拳がめり込んでいた。

俺は凄まじい痛みと共に、気絶してしまった。

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「あ、あいつらか……」

場面は気絶した後に戻る。

どうやら俺はあの3人組に気絶させられ、縛られてこの牢屋にれられたらしい。

って事は俺以外のこの3人も奴隷にされるかもしれないって事か。

「うえぇええん！ お兄ちゃん…お母さんに會いたいよぉ……」

「ごめん…ごめんな…」

それはあの寄り添っていた兄弟の會話だ、妹が兄に助けを求めているが、兄はもう逃げられないと思っているのだろう。

本當は自分も泣きたいはずなのに、泣かずに妹に謝っている、強い子だ。

「あの…起きましたか？」

すると、 セレナよりもが濃く、背中までの金髪を持つが俺に話しかけてきた。

「あぁ、えっと…ここはどこか…分かるか？」

「すみません…私にもそれは分かりません。 ただ、ここが私達をさらった奴らのアジトというのは確実です」

「さらった奴らって、白髪の優しそうな男と、ハゲ2人の3人組？」

「はい、そうです」

なるほど、つまりはこのアジトには3人しかいないって事か。

いや、決めつけるのは早いな、もしかすると見張りとかがいるかもしれない。

「ここでの會話は向こうには聞こえてたりする？」

は考えるように顎をり…

よく見るとこの娘めっちゃ可いな。

なんというか……”清楚”という言葉が似合うの子だ。

「……いえ、多分聞こえてはいないでしょう、先ほどその子が騒いでも何も言われませんでしたし」

その子とはあの妹の事だろう。

なるほど、聞こえてないか……

ならチャンスはあるな。

「よし、なら皆話がある。 よく聞いてくれ」

俺の言葉に金髪のと茶髪の兄妹の目がが俺の方を向く。

「これから、俺はここを出しようと思う。 皆で出しよう」

「なっ⁉︎ 出⁉︎ 出來るのか⁉︎」

「しっ…あまり大聲を出すな、もしあいつらに聞こえたりしたら厄介だ」

「あ、あぁ、すまん」

「それで…方法はあるんですか？」

「あぁ、皆がちゃんと頑張れば、100%出出來る」

「100%…！」

「ほ、本當ですか…！」

もちろん噓だ、だがこういう時、不安な要素はいらない。

現実は70%くらいだが、それでも半分より上だ、確実と言えるだろう。

「あぁ、じゃあこれから、作戦を話す。 よく聞いてくれ」

さぁ、出作戦の始まりだ！